きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

2014-10-01から1ヶ月間の記事一覧

愛の祈り(パラドクス後マリナ編)17

私を抱き上げて部屋まで運ぶとベットに寝かせてくれた。 これ以上部屋が遠くなくて良かった。 もう心臓がドキドキしておかしくなるかと思っていた。男の人に抱っこされる事ってあまりないものね。 「ねぇマリナ、前にも話した通り無理に思い出そうとするのは…

愛の祈り(パラドクス後マリナ編)16

確かめたい事があった。 もしかして…私が忘れているのは…。 ジルの執務室までメイドさんに案内してもらった。突然の訪問に少し驚いていたけど優しく微笑み温かく迎えていれてくれた。 ジルは私が何を聞いても教えてくれないのはわかっていたから違う方向から…

愛の祈り(パラドクス後マリナ編)15

夕食も終わってふかふかのソファに体を投げ出して頭の後ろで腕を組み敷いて天井を見上げる。 私はさっきのミシェルとの事を思い出していた。ミシェルの意外と逞しい腕に囲まれて戸惑った。 急にあんな風にされたら誰だってドキドキするはずよ。これはミシェ…

愛の祈り(パラドクス後マリナ編)14

記憶が戻る気配は全くないまま数日が経ち、ゲストルームに移ってからも相変わらず敷地内を散歩したり物思いに耽ったりして過ごしていたけれど、ふとミシェルの言葉を思い出していた。 「一人で不安になって泣いたりしちゃだめだぜ。」 ミシェルと話がしたく…

愛の祈り(パラドクス後マリナ編)13

最近の私の生活は、午前中に診察を受けてケガの具合を診てもらい、記憶についての変化を確認して終わりといった感じだった。 今日はシャルルが来て話があると言ってベット横の椅子に座って私を見つめる。 事故から目覚めて間もない頃もこんな風にシャルルは…

愛の祈り(パラドクス後マリナ編)12

目の前にとっても綺麗な人がいて私を見つめていた。 ぼんやりとしか見えない…。 この人はお医者さんみたいだわ。痛いところがないか聞かれたけど、体の感覚はあまりない。 名前を聞かれたけれど分からなかった…。 私の名前…暗闇に落ちて行きそうな不安と恐怖…

愛の祈り…シャルル編11

ジルは笑顔で部屋へと入ってきた。どうやら上手くいったようだな。 ジルはオレとマリナの事で随分と心を痛めていたようだった。パリに戻ってからはオレを心配しているのも分かっていた。そして突然のマリナとの再会…。 「真理江さんとの接触に成功しました。…

愛の祈り…シャルル編10

とにかく今はマリナの現状を確認しておきたかった。 11桁の数字の羅列… 間違いなく携帯番号だ。なぜマリナはポケットに入れていたのか。 相手は女か、男か…。 変えてなければの話だが、この番号は和矢ではない。余程の事がなければ通常変えることはない。ヤ…

愛の祈り…シャルル編9

マリナが目を覚ましてくれた。 まずは一安心と言ったところか…。 しかしさっきの様子だと事故による記憶障害を起こしているのは明らかだった。 さて、どうしたものか。 次に目覚めたときに先程までの事を覚えていてくれるといいんだが…。 マリナは逆行性健忘…

愛の祈り…シャルル編8

今日で事故から8日が経った。 マリナの様子を見にICUへ向かった。 いつものように包帯を解き、消毒をする。傷の腫れもだいぶ引いてきて感染症の心配もあと数日といった所だろうか。 その時、彼女の指先が微かに動いた。 そっと手を握り自分の頬に寄せてみる…

愛の祈り…シャルル編7

事故の日から5日が経とうとしていた。 マリナの状態は安定していたが、意識が戻らない。オレは考えられる全ての治療を施しマリナを見守り続けていた。 臓器への損傷は見られなかった。 事故のショックでいつ目覚めるのか、このまま眠ったままになってしまう…

愛の祈り…シャルル編6

私は国立病理研究所へ向かっていた。PCに目を向けていると運転手が申し訳なさそうに声を掛けてきた。 「シャルル様、渋滞しておりまして少々時間がかかりそうでございます。」 「他の道で行け」 私はそれだけ告ると再びPCに視線を落とす。それにしても渋滞と…

愛の祈り(パラドクス後マリナ編)5

小さなバックを抱えて、私はパリに向かう飛行機の中にいた。 荷物は着替えと地図と薫に借りたお金。それからあの時もらった航空券を握りしめて。 「おまえさんが一流マンガ家になった時に返してくれればいいからさ。持って行きなよ。」 そう言って封筒も渡さ…

愛の祈り(パラドクス後マリナ編)4

「いつまで寝ているんだい? さっさと起きないと腰が立たないようにするぞっ!」 ひぇーっっ!朝からムード出さないでちょうだい。 身支度を済ませて私達はホテルを後にした。帰りの車の中で薫が私に聞いてきた。 「それでおまえさんは和矢とそのマンション…

愛の祈り(パラドクス後マリナ編)3

翌日、目が覚めるとなぜか孤独感に襲われていた。とても悲しい夢を見ていた感覚だった。それがどんな夢だったのか忘れてしまったけれど、とても切なく悲しい気持ちだけが取り残されていた。 外は雨が降っていて余計に気分が滅入ってしまう。こんな日はお腹い…

愛の祈り(パラドクス後マリナ編)2

バイクは高速に乗り1時間程で大きな建物の前で停まった。 ピョンとバイクから飛び降りた私は連れて来られた場所の意味が分からずに和矢に聞いてみた。 「見せたい物って何?ここにあるの?」 和矢は強い意思を瞳に宿して私に真っ直ぐに向き直ると驚く事を口…

愛の祈り(パラドクス後マリナ編)1

「オレたち一緒に暮らさないか?」 横浜の大学に通う和矢は休みごとに私のアパートまでバイクを走らせて来てくれていたの。 そんなある日、和矢がこう切り出した。 小菅でシャルルと別れてから私と和矢は再び愛を始めていた。 私はあのボロアパートで変わら…

conge

私は執務室のドアを勢いよく開けると振り返る2人に向かって言った。 「まだ仕事してる!ちょっとあんた達、まさか私との約束忘れているんじゃないっ?!仕事ばかりしてるからボケたんじゃないの?」 だいたい寝る時間もあるんだか、ないんだか分からな程に仕…

la douce chaleur…

シャルルの帰りが深夜に及ぶ日も少なくなかった。 そんな日は先に私が寝てしまう事が多いけど朝、目が覚める頃にはシャルルは私の隣で眠っている。 私を自分の腕の中にしっかり囲んで…。 しかも上半身は裸なもんだからドキドキよっ!シャルルの半裸に慣れる…

聞かせてほしい19

翌日、退院の手続きを済ませると私はアパートまで送ってもらって…と思っていたのが、そうじゃなかった。 病院を出ると車はそのまま羽田空港まで走り、私はシャルルに手を握られたまま出国の手続きが終わるまで離してもらえなかったのよ! パスポートはジルが…

聞かせてほしい18

それにしてもシャルルはどうしてこの部屋で手術衣なんて着ているのよ?! 怪我は大丈夫なの?! 私は逞しい胸からガバッと抜け出すとシャルルを見上げる格好で捲し立てた。 「あんた、怪我はっ? まさか自分で手術して治しちゃったのっ?」 シャルルは私にソ…

聞かせてほしい17

ジルに続いて集中治療室のドアを開けて中へ入っていく。 あまり広くないその部屋の中を見渡すとベットが一つとたくさんの機械に囲まれて置かれていた。 でもベットは空っぽだった。 そんな……。 まさか…。 身を切られるような衝撃が私に襲いかかる。空っぽの…

聞かせてほしい16

ぼんやりと目を開けるとジルが私に微笑みかける。 目が覚めてハッとした。 ガバっと起き上がるとジルに必死に聞いた。 「ねぇ、シャルルはっ?!」 ジルの表情が固くなり私から一瞬、目を反らせる。ベットの上に置いていた私の左手を両手で握りしめる。 神経…

読書の秋です

みなさま、こんばんは☆ 朝晩はすっかり涼しくなってきて皆様、体調には気をつけて下さいませ。 うっかり窓なんて開けて寝たら声がガラガラΣ(・□・;)なんて事も…。 さて、私は今までひとみ先生の作品でコバルトシリーズしか読んだことがなかったんです。あ…

聞かせてほしい15

…シリルを選ぶと言うのか… 長いまつ毛を伏せ自分の感情を閉じ込めようと固く目を閉じた横顔を見ていられなかった。 私はシャルルにこんな切ない顔をさせてしまっていた。 私を失ってしまう事への恐怖、不安。 アルディ家という高貴な血族の当主という立場で…

聞かせてほしい14

目が覚めると病室のベットだった。 オレはマリナさんと出掛けてセーヌ河をクルージング中に何者かに撃たれた。 何日か経ち様子を見に来たシャルルにマリナさんの事を聞いてみた。 ここに顔を出さないが、ケガの具合が良くないのでは…。 シャルルの顔が一瞬曇…