きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

2017-03-01から1ヶ月間の記事一覧

届かぬ想い17

「マルセルの会議への参加は教授からの提案ですか?」 教授の目的は会議を成功させ、自らの名を上げることだ。オレが参加する事によって特殊細胞分野での新たな研究を発表することができた。 つまりオレが会議を欠席したものの、すでに教授の目的は達成され…

届かぬ想い16

二人の刑事はマルセルの両側に立つと有無を言わさぬといった様子でマルセルに同意を求めた。 「私が何か?」 マルセルは自分の身に何が起きているのか分からない様子だ。 「あなたを慶西総合病院で見かけたという情報が入りまして」 すかさず年配の刑事が含…

届かぬ想い15

「君が責任を感じる必要はない」 有川沙耶と別れ、オレはマリナを送らせるつもりで待たせたままにしていたハイヤーに乗り込んだ。 彼女がオレとマリナのことを看護師に尋ねていたのは何も知らなかったとは言え 自分が余計なことを言ったせいでマリナが動揺し…

届かぬ想い14

オレはタイルの床を蹴るように階段を駆け上がった。 病棟に続く廊下は見舞い客も多く、辺りを見渡したがそれらしき人物を見つけることはできなかった。人の流れに溶け込んだか。 「くそっ!」 オレをつけ狙っていたのか、パパラッチの類か、それとももっと別…

届かぬ想い13

まさか……。 いや、そうではない。 MRI画像に映し出された白くぼんやりとした影。脳細胞の一部が壊死しているのはこの目で何度も確認をした。 現実を直視しなければならない医師という立場でありながらこれまでの驚異的なマリナの生命力に何度も驚かされた過…

届かぬ想い12

後遺症がどのような形となって現れるかはマリナの意識が戻らないことには予測の域を超えられない。ただ視覚野に何らかの影響が出ることは明らかだ。 最悪の場合、マリナは光を失う。 現代医学では外傷性脳損傷によって壊死してしまった細胞は決して元に戻す…