きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

2015-01-01から1年間の記事一覧

夢から覚めて17

シャルルは何をしに来たの? でも折角来たのにあたしが寝ちゃってたもんだからそっと寝室まで運んでそれで帰ったんだわ。 そうよ、いくらあたしだって自分でベットに行った事ぐらい普通覚えてるものね。記憶がないって事はそういう事だったんだわ。 だけど何…

夢から覚めて16

今朝はいつもよりも早く目が覚めてしまった。たぶん昨日ジルからシャルルの薬の話を聞いて夕食もあまり摂らずに寝たからさすがにお腹が空いてきたみたい。 こんな時でもちゃんと空腹を感じるあたしって図太いと言うか良く言えば健康的というのか…。 ううん、…

夢から覚めて15

「…ヴェ パ …アレ オ ジャ…」 ベットに運ぼうとマリナを抱き上げた瞬間、オレは動けなくなった。 僅かだったがそれが何かすぐに分かった。愛おしさからマリナを抱く手に力が入る。 確かにフランス語だった。 Je vais pas aller au Japon(私は日本に行かない…

夢から覚めて14

シャルルの部屋を後にしたあたしはすぐに自分の部屋に戻る気になれなくて辺りはすっかり暗くなっていたけど本邸から少し離れた裏庭の花壇に向かっていた。 パリに来てすぐの頃、あたしは小さな花壇を作って欲しいって庭師のファビオにお願いしたの。 つい一…

夢から覚めて13

先日のアングージュ公爵との会食をキャンセルしたおかげで今夜の公爵邸で開かれるパーティーへの参加は避けられなかった。 こんな時でもオレはアルディの名を背負わなければならない。気が向かないまま身支度を整えていく。 玄関ホールに降りていくとドレス…

夢から覚めて12

厨房を出て何度か行った事のあるジルの執務室まで二人で並んで歩いていた。 「ジル、一体どういう事なのよ?」 あたしは部屋まで待ちきれずにジルに尋ねた。廊下を歩いてると何人かのメイドさん達とすれ違い、その度に彼女たちは軽く会釈をして行く。 「ジル…

夢から覚めて11

あの時の和矢への気持ちは懐かしさからだと気付いたのはシャルルと別れてからだいぶ経ってからだった。 シャルルとさよならしてからのあたしはずっと心の何処かにポッカリと穴が開いてしまったようだった。 何かが足りないような落ち着かないような…そんな気…

夢から覚めて10

「マリナさん、どうしたんですかっ?」 騒ぎを聞いたジルが駆けつけて来た。 あたしはあまりの悔しさに唇を噛みしめていたせいか、僅かに血が滲んでいた。 厨房内は騒然としていて誰かがジルに連絡をしたようだった。 「ジル様、申し訳ございません。」 戸惑…

夢から覚めて9

あたし、シャルルと…? まずは落ち着いてよく思い出すのよ。 ワインを飲み終わって、もう一本って言ってシャルルがキッチンに取りに行ってくれて…それでどうしたんだっけ? 全然思い出せないわ。 そしてあたしは倒れこむようにして再びベッドに体を沈めた。…

夢から覚めて8

次の日から少しずつシャルルの空いている時間にフランス語の勉強を始めた。 シャルルが用意してくれた幼児向けの教材とシャルルがあたし用に作ってくれた物を使ってほとんど毎日シャルルの部屋で勉強をしていた。 今日も約束の時間にシャルルの部屋に向かっ…

夢から覚めて7

「時間が取れない時もあるが明日からオレが教える。読み書きまでしたい?」 シャルルはポケットからメモを取り出してあたしにいくつか質問しながらサラサラと何かを書いていた。そしてふと手を止めてあたしに視線を向けた。 「なぜ急に勉強しようと思ったん…

夢から覚めて6

冷たい手があたしの頬に触れてハッとして起き上がると青灰色の瞳があたしをじっと見つめていた。 「夕食の時間も忘れて眠りこけるなんて君にしては珍しいね。」 「もう、夕食の時間っ?! やだ、何だか疲れてたみたい。」 あたしはソファに座りなおして肩を…

夢から覚めて5

涼やかな秋風に運ばれて彼女の笑う声がこぼれ落ちてきた。ふと見上げればカーテンが揺らめいている部屋が一つだけある。そして微かに聞こえてくるもう一人の声…。 時が止まったかのような静寂に包まれ、オレは動く事が出来なかった。 「シャルル様、どうかな…

夢から覚めて4

「あんたを忘れる事できなかった。」 オレは自分の耳を疑った。 オレがそうであって欲しいと願うあまり幻聴が聞こえたとでも言うのか。 それともこれは夢とでも言うのか。 いや、確かにマリナはオレの腕の中にいる。 「マリナ…」 彼女の名を口にした瞬間、オ…

夢から覚めて3

繰り返されるだけの日々をただ送っていたオレの人生に再び色彩をもたらしたのは運命の人だった。 「マリナさんがいらっしゃってます。」 身を裂かれる様な思いで彼女に別れを告げてからどれほどの時が経っただろうか。今さらどうしたと言うんだ。 和矢に何か…

夢から覚めて2

ポールにフランス語を習い始めて数日が経っていた。最近は単語の読み方だけじゃなくて文法っていう小難しい所も入ってきて、あたしの頭はちんぷんかんぷん。毎日頭を抱えながらやっていた。会話だけでいいのよってあたしは当初言ってたんだけどまずは基本的…

夢から覚めて1

「ねえポール、少し休憩にしましょうよ。もう二時間はしてるわよ。さすがに疲れちゃった。」 あたしは手にしていたペンをテーブルに置いて重くなった首をぐるりと回した。ミシミシッと骨が軋むような凄い音がする。 「アイタタタ…。」 首を摩るあたしを見て…

最近の事

みなさん、こんばんは! お久しぶりです。 最近、フランス語を始めたんですが今日はその話です。シャルルは出てきませんので興味のない方はすいません 生存報告(笑)も兼ねて更新しました。 新創作(夢から覚めて)も二話まで書きましたが、どうも進まずに書…

la douce pluie 52

本邸へと歩き出そうとしたシャルルの背中に向かってミシェルはからかうように言った。 「警備まで引き連れてずいぶんと派手な出迎えだな。」 振り返るシャルルにつられて私も振り返った。ミシェルの好戦的な口調にシャルルの鋭い視線が向けられる。悪びれる…

やっと投稿できたけど

みなさん、こんばんは。 夕方からずっと「投稿に失敗しました」のメッセージが出てしまい何度か試したけど更新出来ずにいました。 そして先ほどチャレンジしてみたらあっさり投稿出来たんです。いつの間にか不具合は解消されたのかなと思っていたら…。 すっ…

la douce pluie 51

シャルルは雨が降り始めたからわざわざ迎えに来てくれたのね。私は急ぎ足でシャルルの元へと向かった。 「もう、急に雨が降るなんて聞いてないよ。来てくれてありがとう。おかげでそんなに濡れずに済んだわ。」 私は息を弾ませながら駆け寄るとシャルルは眩…

la douce pluie 50

私はシャルルの居室での暮らしもすっかり慣れてきた。一緒に過ごすようになって何日か経つけどシャルルはほとんど外出しなかった。時折、執務室に籠る程度で当主の仕事は平気なのかしら? 「ねぇシャルル、仕事に行かなくてもいいの?私は一人でももう平気よ…

ブログ開設1周年

みなさん、こんにちは! 8月17日でブログを開設してちょうど1年か経ちました。最初は脳内の妄想を文章にしてみようかな程度の個人的に楽しむつもりだったんですが人って何か形になると誰かに見てもらいたいって思うんでしょうねきっと非公開にしていたらここ…

la douce pluie 49

バカンスから帰ってきた日から私はシャルルと一緒の部屋を使う事になったの。 と言うか帰った時には私の荷物が全てシャルルの居室に移動していたのよ。 私達がモルディブに行ってる間にセキュリティを強化したとか何とかってシャルルが言っていた。 「マリナ…

la douce pluie 48

「マリナ、いいかげん起きてくれ。」 ハッとして目を覚ました私はシャルルの膝枕で寝ていたのよ!ガバッと起き上がって辺りを見渡せば窓の外は見慣れたパリの景色が流れて見えた。 シャルルは新聞に視線を落としたまま真剣な表情で私に言った。 「過睡眠は脳…

la douce pluie 47

楽しみにしていた夕食はシャルルの言っていた通りにとても豪華で南国らしいものばかりで美味しく頂いた。 もちろんシャルルがキャップを被って桟橋で釣竿振り回して釣ったわけでも、海に潜って魚を捕ってきたわけでもなかった。 「ここで出される料理はすべ…

la douce pluie 45 (前編)

みなさん、こんばんは。 今回は前編・R後編に分けました。実は書いているうちにとても長くなってしまったんです。情熱を注いだようで恥ずかしい\(//∇//)\ 限定公開にしたのは後編だけです。 もう少しハードでも大丈夫という方は後編R(後日公開)へお進み下さ…

la douce pluie 44

私たちを乗せたプライベートジェットはモルディブの玄関口、マーレ空港に降り立った。 モルディブ共和国はインド洋にある島国でここから更にフェリーに乗って小さな島に向かうってシャルルは言っていた。 「モルディブは人類最後の楽園と称えられ観光客もと…

la douce pluie 43

シャルルは私の秘密をずいぶん前から分かっていて、それでも私から打ち明けてくるのを待っていた。そうとも知らずに私は秘密を守り通してしまった。 後ろめたい気持ちが過呼吸をも引き起こしていた。あの雨の日以来、息苦しさに襲われる事は一度もなかった。…

la douce pluie 42

紫檀無垢の重厚な柱時計がオレを急き立てるかのように鳴り響き、朝の訪れを知らせる。ミシェルのした事は許せない。今すぐにでもコイツを孤島に送致し二度とパリに戻れなくする事は簡単だ。 だがマリナは納得しないだろう。 オレに秘密を持ち、混乱を招いた…