きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

la douce pluie 44

私たちを乗せたプライベートジェットはモルディブの玄関口、マーレ空港に降り立った。
モルディブ共和国はインド洋にある島国でここから更にフェリーに乗って小さな島に向かうってシャルルは言っていた。


モルディブは人類最後の楽園と称えられ観光客もとても多い。
1200以上の島からなる国で実際にリゾートとして使われているのは100程度でそれぞれが独立したリゾートになっている、ワンアイランド・ワンリゾートなんだ。」


フェリーに乗って島に着くとそこはまさに楽園だった。澄み切った海とどこまでも青い空、眩しいほどの白い砂浜が私たちを迎えてくれた。
緩いカーブを描くような桟橋の先には水上ヴィラが立ち並んでいた。
旅行雑誌を切り取ったような絶景に私は大はしゃぎで桟橋を駆け出した。


「マリナっ…走るんじゃないよ。この辺りにはサメも多く生息しているから誤って転落でもしたらサメに食われるぞ。」


「げっ」


その言葉を聞いたとたん私はピタリと足を止めた。桟橋の幅は約2メートルほどで歩いている分には問題ないわ。でも転んだりしたら止める物が何もないからそのままドボンするわね。楽園に来てサメの餌になるなんてごめんだわっ!
それに人にぶつかっても危ないしね。ここはシャルルと手を繋いでいるのが一番だわ。

そしてふと気付いたの。レジス島は30分ほどで島を一周できるほどの小さな島なんだけど私たち以外、人っ子一人いないのよ。
私は後ろからバカンスに訪れたモデルのように優雅に歩いてくるシャルルを振り返りながら言った。


「まさか、あんたの事だから島ごと貸切にしたとかなの?」


シャルルは夏の風に白金色の髪をなびかせながらこの島の佇まいに満足げな表情を浮かべて辺りを見渡していた。



「このレジス島はアルディ所有のリゾートだからオレたち以外は使用人だけで他には誰もいないよ。」



フランス各地にいくつかの館を持ち、ついには島を丸ごと持っているなんて恐るべきアルディ家の金持ちっぷりに私はもう驚くしかなかった。


「さあ、中へ入ろう。」



扉の向こうにはラグジュアリーな空間が広がっていた。30畳はあるリビングにはゆったりと大きなソファ、5メートルはある大きな窓からは蒼い海が水平線まで見渡せる。水上ヴィラから直接海に出ることも可能でプライベートビーチになっている。私は豪華すぎる空間に思わずため息を漏らした。


「シャルルっ!モルディブって本当に素敵なところねっ!」


こっちにおいでとシャルルがテラスへのドアを開けながら言った。
私は後へ続いてテラスに出てみるとヴィラから迫り出すようなテラスの床の一部がガラス張りになっていて足元には透き通った海が見られるようになっていた。


「あっ!シャルル、魚よっ!」


黄色や水色の魚たちが気持ちよさそうに泳いでいるの。食べたら美味しそう。
ここにいたら飢え死することはなさそうね。


「マリナ今、美味しそうって思ったろ?顔にそう書いてあるぞ。」


やだっ、いつのまに書いたのかしらっ?
私が顔をゴシゴシこすっているとシャルルがバカにして笑った。


「そんなわけないだろ?マヌケなマリナちゃん。今夜のディナーは楽しみにしておいで。」


もしかしてシャルルが潜って魚を獲ってくるのかしら?シャルルなら何でも出来そうだものね。



「あんたが潜って獲ってくるの?」



直後シャルルの冷やかな冷凍光線を私は一身に浴びてしまった。




つづく




******************

みなさん、こんにちは!
書いてて楽しかった~(^o^)
けど、Rまでたどり着けませんでした(≧∇≦)
次回、限定公開になります。