きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

la douce pluie 43

シャルルは私の秘密をずいぶん前から分かっていて、それでも私から打ち明けてくるのを待っていた。そうとも知らずに私は秘密を守り通してしまった。
後ろめたい気持ちが過呼吸をも引き起こしていた。あの雨の日以来、息苦しさに襲われる事は一度もなかった。
知らないうちにシャルルへの秘密がかなりのストレスになっていたのね。
それにこの二週間、シャルルがずっと一緒にいるからかもしれない。

「明日までには回復してくれよ。」

風邪で熱を出した翌日に豪華な朝食に浮かれる私にシャルルが言った言葉だった。
プライベートジェットがパリを飛び立ち辺りは暗くなり始めている時だった。


「ほら、見てごらん。」


窓側に座っていた私の肩をそっと抱いてお互いの頬が触れるほどの距離からシャルルは窓の外を指さした。
私は言われるままに外を見上げると満天の星空が辺りに広がりまるで煌めく砂粒を天空に散らしたかの様だった。


「なんて綺麗なの……。
こんなに近くで見たのは初めてだわ。
だけど織姫と彦星は一年に一度しか会えないなんて悲しいわね…。」


私だったら…シャルルに会えないなんて考えられない。この二つの星の輝きは限られた時を知るかの様に光を放っているかと思うと切ない気持ちになった。



織女星ベガと牽牛星アルタイルが年に一度だけ七月七日の夜に近づく事から生まれた伝説だけどね。
もともとこの二人は恋人ではなく夫婦だったんだ。結婚を期に…」



「ちょっと、待って…」


この感動を邪魔されたくなくて私は思わずシャルルの言葉を遮った。
まったくシャルルったら全然ロマンチックじゃないんだから…。
天体のうんちくなんて聞かされたらムードもへったくれもないわ。



「オレなら……。」


ん?何かしらと思って私が振り返ると真剣な眼差しを私に向けたシャルルがそこにいた。


「オレなら…たとえ何があってもマリナを悲しませるような事はしない。
君の笑顔をだけを見ていたいからね。
織姫と牽牛は結婚により互いを見失い、自らを堕落させ、ついに帝の命により離れ離れにさせられた。
マリナ…人は馴れ合うだけではダメなんだ。互いが存在する事で個を高めていく必要がある。それには何が必要かわかるか?」


私は小さく首を振った。
シャルルはそんな私の頬にそっと手を伸ばした。


「信じる心だよ。信頼関係があれば相手を不安にさせる事もその逆も起こらない。今回の君の抱えた秘密はオレへの配慮からだろう。だがそれが原因で君は過呼吸を起こした。何よりも守りたいと思っている君を苦しめる結果となってしまった。二度とそんな思いはさせたくない。いいかい?オレはいつだって君を信じている。だからオレに隠し事なんてしなくていいんだ。」


シャルルの思いを知って胸に熱いものが込み上げてきて私の頬を涙が伝った。


「愛してる…。君だけを永遠に…。」


こんなに愛してくれるシャルルを二度と悲しませたくない。
私にはシャルルしか見えない。
私はこの満天の空に誓った。


「私はいつだってあんただけを見ている。誰よりも愛してるの。あんたを悲しませる事は二度としないと誓うわ。」


シャルルは私を引き寄せると上空10000メートル天の川がきらめく中、そっと唇を重ねた。






つづく

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みなさん、こんにちは
七夕には間に合わなかった…(>_<)
昨夜は力尽き、寝てしまいました。

次回は二人のバカンスに同行しようと思っています。そのためR限定公開になるかと思います。お気に入り登録をされる場合は一言お願いできればと思います。
Rが苦手な方は飛ばして頂いてもお話は通じるかと思います。45話までお待ちくださいませ。