きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

2023-01-01から1年間の記事一覧

あとがき

みなさん、こんにちは。 「いつかの君を忘れない」いかがだったでしょうか?というか、最後の最後に27話って!28話じゃん…今、気がつきました。 中盤で更新ペースが落ちましたが、近年では稀な(そこまで?!)ハイペースで書けた作品だったんじゃないかな…と…

いつかの君を忘れない 28最終話

車の窓から建物が見えてきた。オレはシートから体を起こし、それを見上げた。外観は悪くない。 「今年の夏にオープンしたばかりで、すごい人気らしいですね。海外からもお忍びで泊まりに来る方も多いとか。お客さんも有名なモデルさんか何かですか?」 「………

いつかの君を忘れない 27

フラッシュバックは疑似体験だ。 映像として再現される場合もあれば、その時の恐怖心が蘇る場合もある。オレはマリナの体を強く抱きしめた。 「大丈夫だ。落ち着いて」 するとマリナは首を左右に振った。 「ちがうの。ごめんね、シャルル。ずっと辛かったよ…

いつかの君を忘れない 26

マリナとの訓練も何とか終え、いよいよ明日は日本へ発つ。なかなか上達しないマリナに根気よく付き合い、これなら何とかなるだろうという段階まで何度も練習した。マリナ自身に不安が残ったままでは意味がないからだ。万全の状態で日本に行くと決めていた。 …

いつかの君を忘れない 25

屋敷までの帰り道、これからの事を二人で話した。すぐに結婚をするわけではないが、一度日本へ行き、マリナの両親と話をしなければならない。結婚を認めてもらえるまでパリには戻らない覚悟でオレは日本へ行くつもりだ。 「あたしも一緒に行くわよ」 「君を…

いつかの君を忘れない 24

マリナは退行催眠のことを言っているのか。言いたいことはわかるがミシェルの場合、この方法は使えない。 「退行催眠の中にインナーチャイルド療法というものはたしかに存在するが、それは患者の幼少期のトラウマなどにアクセスし、当時の心の痛みを癒し、現…

いつかの君を忘れない 23

あの日から五ヶ月。 オレにとってマリナが一番大切なんだと彼女に伝えてから穏やかな日々が続いた。 「シャルル、これどうかな?」 「いいんじゃないか?」 「ねぇ、適当に言ってない?!」 「マリナは何でも似合うよ」 一日時間が取れたから今日はマリナを…

いつかの君を忘れない 22

「マリナ?」 「どうして送るなんて言うのよ」 再会以来、マリナがこんな風に気持ちをぶつけてくるのは初めてだ。どこか他人行儀で、距離を感じていたが仕方がないと割り切っていた。でも今のマリナは本来の彼女に近い。 「一人で帰らせたくないからだよ」 …

いつかの君を忘れない 21

「荒んでいるな」 テーブルの上にチラッと目をやるとルパートは白い封筒をオレに差し出した。 「何だ?」 「ラグノス達が騒ぎ出してる」 ラグノスというのはルパートの兄。つまりオレの叔父で親族会副議長だ。封筒の中には数枚の写真。取り出した瞬間、ルパ…

いつかの君を忘れない 20

「どうして辞めたいだなんて」 ジルは驚きを隠せない様子だった。 「怪我が理由とは言っていた」 「やはり後遺症が?」 「いや、おそらく残らないはずだ。リハビリの様子を聞いた限りではな」 「それで何と答えたのですか?」 「本人の意志を尊重した。理由…

いつかの君を忘れない 19

この一週間、オレは時間を作ってはマリナを連れて出かけた。マリナの記憶の小箱をオレは諦めきれなかった。ルーブル、シャンボール、そしてオルレアンにまで足を伸ばした。それでもマリナには何の変化もなかった。帰りの車の中でマリナがぽそりと言った。 「…

いつかの君を忘れない 18

三時間ほど仮眠を取り、この日はマリナを連れてアンボワーズヘ向かった。 城を見上げたマリナは初めて訪れた場所を見るような目で感嘆していた。 「素敵なお城ね!」 パリに来てから初めての外出に浮かれるマリナに反してオレは複雑な思いでいた。君は何も覚…

活動9周年を迎えました

みなさん、こんにちは🌼 8月17日でブログを始めて9年になりました。今年が10年目かな?たぶん…(笑)いつもご訪問下さりありがとうございます!これも全てみなさまのおかげです❤️正直ここまで長くやるとは思っていなかったのですが、シャルル愛が止まらないこと…

いつかの君を忘れない 17

一週間後、オレは二人を連れてパリへ戻った。マルクは屋敷内で英雄さながらの歓迎を受けた。その日は使用人達の間でもマルクの奇跡の生還にまつわる話で持ちきりだった。一方、マリナにはどう接するべきなのかと使用人達も戸惑いの色を隠せないようだった。…

いつかの君を忘れない 16

マリナの病室へ戻る前にマルクを担当している医師の元へ行き、オレはカルテを確認させてもらった。 炎症による腫脹は抗生剤のおかげで治まってきている。骨癒合まではあと二週間といったところか。若い分、癒合はもう少し早いかもしれないな。腹部エコーから…

いつかの君を忘れない 15

マリナの父親は念のため五日間、入院することになった。母親と話した結果、父親の退院に合わせてマリナも連れて三人で帰国したいと言われた。見知らぬ国で家族が次々と入院となる事態に母親は抱えきれない不安を抱いたのだろう。 「シャルルさんにはお世話に…

いつかの君を忘れない 14

翌日、血液検査の結果を受けて、マリナの腕に入れてあるサーフローを抜くために病室へ向かった。 国際医師免許を持つオレはマリナの担当を任せてもらえるように病院側にはすでに話を通した。 「調子はどうだい?」 ベットに座ってテレビを見ていたマリナが不…

いつかの君を忘れない 13

マリナを病室まで送り、回診に来た医師と入れ替わる形で病室を出た。もちろん検査結果次第で点滴治療を早めに切り上げる提案も担当医師にはした。 「貴院の方針に口出しするのは本意ではないが、彼女の苦痛を少しでも軽減させたいと考えている」 「いえ、私…

いつかの君を忘れない 12

マルクは二週間ほど入院した後にパリへ連れ帰るとして、問題はマリナだ。 午後の便でマリナの両親がこの病院へ来る。両親へは昨日のうちに連絡をした。マリナを無事に見つけたと伝えると父親は隠しはしていたが、感極まって静かに男泣きをしているのがわかっ…

いつかの君を忘れない 11

数ある無人島の一つだけに、何が生息しているかまではさすがに把握していない。万が一、獣の類だった場合、どうするか?ここはココヤシの葉で作ったとても簡易的なものだ。獣に襲われたらひとたまりもないだろう。二人を守りながらでは厳しいかもしれない。…

いつかの君を忘れない 10

まさか、マリナは記憶が……。呆然とするオレを見てマルクが言った。 「マリナ様、その方が以前お話しした……」 マルクは一瞬、躊躇し、それから言葉を続けた。 「シャルル様です」 「この人が?ゴホッ……ゴホッ」生きていた。マリナが生きていた。生き延びてく…

いつかの君を忘れない 9

マリナじゃない……! ベットに横たわっていたのは白人の女性だった。先に少年達に特徴を聞くべきだった。マリナだという期待が判断を鈍らせた。 「救助されたのはこの女性だけですか?!」 するとゴルザ医師は頷いた。 「お探しの方ではありませんでしたか」 …

いつかの君を忘れない 8

マリナの両親が帰国した日から、オレはダイバーによる捜索に加えてあの一帯の孤島の捜索を始めた。イタリア半島を囲むリグリア海、アドリア海、ティレニア海、そしてイオニア海にはいくつかの島が存在する。海外からの観光客も多い島は対象から外した。そこ…

いつかの君を忘れない 7

マリナの両親が帰国する日の朝、オレは犠牲者の家族が滞在するサランダ海岸の目の前に立つリゾートホテルへ向かった。彼らがアルバニアへ入国した際、オレは空港へ出向いたが、オレを見るなり関係者専用の迎えのバスに乗り込んで行ってしまった。両親にして…

いつかの君を忘れない 6

事故から7日目、軍による捜索及び、海底に沈む機体の回収作業は打ち切られた。生存者96名の中にマリナの姿はなかった。そして死者、行方不明者は143名。マリナはマルクと共に行方不明者リストにその名を連ねた。緊急本部が置かれたサランダへは会場が閉鎖さ…

いつかの君を忘れない 5

午後八時、日没と共に軍は今日の救助活動を終え、明日早朝からまた再開するとの知らせが来た。 「シャルル、私達も一度戻りましょう」 九時を回った段階でジルから連絡が来た。 「そうだな、君達は戻ってくれ」 夜間飛行は可能とはいえ、ヘリでの捜索は困難…

いつかの君を忘れない 4

「状況は?!」 「着水地点へ救助の船が出ていましたが、報告のあった地点より20キロほど手前で落下したとのことで、救助活動は遅れているそうです」 マリナを乗せたジェットが墜落した。 「ヘリの準備は?!」 「裏庭からすぐにでも飛べます」 「うちのクル…

いつかの君を忘れない 3

シャルルが用意してくれたのはファーストクラスのチケットだった。座席ごとに仕切られていて完全な個室だった。素敵な白いふわふわのスリッパまで付いていた。パリまでは約12時間ほど。夕食をいただいた後、シートをフラットにしてもらってあたしは早々に寝…

いつかの君を忘れない 2

荷物は玄関に置いたバックが一つ、あとはほとんど処分してしまったから最後の夕食はコンビニのおにぎりで済ませた。ガランとなった部屋を見渡した。一人暮らしを始めたのが五年前。たくさんの思い出が蘇ってくる。結局マンガは売れないままだった。だけど、…

いつかの君を忘れない 1

はじめに ⚠️⚠️今回のお話は事故。マリナちゃんの生死にかかわる深刻な内容が一部含まれますマリナちゃんのそういう重い話は苦手という方は辞めた方がいいかもしれません。もちろんシャルルも苦しみます。特に鍵は掛けていませんので、読み進めるにあたっては…