楽しみにしていた夕食はシャルルの言っていた通りにとても豪華で南国らしいものばかりで美味しく頂いた。
もちろんシャルルがキャップを被って桟橋で釣竿振り回して釣ったわけでも、海に潜って魚を捕ってきたわけでもなかった。
「ここで出される料理はすべてオレが事前に伝えておいたものだ。使用する食材は空輸させ、食器やカトラリー、飾る花に至るまでオレが全て決めた。シェフは全員アルディから同行させた者たちなので間違いないはずだ。」
うぅっ…出た、完璧主義。
これはもう完全完璧絶対主義だわっ!
「さて、そろそろデザートにしようか?」
はて、さっきデザートは食べたけどまだ出てくるのね。デザートならいくらでも食べられるわ。どーんといらっしゃい!再びテーブルにつこうとした私の腰を攫うようにしてシャルルが腕を伸ばしてきた。
「マリナ…。そっちじゃない。」
青灰色の瞳が艶やかに色めき私は吸い込まれそうになる。
息が掛かるほど近くにシャルルを感じて私はドキドキしてしまう。
「じゃあ、デザートはどこ?」
シャルルは私の腰に伸ばした腕にぐっと力を入れると私を引き寄せその胸に強く抱きしめた。そして私の耳元で甘く囁くように言った。
「オレは生涯、君しか愛さない…」
シャルルの滑らかな肌が私に触れ、私は溢れるほどのたくさんの愛を注がれた。
明け方にふと目を覚ますとすぐ目の前で眠るシャルルのアップだったのよ。
寝起きにシャルルとこの距離はいくら丈夫な私でも心臓に悪いわっ!
だってシャルルのおでこがピッタリと私のおでこにくっ付いているのよ。これでシャルルが目を覚ましたら長い睫毛から繰り出される風がバサバサと私に吹きそうな勢いだわ。
その上シャルルの腕は私の腰にがっちりと巻きつき離れそうもない。
そうなのよ!シャルルはね私を両腕で抱え込んで眠っているのよ!
私はその鍛え上げられた逞しい胸や腕を全身で感じてしまっていたの。これで普通に眠れる人がいたら教えてほしいぐらいよ。
腰に絡まった腕からそっと体をズラして少し離れた安全地帯から私はシャルルの寝顔を見た。
【オレは生涯、君しか愛せない。】
私は昨夜のシャルルの言葉を思い出していた。いつだってシャルルは真っ直ぐな愛を私に向けてくれる。
生まれた瞬間から神に愛され何もかもを与えられ、そして…孤独を背負った人。
モゾモゾしながら私は両手でシャルルの頬にそっと触れながら眠っているシャルルに向かって呟いた。
「私があんたの孤独を神様につき返してやるわ。もうあんたは一人じゃない。だって、私もあんたしか愛せないから…」
瞬間、私の腰に巻きついていた腕に力が入り息も出来ない程に抱き寄せられてしまった。
「あんた、いつから起きてたのっ?!」
「君がオレの腕から逃れていった時から…」
シャルルは眠りが浅いのかちょっと動いただけで目を覚ましちゃったんだわ。
そっと腕の力を緩めると私を青灰色の瞳が見つめている。
「おかげで君の愛の言葉が聞けた…」
シャルルはまるで花が咲くような微笑みを浮かべ、そっと私にキスをした。
「今日でバカンスは終わりだ。パリに戻るけど君は歩いてアルディには戻れないかもね。」
えっ?!待って、またぁ?!
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みなさん、こんにちは!
二人のバカンス楽しかった(≧∇≦)
一週間以内の更新を目標にしてたけど過ぎちゃった最終話まであと少し。
もうしばらくお付き合いして貰えたら嬉しいです(^o^)
マリナちゃん、最後まで離してもらえませんでしたねw