きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

碧色のバカンス

碧色のバカンス24

みなさん、こんにちは! 2ヶ月ほどお待たせしていた碧色を更新しました。長らくお待たせしてすいません。 碧色のバカンス24話(最終話)はFC2、ライブドアでそれぞれ公開しました。 以下よりご都合のよろしい方でご覧頂けたらと思います。 ライブドアはこちら …

碧色のバカンス23

真っ直ぐに伸びる長い滑走路の先には碧色の海が広がっている。 ここはブルーホールを遊覧するためのセスナが数台置かれている島にある唯一の飛行場。 「ここから先はオレひとりで本土へ行ってくる。ジルには君を迎えに来るように言ってあるから一緒にホテル…

碧色のバカンス22

海岸で話を聞くうちにシャルルは何か犯人の手がかりを掴んだんだわ。 「一体誰なの?!」 その時シャルルの携帯が鳴りだした。画面に視線を落とし、相手を確認すると、助手席のドアを開けてあたしに先に乗っているようにと促した。 ムワッとした車内を想像し…

碧色のバカンス21

「わかった。すぐに送ってくれ。いや、君は戻らなくていい。明日は帰るだけだからな」 翌朝、シャルルの元に一本の電話がかかってきた。 シャルルの話し方からして相手はアドルフだと思った。 そういえば昨晩からアドルフの姿を見てないけど、検査に時間が掛…

碧色のバカンス17

「やはりあの白骨体はジャン・バロンに間違いないそうだ。あとはアドルフに調べさせている構成鉱物の結果が出たら警察に渡してやればいいだろう。 二つの構成が一致すればプレムス建設が関わっていたという証拠になる。そこから先、ジャンの殺害については警…

碧色のバカンス16

「ええ、ここ数年間で島内で行われた建設事業の内、プレムス建設という会社が行った道路工事現場からかなりの石灰岩の使用が確認されました。それにこれを見てください」 ジルはテーブルを挟んであたし達の向かい側に座ると資料の一番後ろのページを指差した…

碧色のバカンス15

音を立てて岩が崩れ落ちて来たのはあたしが穴を通り抜けた直後のことだった。 「危なかったーー!」 あと少し遅かったら岩の下敷きになっていたかもしれない。 ふぅーっと息を吐き、額の汗をぬぐった。手のひらと両膝についた土砂利を払いながらあたしは立ち…

碧色のバカンス14

「どうしたのよ?!」 無色透明で鼻を刺すようなこの刺激臭。加えてここが古代遺跡内となれば天然の放射性物質ラドナとみて間違いない。 「有毒ガスだ」 「やだ、早く逃げなきゃ」 マリナの顔がこわばり、緊張が走る。有毒ガスといえば甲府で硫化水素を吸わ…

碧色のバカンス13

二つのペンライトが放つ光は側壁を照らし、不協和な影を作り出している。闇はその姿を消し、光となり、そしてまた闇へと姿を戻す。まるでオレたちの後を追って来るかのように繰り返される光と闇の中、マリナがオレのシャツの裾を掴んだ。 人は闇に恐怖を感じ…

碧色のバカンス12

何を思ったのかマリナは扉を両手の拳でドンドンと叩き始めた。 「誰かー!開けてー!ドンドン……誰かー!」 なんて短絡的な考えなんだ。 オレは焦ってマリナを止めた。 「やめとけ、手を痛めるだけだ。こんな密林の奥に人がいるとは思えない。誰かいるとすれ…

碧色のバカンス11

遺跡の中はマリナと並んで歩けるだけの広さがあった。 やはりここは有事の際の避難通路か何かなんだろう。もしかするとこの道が未だ発見されていない王の間へと続いているのかもしれない。 数メートルほど進んだところで分かれ道にぶつかった。ペンライトで…

碧色のバカンス10

マリナを連れて行くとなるとジルと二手に分かて動いた方がいいだろう。マリナは熱射病で倒れたばかりだ。病院で点滴を受けたと言っていたから問題はないと思うがあまり無理はさせたくない。 オレはマリナと遺跡へ向かい、ジルにはアドルフと別の件で動いても…

碧色のバカンス9

マクソンは遺跡のガイドをしているとマリナは言っていたが、この島にあるのはマテカ遺跡だけだ。 だがあそこは確か……。 半年前に行方不明になったというマクソンの父ジャン・バロン。海に転落、または波にさらわれたという話だが泳ぎが苦手な父が海に近づい…

碧色のバカンス8

「今朝、ホテルの前で財布をすられたと駆け込んできた男がいたそうだ。その男の話では犯人はワンピースを着たアジア系の背の低い女だったらしい」 そう言ったシャルルの視線はあたしを上から下まで見下ろし、何か言いたげだ。 「あ、あたしは何もしてないわ…

碧色のバカンス7

「むこうに車を待たせてある。とにかくホテルに戻ってジル達と合流する」 そういって歩き出すシャルルにあたしは遅れまいと小走りになりながらあとを追った。 「ちょっとシャルル、マクソンを信用するなってどういうこと?」 「首相にはアルディの名は伏せて…

碧色のバカンス6

どういうことっ?! なんでマクソンはシャルルを知っているの?もしかしてそれであたしに近づいてきたの?でも何か企んでいるようには全然見えない。 するとマクソンは慌てて両手を振った。 「待ってください。そんなんじゃありません。僕、わりと人の名前を…

碧色のバカンス5

「シャルル……!」 振り返ると人込みをかき分け、ものすごい勢いでシャルルが近づいてくる。 海辺で捜索の様子を見ていた見物人達もその勢いに圧倒されたのかあたしへと真っ直ぐの道がパッと開けた。 よかった……これで無事にホテルに帰れるとあたしはほっと胸…

碧色のバカンス4

「こんな所で何をしているんですか?」 声をかけてきたのはマクソンだった。 ジリジリと照りつける陽射しを浴びるようにベンチに座るあたしが奇妙に見えたのだろう。 心配しているというよりはむしろ何を考えているのかと責めているような言い方だった。 た…

碧色のバカンス3

ホテルに戻ったあたしは鍵も持たずに部屋を飛び出したことに気がついた。オートロックだから当然、鍵がなければ開かない。 しかもジルの部屋もアドルフの部屋もどこなのか知らない。 これじゃ2人を呼んで海岸に行くどころじやないわ。仕方ないがない、ホテル…

碧色のバカンス2

チェックインを済ませたあたし達はシャルルが到着するまでひとまずそれぞれの部屋で過ごすことにした。 「ではマリナさん、何かあったらすぐに電話して下さい。それから部屋からは絶対に出ないようにお願いします」 「うん、大丈夫よ。疲れたからシャルルが…

碧色のバカンス1

降り注ぐ太陽と目の前に広がるのは澄みきった碧い海。あたしは手をかざし、空を仰いだ。 胸いっぱいに吸い込んだ風は夏の匂いがした。眩しさに目を細めていると後ろからさっと日傘が差し向けられた。 「マリナさんもどうぞ」 振り返ればお揃いの黒い日傘を手…