きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

シャルル×マリナSS

la douce pluie 52

本邸へと歩き出そうとしたシャルルの背中に向かってミシェルはからかうように言った。 「警備まで引き連れてずいぶんと派手な出迎えだな。」 振り返るシャルルにつられて私も振り返った。ミシェルの好戦的な口調にシャルルの鋭い視線が向けられる。悪びれる…

la douce pluie 51

シャルルは雨が降り始めたからわざわざ迎えに来てくれたのね。私は急ぎ足でシャルルの元へと向かった。 「もう、急に雨が降るなんて聞いてないよ。来てくれてありがとう。おかげでそんなに濡れずに済んだわ。」 私は息を弾ませながら駆け寄るとシャルルは眩…

la douce pluie 50

私はシャルルの居室での暮らしもすっかり慣れてきた。一緒に過ごすようになって何日か経つけどシャルルはほとんど外出しなかった。時折、執務室に籠る程度で当主の仕事は平気なのかしら? 「ねぇシャルル、仕事に行かなくてもいいの?私は一人でももう平気よ…

la douce pluie 49

バカンスから帰ってきた日から私はシャルルと一緒の部屋を使う事になったの。 と言うか帰った時には私の荷物が全てシャルルの居室に移動していたのよ。 私達がモルディブに行ってる間にセキュリティを強化したとか何とかってシャルルが言っていた。 「マリナ…

la douce pluie 48

「マリナ、いいかげん起きてくれ。」 ハッとして目を覚ました私はシャルルの膝枕で寝ていたのよ!ガバッと起き上がって辺りを見渡せば窓の外は見慣れたパリの景色が流れて見えた。 シャルルは新聞に視線を落としたまま真剣な表情で私に言った。 「過睡眠は脳…

la douce pluie 47

楽しみにしていた夕食はシャルルの言っていた通りにとても豪華で南国らしいものばかりで美味しく頂いた。 もちろんシャルルがキャップを被って桟橋で釣竿振り回して釣ったわけでも、海に潜って魚を捕ってきたわけでもなかった。 「ここで出される料理はすべ…

la douce pluie 45 (前編)

みなさん、こんばんは。 今回は前編・R後編に分けました。実は書いているうちにとても長くなってしまったんです。情熱を注いだようで恥ずかしい\(//∇//)\ 限定公開にしたのは後編だけです。 もう少しハードでも大丈夫という方は後編R(後日公開)へお進み下さ…

la douce pluie 44

私たちを乗せたプライベートジェットはモルディブの玄関口、マーレ空港に降り立った。 モルディブ共和国はインド洋にある島国でここから更にフェリーに乗って小さな島に向かうってシャルルは言っていた。 「モルディブは人類最後の楽園と称えられ観光客もと…

la douce pluie 43

シャルルは私の秘密をずいぶん前から分かっていて、それでも私から打ち明けてくるのを待っていた。そうとも知らずに私は秘密を守り通してしまった。 後ろめたい気持ちが過呼吸をも引き起こしていた。あの雨の日以来、息苦しさに襲われる事は一度もなかった。…

la douce pluie 42

紫檀無垢の重厚な柱時計がオレを急き立てるかのように鳴り響き、朝の訪れを知らせる。ミシェルのした事は許せない。今すぐにでもコイツを孤島に送致し二度とパリに戻れなくする事は簡単だ。 だがマリナは納得しないだろう。 オレに秘密を持ち、混乱を招いた…

la douce pluie 41

ミシェルへの嫉妬からオレはマリナを傷つけ、泣かせた。そしてミシェルは…。 「マリナはオレ達の運命をずっと近くで感じながらオレとお前が共に暮らす事を望んでいた。何よりも喜んでいたのはマリナだ。その思いをお前は踏みにじったんだ。」 ミシェルがアン…

la douce pluie 40

マリナが眠ったのを見届けてオレはミシェルとの決着をつけるためにヤツの元へと向かった。 地下の特別室はかつてミシェルが使っていた部屋だ。母と共にアルディ家へと連れて来られたミシェルがその身を隠され生活していた部屋だ。 当時この部屋は扉もなく母…

la douce pluie 39

車は静かにアルディの門を抜けて本邸の正面につけられた。 ブリスは運転席からこちらへ周り込むとドアを開けた。 「案内致します。」 玄関で待ち受けていた警備がオレの左右に張り付きブリスの後に続いて本邸内へとオレは入った。 玄関ホールを通り長い廊下…

la douce pluie 38

玄関ホールに差し掛かった時、オレを呼ぶ声が聞こえた。 「ミシェルーーっ! 何処に行くつもりなのよーっ!」 速度を落としてマリナとの距離を保ちながらアルディの敷地を出るのはおそらく無理だ。マリナに合わせていたら警備に追いつかれる。 「ここまでか……

la douce pluie 37

シャルルの居室で朝食を摂ることは普段はあまりないんだけど熱が下がったばかりの私を気遣ってくれたのかシャルルが部屋に用意するように言うと着々とメイド達が準備を始め、あっという間にテーブルは整えられた。 シャルルの急な注文にも即座に対応し、 常…

la douce pluie 36

出て行ってしまったミシェルと話すって…? 「シャルル、どういうことなの?」 私の髪を優しく撫でながらシャルルは宥めるように言った。 「さっきの薬に睡眠導入剤も入れたから少し眠るといい。目が覚めたら楽になってるはずだ。その時に全て話すよ。」 私は…

la douce pluie 35

目を覚ますとシャルルの腕の中に私はいた。窓の外に目を向けると夕陽はすっかり姿を隠し辺りは夜の闇に支配されていた。いつの間にか眠ってしまったようね。ぼんやりとした視界、気怠さを感じているとシャルルが心配した様子で私を覗き込んだ。 「君の体がさ…

la douce pluie 33

「ミシェルとのキスは忘れろ…」 そう言って息も出来ないほど抱きしめられ唇を奪われた。 嫉妬と愛しさと、そして…情熱をシャルルから注がれていく。 甘く切ないキスはミシェルの時に感じた物とは明らかに違っていた。 ミシェルのキスは私を黙らせるためだけ…

la douce pluie 32

少し前を歩くシャルルの後ろを私は黙って歩いていた。私の右手を握るシャルルの左手はいつもより少し冷たかった。 ーそんなにミシェルが気になるかー さっきのシャルルの言葉が頭から離れない。私はお屋敷を飛び出していったミシェルが心配だった。あの写真…

la douce pluie 31

私たちを乗せた車は静かに本邸へと走り出した。車内は快適な温度に保たれている。私だけ…そんな複雑な思いを抱えながら窓の外を眺めていた。 ミシェルを追いかけて走った景色は車から見ていると流れるように過ぎていく。 ミシェルを強制移送させたくないばっ…

la douce pluie 30

私は雨に打たれながら私と同じようにきっとこの雨に濡れているミシェルの事を考えていた。 ミシェルは何も持たずに出て行ってしまった。もちろんお金も傘も何もないはずだわ。 シャルルと逃亡したあの頃、私達も今のミシェルみたいに何も持たずにアルディ家…

la douce pluie 29

私はミシェルに手を引かれ扉へと向かっていた。ミシェルはまるで近くへ散歩に行くかのようなそんな感じだった。 その場の勢いで一緒に行くと言ったもののシャルルと別れるなんて私には出来ない。そんなのは絶対にイヤだ。だから私はここでミシェルの強制移送…

la douce pluie 28

「マリナ……。オレと行く?」 ミシェルは私の顔を覗き込むようにして聞いてきた。 私も一緒に行く…ジルを止めたくて咄嗟に出た言葉だった。 「君にも選ぶ権利があるよ。オレと行くか、ここに残るか。どちらかひとつ選べよ。ただし、オレと行ったら今までの暮…

la douce pluie 27

ジルは写真を全て戻すと黒いファイルをパタンと閉じて自分の傍らに置いた。 「この写真は処分します。 しかしお二人の事はまだ解決していません。こんな事があった以上、ミシェルをこのままアルディ家に置いておくわけにはいきません。」 私は驚いて隣に座っ…

la douce pluie 26

黒いファイルを手にしたジルの表情を見て私は胸の奥に鉛が支えているような重たい気分になった…。 そして言い知れぬ不安…。 ジルは再び私たちの前に座ると黒いファイルから一枚の書類を出した。 「マルク・バルトリに関する調査報告書です。それから…」 ジル…

la douce pluie 25

「ミシェル、自分の立場をわきまえなさい。たとえ兄弟だとしても当主の居室に無断入室は許されません。勝手な行動は慎んで下さい。」 いつになくジルの口調は厳しかった。 ますます話が大きくなってしまった事に私は頭を抱え込みたい気分だった。 「これはマ…

la douce pluie 24

通話終了を確認すると私はすぐさま腕時計を確認した。 シャルルが5分と言えばそれは絶対だった。 一秒の狂いも許されないと私は常に正確さにこだわり務めてきた。 私の中に流れるこのアルディの血がそうさせるのかもしれない。 4分52秒が経ちシャルルの携帯…

la douce pluie 23

マルク・バルトリ23歳、フリージャーナリスト。 政界、財界のスクープ記事を書いてきた人物だった。しかしこれまで大きな記事を扱ったことはなく、小さなスキャンダルで小銭稼ぎをしてきた男だと報告書には記載されていた。 私はマルクの基本データに目を通…

la douce pluie 22

「人が来るとまずい。早く開けろ。」 胸がざわざわさして両手を握りしめ胸にあてた。どうしよう…。 シャルルが居ない間に誰かを居室に入れるなんて無理よ。 「だめ、入れられないわ。自分の部屋に帰ってちょうだい。」 ここはシャルルの部屋だもの。 勝手な…

la douce pluie 20

寝室に響き渡るシャルルの携帯の呼び出し音。プルップルッ…。 シャルルは携帯を取り出すと液晶画面に視線を落とす。 急いで歩き出し私から少し離れてから電話に出た。 「私だ。……5分後に掛け直せ。」 それだけ言って携帯をしまった。仕事の電話だったみたい…