きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

夢から覚めて(シャルル×マリナ)

夢から覚めて23 最終話

次の日の朝、あたしはシャルルの腕の中で目覚めた。すぐ隣にシャルルの温もりを感じて幸せな気持ちになる。 まだ寝ているシャルルを起こさないようにそっとベットから出ようとしたらシャルルの腕があたしのウエストに絡みついた。 「Marina, tu vas ou?」 …

夢から覚めて21

バスタブに浸かってだいぶ経ったと思う。上がろう上がろうと思いながらなかなか出られずにいた。 ジャグジーが心地よく体を揺らしていたのも最初だけでもう熱くて限界だわ。 あたしは心を決めて白桃色のお湯から立ち上がった。 脱衣所には真新しいバスローブ…

夢から覚めて20

その日の夜、あたしはシャルルの仕事が終わるのを待って一緒に夕食をとった。 最後のデザートをあたしが食べ終わったタイミングでシャルルも僅かに残るワインを飲み干した。 「一人分で足りたのかい?」 「やめてよ~!もう昔みたいに食べたりしないわよ。」…

夢から覚めて19

「Je t'aime plus que tout.Tu renvoie pas au Japon.」 シャルルに勉強を教わっていた時に聞いていたフランス語とはどこか違う、とても甘く優しい響きだった。 あたしはその言葉の意味が知りたくてシャルルの胸から顔を上げた。 「ねぇ、今なんて言ったの?…

夢から覚めて18

しばらくすると検査結果を手にシャルルは戻ってきた。 「やはり抗体ベンゾアピンも代謝酵素も検出されなかった。昨夜のうちに検査していたら微量ながらも検出されたかもしれなかったけどね。どちらにせよオレが行った時、君はもう寝ていたから今となっては分…

夢から覚めて17

シャルルは何をしに来たの? でも折角来たのにあたしが寝ちゃってたもんだからそっと寝室まで運んでそれで帰ったんだわ。 そうよ、いくらあたしだって自分でベットに行った事ぐらい普通覚えてるものね。記憶がないって事はそういう事だったんだわ。 だけど何…

夢から覚めて16

今朝はいつもよりも早く目が覚めてしまった。たぶん昨日ジルからシャルルの薬の話を聞いて夕食もあまり摂らずに寝たからさすがにお腹が空いてきたみたい。 こんな時でもちゃんと空腹を感じるあたしって図太いと言うか良く言えば健康的というのか…。 ううん、…

夢から覚めて15

「…ヴェ パ …アレ オ ジャ…」 ベットに運ぼうとマリナを抱き上げた瞬間、オレは動けなくなった。 僅かだったがそれが何かすぐに分かった。愛おしさからマリナを抱く手に力が入る。 確かにフランス語だった。 Je vais pas aller au Japon(私は日本に行かない…

夢から覚めて14

シャルルの部屋を後にしたあたしはすぐに自分の部屋に戻る気になれなくて辺りはすっかり暗くなっていたけど本邸から少し離れた裏庭の花壇に向かっていた。 パリに来てすぐの頃、あたしは小さな花壇を作って欲しいって庭師のファビオにお願いしたの。 つい一…

夢から覚めて13

先日のアングージュ公爵との会食をキャンセルしたおかげで今夜の公爵邸で開かれるパーティーへの参加は避けられなかった。 こんな時でもオレはアルディの名を背負わなければならない。気が向かないまま身支度を整えていく。 玄関ホールに降りていくとドレス…

夢から覚めて12

厨房を出て何度か行った事のあるジルの執務室まで二人で並んで歩いていた。 「ジル、一体どういう事なのよ?」 あたしは部屋まで待ちきれずにジルに尋ねた。廊下を歩いてると何人かのメイドさん達とすれ違い、その度に彼女たちは軽く会釈をして行く。 「ジル…

夢から覚めて11

あの時の和矢への気持ちは懐かしさからだと気付いたのはシャルルと別れてからだいぶ経ってからだった。 シャルルとさよならしてからのあたしはずっと心の何処かにポッカリと穴が開いてしまったようだった。 何かが足りないような落ち着かないような…そんな気…

夢から覚めて10

「マリナさん、どうしたんですかっ?」 騒ぎを聞いたジルが駆けつけて来た。 あたしはあまりの悔しさに唇を噛みしめていたせいか、僅かに血が滲んでいた。 厨房内は騒然としていて誰かがジルに連絡をしたようだった。 「ジル様、申し訳ございません。」 戸惑…

夢から覚めて9

あたし、シャルルと…? まずは落ち着いてよく思い出すのよ。 ワインを飲み終わって、もう一本って言ってシャルルがキッチンに取りに行ってくれて…それでどうしたんだっけ? 全然思い出せないわ。 そしてあたしは倒れこむようにして再びベッドに体を沈めた。…

夢から覚めて8

次の日から少しずつシャルルの空いている時間にフランス語の勉強を始めた。 シャルルが用意してくれた幼児向けの教材とシャルルがあたし用に作ってくれた物を使ってほとんど毎日シャルルの部屋で勉強をしていた。 今日も約束の時間にシャルルの部屋に向かっ…

夢から覚めて7

「時間が取れない時もあるが明日からオレが教える。読み書きまでしたい?」 シャルルはポケットからメモを取り出してあたしにいくつか質問しながらサラサラと何かを書いていた。そしてふと手を止めてあたしに視線を向けた。 「なぜ急に勉強しようと思ったん…

夢から覚めて6

冷たい手があたしの頬に触れてハッとして起き上がると青灰色の瞳があたしをじっと見つめていた。 「夕食の時間も忘れて眠りこけるなんて君にしては珍しいね。」 「もう、夕食の時間っ?! やだ、何だか疲れてたみたい。」 あたしはソファに座りなおして肩を…

夢から覚めて5

涼やかな秋風に運ばれて彼女の笑う声がこぼれ落ちてきた。ふと見上げればカーテンが揺らめいている部屋が一つだけある。そして微かに聞こえてくるもう一人の声…。 時が止まったかのような静寂に包まれ、オレは動く事が出来なかった。 「シャルル様、どうかな…

夢から覚めて4

「あんたを忘れる事できなかった。」 オレは自分の耳を疑った。 オレがそうであって欲しいと願うあまり幻聴が聞こえたとでも言うのか。 それともこれは夢とでも言うのか。 いや、確かにマリナはオレの腕の中にいる。 「マリナ…」 彼女の名を口にした瞬間、オ…

夢から覚めて3

繰り返されるだけの日々をただ送っていたオレの人生に再び色彩をもたらしたのは運命の人だった。 「マリナさんがいらっしゃってます。」 身を裂かれる様な思いで彼女に別れを告げてからどれほどの時が経っただろうか。今さらどうしたと言うんだ。 和矢に何か…

夢から覚めて2

ポールにフランス語を習い始めて数日が経っていた。最近は単語の読み方だけじゃなくて文法っていう小難しい所も入ってきて、あたしの頭はちんぷんかんぷん。毎日頭を抱えながらやっていた。会話だけでいいのよってあたしは当初言ってたんだけどまずは基本的…

夢から覚めて1

「ねえポール、少し休憩にしましょうよ。もう二時間はしてるわよ。さすがに疲れちゃった。」 あたしは手にしていたペンをテーブルに置いて重くなった首をぐるりと回した。ミシミシッと骨が軋むような凄い音がする。 「アイタタタ…。」 首を摩るあたしを見て…