きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

夢から覚めて4

「あんたを忘れる事できなかった。」

オレは自分の耳を疑った。
オレがそうであって欲しいと願うあまり幻聴が聞こえたとでも言うのか。
それともこれは夢とでも言うのか。
いや、確かにマリナはオレの腕の中にいる。

「マリナ…」

彼女の名を口にした瞬間、オレは歓喜に震えた。心の奥底に無理やり押し込んでいた想いが溢れ出し愛しさで胸が熱くなる。
しかし相手はマリナだ。
慎重にならなければいけない。
オレは考え得る限りの可能性を考え始めていた。友達としてオレを忘れてはいなかったという挨拶か、そして懐かしさから来る感動の涙か…。
オレの想いがまだ戻れるうちに確かめなければいけない。

そっと腕を解きマリナの顔を覗き込む。

「何かごめん。あんたの顔を見たら急に涙が出てきちゃった。」

マリナは袖口で涙を拭いながら少し照れたような顔をして言った。
そんな彼女の瞳にオレは吸い込まれそうになる。時が経っても彼女にとらわれている事の証明になるだけだな。

「マリナ、オレは…」

ー今でも変わらず君を想っているー

オレの想いをぶつけてしまって、もしさっきの言葉が友達としての発言だとすれば彼女の負担にならないだろうかと一瞬、躊躇い言葉を止めた。
するとマリナは慌てたようにオレから少し離れて早口で話し出した。


「ごめん、あたしったらシャルルの事情も聞かないで勝手なこと言っちゃった。
やだっ、さっきのはその…気にしないで忘れちゃってよ!
シャルルはやっぱりキレイだし頭良いし、女の人が放っておかないよね。
そうよ、いつまでも一人なわけないわ。
あたしの事をまだ少しぐらい想ってくれてるかもーなんてのこのこパリまで来たけど甘い、甘いっ!だよね。
まったく何年前の話を…して…るん…」


不確かな物が確信に変わった瞬間、オレは彼女の唇に唇を重ねていた。
涙の味がする愛おしい人を再びオレは取り戻した。二度と離したくないと神に願った。


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「オレの部屋の隣をすぐ使えるように準備を。」

オンフックでメイドに用件を伝える。
すぐにでもマリナを抱きしめて自分のものにしてしまいたい。
だが、アルディ家当主となるオレと同じ部屋で寝起きするという事がどういう事なのか、その覚悟もないままアルディ家に閉じ込めてしまうような真似はしたくなかった。

愛しているから触れられない。
君を知ってしまえばオレは二度と君を離してなどやれない。
たとえ君が再び和矢と見つめ合ったとしてもだ。
だからオレは君と共に眠れないんだ。

「今日からオレの隣室を使ってくれ。
足りない物があったら用意させるよ。」



つづく


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みなさん、こんにちは
この再会シーンを書いている時、一人で感動していた私(笑)
シャルルの幸せを願い書き続けている私の根底となっているものです。
でも二人はまだ…。
次話から話がまた「今」に戻ります。