きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

2017-02-01から1ヶ月間の記事一覧

届かぬ想い11

限定にはしていませんが今回マリナちゃんの状態が少しずつわかってきます。決して重い状態ではないものの軽くもないです。丈夫なマリナちゃんのイメージを壊したくないという方は飛ばしてお読み頂いた方がいいかもしれません。また症状、治療法に関してはあ…

届かぬ想い10

マリナにはオレの車でホテルへ行くように言い残し、病室をあとにした。 一階受付で施設を利用させたもらった礼を言い、治療費の清算を済ませた。 実際に治療にあたったのはオレだが施設を利用して行った行為は病院の利益として帰属する。 マリナはきっと勝手…

届かぬ想い9

「シャルル、お幸せにね」 オレは堪らずにマリナの左腕を掴んだ。 「マリナ……君は今、幸せか?」 オレの問いにマリナは黙り込み、俯いた。再度、同じ質問を繰り返すがマリナは答えようとせずオレの手を振り解こうとする。答えられないのは分かっていた。オレ…

届かぬ想い8

シンポジウムが開催されるのは午後からだ。オレは早めに会場入りをし、マリナが手伝いをしていると言う出版社主催のイベントフロアに向かった。 エレベーター付近で人集りが出来ているのを横目に通り過ぎようとした時、マリナの姿がちらりと見えた。群がる人…

届かぬ想い7

昨夜から降り続く雪はパリの街を白く染めていく。 あれから六年……またこの季節がやってきた。マリナと別れ、ルパートと共にパリへ帰国したあの日もこんな風にパリの街は白一色に染まっていた。 「今夜はノエルブランですね」 ふいに声を掛けられて自分がぼん…

届かぬ想い6

「それならなぜ泣く?」 その声はどこか切なげだった。 シャルルはきっとあたしを哀れんでいるんだ。どう見たってあたしが幸せそうに見えるわけがない。 だけどそんな事どうだっていいじゃない!それがひどく惨めだった。苛立ちは自然とあたしの涙を止めてく…

届かぬ想い5

シャルルの後ろ姿を見ていたら何だかあたしには神様が止めておきなさいって言っているように思えた。 フランスが誇る天才シャルルとフランスの女優さん。誰が見てもお似合いだわ。二人はすでに二人だけの道を歩き始めているっていうのに何をしようとしてたん…

届かぬ想い4

「シャルルっ?どこ?!」 あたしは自分の声で目が覚めた。 また、あの夢だ。 右手に違和感を感じて目をやると真っ白な包帯が厚く巻かれていた。 そうだ、シャルルと彼女の事に気を取られてぼんやりしていたら、うっかりエレベーターの扉に手を引き込まれち…

届かぬ想い3

「あ……」 沙耶さんは小さく声をあげてから慌てたように手で口を塞いだ。 これ、あたしもよくやるわ。 駅に着いてからお財布を忘れたことに気づくとか、せっかく買い物メモを書いたのにスーパーに着いてからメモを持ってきてないことに気づくとかね。 「忘れ…

届かぬ想い2

沙耶さんは目を輝かせながら胸の前で指を組み合わせ祈るように呟いた。 「一目でいいからシャルル・ドゥ・アルディに会ってみたいわ」 沙耶さんはテレビでシャルルを見てからずっとこんな様子で、すっかりファンになったみたいだった。 あたしは返事に困りな…