きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

いつかの君を忘れない 20

「どうして辞めたいだなんて」 ジルは驚きを隠せない様子だった。 「怪我が理由とは言っていた」 「やはり後遺症が?」 「いや、おそらく残らないはずだ。リハビリの様子を聞いた限りではな」 「それで何と答えたのですか?」 「本人の意志を尊重した。理由…

いつかの君を忘れない 19

この一週間、オレは時間を作ってはマリナを連れて出かけた。マリナの記憶の小箱をオレは諦めきれなかった。ルーブル、シャンボール、そしてオルレアンにまで足を伸ばした。それでもマリナには何の変化もなかった。帰りの車の中でマリナがぽそりと言った。 「…

いつかの君を忘れない 18

三時間ほど仮眠を取り、この日はマリナを連れてアンボワーズヘ向かった。 城を見上げたマリナは初めて訪れた場所を見るような目で感嘆していた。 「素敵なお城ね!」 パリに来てから初めての外出に浮かれるマリナに反してオレは複雑な思いでいた。君は何も覚…

活動9周年を迎えました

みなさん、こんにちは🌼 8月17日でブログを始めて9年になりました。今年が10年目かな?たぶん…(笑)いつもご訪問下さりありがとうございます!これも全てみなさまのおかげです❤️正直ここまで長くやるとは思っていなかったのですが、シャルル愛が止まらないこと…

いつかの君を忘れない 17

一週間後、オレは二人を連れてパリへ戻った。マルクは屋敷内で英雄さながらの歓迎を受けた。その日は使用人達の間でもマルクの奇跡の生還にまつわる話で持ちきりだった。一方、マリナにはどう接するべきなのかと使用人達も戸惑いの色を隠せないようだった。…

いつかの君を忘れない 16

マリナの病室へ戻る前にマルクを担当している医師の元へ行き、オレはカルテを確認させてもらった。 炎症による腫脹は抗生剤のおかげで治まってきている。骨癒合まではあと二週間といったところか。若い分、癒合はもう少し早いかもしれないな。腹部エコーから…

いつかの君を忘れない 15

マリナの父親は念のため五日間、入院することになった。母親と話した結果、父親の退院に合わせてマリナも連れて三人で帰国したいと言われた。見知らぬ国で家族が次々と入院となる事態に母親は抱えきれない不安を抱いたのだろう。 「シャルルさんにはお世話に…

いつかの君を忘れない 14

翌日、血液検査の結果を受けて、マリナの腕に入れてあるサーフローを抜くために病室へ向かった。 国際医師免許を持つオレはマリナの担当を任せてもらえるように病院側にはすでに話を通した。 「調子はどうだい?」 ベットに座ってテレビを見ていたマリナが不…

いつかの君を忘れない 13

マリナを病室まで送り、回診に来た医師と入れ替わる形で病室を出た。もちろん検査結果次第で点滴治療を早めに切り上げる提案も担当医師にはした。 「貴院の方針に口出しするのは本意ではないが、彼女の苦痛を少しでも軽減させたいと考えている」 「いえ、私…

いつかの君を忘れない 12

マルクは二週間ほど入院した後にパリへ連れ帰るとして、問題はマリナだ。 午後の便でマリナの両親がこの病院へ来る。両親へは昨日のうちに連絡をした。マリナを無事に見つけたと伝えると父親は隠しはしていたが、感極まって静かに男泣きをしているのがわかっ…

いつかの君を忘れない 11

数ある無人島の一つだけに、何が生息しているかまではさすがに把握していない。万が一、獣の類だった場合、どうするか?ここはココヤシの葉で作ったとても簡易的なものだ。獣に襲われたらひとたまりもないだろう。二人を守りながらでは厳しいかもしれない。…

いつかの君を忘れない 10

まさか、マリナは記憶が……。呆然とするオレを見てマルクが言った。 「マリナ様、その方が以前お話しした……」 マルクは一瞬、躊躇し、それから言葉を続けた。 「シャルル様です」 「この人が?ゴホッ……ゴホッ」生きていた。マリナが生きていた。生き延びてく…

いつかの君を忘れない 9

マリナじゃない……! ベットに横たわっていたのは白人の女性だった。先に少年達に特徴を聞くべきだった。マリナだという期待が判断を鈍らせた。 「救助されたのはこの女性だけですか?!」 するとゴルザ医師は頷いた。 「お探しの方ではありませんでしたか」 …

いつかの君を忘れない 8

マリナの両親が帰国した日から、オレはダイバーによる捜索に加えてあの一帯の孤島の捜索を始めた。イタリア半島を囲むリグリア海、アドリア海、ティレニア海、そしてイオニア海にはいくつかの島が存在する。海外からの観光客も多い島は対象から外した。そこ…