きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

2018-01-01から1年間の記事一覧

碧色のバカンス17

「やはりあの白骨体はジャン・バロンに間違いないそうだ。あとはアドルフに調べさせている構成鉱物の結果が出たら警察に渡してやればいいだろう。 二つの構成が一致すればプレムス建設が関わっていたという証拠になる。そこから先、ジャンの殺害については警…

碧色のバカンス16

「ええ、ここ数年間で島内で行われた建設事業の内、プレムス建設という会社が行った道路工事現場からかなりの石灰岩の使用が確認されました。それにこれを見てください」 ジルはテーブルを挟んであたし達の向かい側に座ると資料の一番後ろのページを指差した…

碧色のバカンス15

音を立てて岩が崩れ落ちて来たのはあたしが穴を通り抜けた直後のことだった。 「危なかったーー!」 あと少し遅かったら岩の下敷きになっていたかもしれない。 ふぅーっと息を吐き、額の汗をぬぐった。手のひらと両膝についた土砂利を払いながらあたしは立ち…

碧色のバカンス14

「どうしたのよ?!」 無色透明で鼻を刺すようなこの刺激臭。加えてここが古代遺跡内となれば天然の放射性物質ラドナとみて間違いない。 「有毒ガスだ」 「やだ、早く逃げなきゃ」 マリナの顔がこわばり、緊張が走る。有毒ガスといえば甲府で硫化水素を吸わ…

碧色のバカンス13

二つのペンライトが放つ光は側壁を照らし、不協和な影を作り出している。闇はその姿を消し、光となり、そしてまた闇へと姿を戻す。まるでオレたちの後を追って来るかのように繰り返される光と闇の中、マリナがオレのシャツの裾を掴んだ。 人は闇に恐怖を感じ…

碧色のバカンス12

何を思ったのかマリナは扉を両手の拳でドンドンと叩き始めた。 「誰かー!開けてー!ドンドン……誰かー!」 なんて短絡的な考えなんだ。 オレは焦ってマリナを止めた。 「やめとけ、手を痛めるだけだ。こんな密林の奥に人がいるとは思えない。誰かいるとすれ…

碧色のバカンス11

遺跡の中はマリナと並んで歩けるだけの広さがあった。 やはりここは有事の際の避難通路か何かなんだろう。もしかするとこの道が未だ発見されていない王の間へと続いているのかもしれない。 数メートルほど進んだところで分かれ道にぶつかった。ペンライトで…

碧色のバカンス10

マリナを連れて行くとなるとジルと二手に分かて動いた方がいいだろう。マリナは熱射病で倒れたばかりだ。病院で点滴を受けたと言っていたから問題はないと思うがあまり無理はさせたくない。 オレはマリナと遺跡へ向かい、ジルにはアドルフと別の件で動いても…

碧色のバカンス9

マクソンは遺跡のガイドをしているとマリナは言っていたが、この島にあるのはマテカ遺跡だけだ。 だがあそこは確か……。 半年前に行方不明になったというマクソンの父ジャン・バロン。海に転落、または波にさらわれたという話だが泳ぎが苦手な父が海に近づい…

碧色のバカンス8

「今朝、ホテルの前で財布をすられたと駆け込んできた男がいたそうだ。その男の話では犯人はワンピースを着たアジア系の背の低い女だったらしい」 そう言ったシャルルの視線はあたしを上から下まで見下ろし、何か言いたげだ。 「あ、あたしは何もしてないわ…

思い立って秋ダイエット~!(日記です)

ひとみっこのみなさん、こんにちは! ※今回はシャルマリは一切出てきません。 (ブログ内で別記事すいません) 私の個人的なダイエットの話です。 もし興味のある方がいらっしゃいましたら一緒に頑張りましょう٩( 'ω' )و 多くの方が夏前に「痩せたい」とダイエ…

碧色のバカンス7

「むこうに車を待たせてある。とにかくホテルに戻ってジル達と合流する」 そういって歩き出すシャルルにあたしは遅れまいと小走りになりながらあとを追った。 「ちょっとシャルル、マクソンを信用するなってどういうこと?」 「首相にはアルディの名は伏せて…

碧色のバカンス6

どういうことっ?! なんでマクソンはシャルルを知っているの?もしかしてそれであたしに近づいてきたの?でも何か企んでいるようには全然見えない。 するとマクソンは慌てて両手を振った。 「待ってください。そんなんじゃありません。僕、わりと人の名前を…

感謝☆ブログ開設4周年❗(訂正あり)

みなさん、こんばんは! ーー8月17日ーー 本日、ブログ開設4周年を迎えることができました。 ここまで続けてこられたのはいつもご訪問して下さるみなさんのおかげです 更新を待っていてくれる方がいなかったらきっとここまで続けてこられなかったんじゃない…

碧色のバカンス5

「シャルル……!」 振り返ると人込みをかき分け、ものすごい勢いでシャルルが近づいてくる。 海辺で捜索の様子を見ていた見物人達もその勢いに圧倒されたのかあたしへと真っ直ぐの道がパッと開けた。 よかった……これで無事にホテルに帰れるとあたしはほっと胸…

碧色のバカンス4

「こんな所で何をしているんですか?」 声をかけてきたのはマクソンだった。 ジリジリと照りつける陽射しを浴びるようにベンチに座るあたしが奇妙に見えたのだろう。 心配しているというよりはむしろ何を考えているのかと責めているような言い方だった。 た…

碧色のバカンス3

ホテルに戻ったあたしは鍵も持たずに部屋を飛び出したことに気がついた。オートロックだから当然、鍵がなければ開かない。 しかもジルの部屋もアドルフの部屋もどこなのか知らない。 これじゃ2人を呼んで海岸に行くどころじやないわ。仕方ないがない、ホテル…

碧色のバカンス2

チェックインを済ませたあたし達はシャルルが到着するまでひとまずそれぞれの部屋で過ごすことにした。 「ではマリナさん、何かあったらすぐに電話して下さい。それから部屋からは絶対に出ないようにお願いします」 「うん、大丈夫よ。疲れたからシャルルが…

碧色のバカンス1

降り注ぐ太陽と目の前に広がるのは澄みきった碧い海。あたしは手をかざし、空を仰いだ。 胸いっぱいに吸い込んだ風は夏の匂いがした。眩しさに目を細めていると後ろからさっと日傘が差し向けられた。 「マリナさんもどうぞ」 振り返ればお揃いの黒い日傘を手…

春風よ君に届け あとがき

みなさん、こんばんは 「春風よ君に届け」無事に完結することができました。 読みに来て下さったみなさん、ナイスやコメントを下さったみなさん、本当にありがとうございました✨ このお話は去年の9月に10万HIT感謝企画としてリクエストをいただいたものでし…

春風よ君に届け19話(最終話)

「ブル ボン家のアンリ 4世がフランス国王として即位した1589年からブルボン朝が始まる。1792年に一時中断するものの1814年から再び1830年まで続く。ここまではいいよな?」 あたしはいつものように頭を抱え込み、ミシェルはため息をついた。勉強を始めてか…

春風よ君に届け18

「ちょっとシャルルどういうこと?ダニエル、あんたもグルだったの?!」 「いえっ、私は何も……」 助手席に座るダニエルはあたしを振り返り困惑しながら否定した。 「今回の件はダニエルには何も話していない。知っていたのはオレと彼らだけだ」 「どうして…

春風よ君に届け17

玄関が勢いよく開かれ、ミシェルとアネットが飛び出してきた。 「ミシェル達だわ!」 ミシェルは後ろを気にしながらアネットの手を引いてこちらへ向かって走って来る。 後を追うように男達も次々と姿を見せた。 二人は逃げてきたんだ。 「シャルル様、ここは…

春風よ君に届け16

平日にもかかわらず市内はあちこちで渋滞が発生していた。走り出したかと思えば止まり、またトロトロと走り出すを繰り返していた。 あたしは前の車は一体何をしているのかと身を乗り出してみたり、隣の車線の方が少しでも早いんじゃないかと落ち着かずにして…

春風よ君に届け15

「そう来たか……」 シャルルは執務机に片肘をつき、顎に手を充てるとパソコンを操作しながらそう呟いた。 「どうかしたの?」 「ミシェルのGPSがこの屋敷の中から反応している。自分で外したか、あるいは犯人によって外されたのか。どちらにしろミシェルは身…

春風よ君に届け14

脱出経路を把握するため、オレはこの部屋と玄関の詳しい位置関係をアネットに確認した。 すると意外にもここはオレが考えていたような地下ではなく、二階の一室だということがわかった。 「そうか。道理でドアには錆一つないわけだ」 窓がないことですっかり…

春風よ君に届け13

「マルグリット島は譲渡できない」 奴らが部屋を出て行くのを見届けてオレはそう切り出した。 アネットは頬をこわばらせ、息を呑んだ。 目にはうっすらと涙を浮かばせ、それを隠すように何度も瞳を瞬かせた。 「やだ、私ったら」 アネットは慌てて涙を拭うと…

春風よ君に届け12

拐われているという状況は変わらないが少しは安心したのか、アネットの表情がだいぶ柔らかくなった。 「奴らがいつ、どんな交渉をしてくるのかはわからないが、それまで体力は温存しておけ」 オレはドアから少し離れたデスクチェアに、そしてアネットはベッ…

春風よ君に届け11

ぼんやりとした視界には見慣れない天井と不安げな顔をしたアネットの姿があった。 「ミシェルさん大丈夫ですか?」 自分が捕らわれの身でありながらベットに寝かされていることに少し驚いた。 まったくアルディ家当主はこんな時まで手厚い待遇を受けるのか。…

春風よ君に届け10

マリナのペンの天冠にアルディ家の紋章が入っていたのは知っていたが、まさかイニシャル入りとはまったくあいつも趣味が悪い。 おそらくクリップ部分には得意のGPSを搭載しているはずだ。 思わず自分の腕時計に目をやり、ソファに投げた。 そんなこととも知…