きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

時を越える夢 9

部屋に戻ったのは東の空がうっすらと白み始めた頃だった。ドアを開けるとレンが駆けてきた。 「帰りが遅いので心配してました。一体何があったのですか?」 レンにはまだ詳しいことは何も話してない。オレがシャルルの部屋に呼ばれた時、レンはこれがオレ達…

時を越える夢 8

封書にはさらに白い封書が入っていた。表には「Charles et Michel」と書いてある。書体に見覚えがあった。幾千枚の封書の中に埋もれても、目立つようにわざとミシェルの名を入れてきたのだろう。そこまでして何を知らせてきた?手紙に目を通していくうちに頭…

時を越える夢 7

オレ達の部屋はいわゆるツインルームによくあるベット配置とは異なる。監視目的とはいえ二人の男が並んで眠ることを憐れに思ったのだろう。オレたちは毎晩、互いに足を向けて眠る。そして今も入眠までのわずかな時間をベットで過ごしてた。レンはクッション…

時を越える夢 6

オレは部屋の中で一人、ジルの言葉を思い出していた。 【そういう気持ちがいつしか彼女への愛おしさへと変化していくといいですね】 今のオレにはこの先、彼女にそんな感情を抱くとは到底思えない。ただ母となった彼女になら……これはあくまでも想像だ。先の…

時を越える夢 5

わざわざオレの誕生日に合わせて婚約発表をすることで、より一層注目を集め、これまで当主不在となっていたアルディ家の安泰を広く世間に知らしめることが長老たちの一番の目的だ。 だがここにも一人、婚約をいいことに好き勝手している娘がいた。 「シェフ…

時を越える夢 4

「レアアースの需要についても、ぜひアルディグループの後ろ盾をお願いしたい」 「いいでしょう。中央アジアの資源ポテンシャルの高さへの関心は今も高まっている。ハイテクに不可欠な高機能材料であるレアアースについても同様でしょう」 マルト氏と握手を…

時を越える夢 3

「シャワー先にいいか?」 「もちろんです、ミシェル様。私のことは気になさらないで下さい」 監視が目的だとしてもレンにとってオレとの生活は相当なストレスだったはずだ。オレ達のプライベートはこのバスルームとトイレ、それに夢の中くらいだ。ポケット…