きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

夢から覚めて16



今朝はいつもよりも早く目が覚めてしまった。たぶん昨日ジルからシャルルの薬の話を聞いて夕食もあまり摂らずに寝たからさすがにお腹が空いてきたみたい。
こんな時でもちゃんと空腹を感じるあたしって図太いと言うか良く言えば健康的というのか…。
ううん、やっぱり図太いだけか。


今回の事だってフランス語をポールに教わってた時点であたしはシャルルに対して無神経だった。
シャルルの大切な時間を使いたくなくて勉強に飽きたって言ったのもやっぱり無神経だった。もっと素直にシャルルが心配だから勉強は一人でやるわって言うべきだったのかもしれない。でもそれを話すとジルの話もしなくちゃいけなくて、眠らない薬を無効にする薬をあたしが口にしたのをシャルルが知ったらジルを責めるかと思ったの。それにフィリップさんまで巻き込む事になる。
せめて何かもっと気の利いた言葉でも言えたら良かった。まさか和矢の名前が出てくるなんて思ってもみなかった。
考えれば考えるほど後悔という暗雲が胸の中に広がっていくばかりだった。


ふと、昨日の二人の姿を思い出していた。気高さと気品とが自然と滲み出てくるような二人にあたしは自分の居場所を見失いそうになっていた。




大きなため息と共に寝室を出てふとリビングの机の上に目をやるとテキストが開いたままだった。
あれ?あたし勉強しながら寝ちゃったような…。でもベットに行った記憶はないのよね。きっと寝ぼけたままベットには行ったんだわ。
パリに来たばっかりの頃、あたしはすっかり床で寝てちゃってて朝になって掃除に来てくれたメイドさんにびっくりされた事があったっけ…。
ノックしても返事もなくて何かあったんじゃないかと部屋に入ってきたメイドさんはあたしが倒れてるって勘違いして大騒ぎになった事があったの。
それ以来ちゃんとベットで寝るようにしていた。
でもねあたしは日本人だから床でゴロンとするのが好きなのよ。
それにここの絨毯って手触りがとっても気持ちいいのよ。うちのアパートの畳とは比べものにならないほど快適なの。
やっぱりあたしはシャルルとは釣り合わないのかもしれない。
シャルルもそれが分かっていてあたしとは今の関係のままなんじゃないかと思い始めていた。




机の上に出しっ放しのテキストをしまおうとしたその時、あたしは目を見張った。
あたしの書き込んだ文字の横に綺麗なフランス語が綴られていた。


えっ?何これ…?
昨日あたしが見た時は書いてなかった。
夜は特に呼ばない限りメイドさんは部屋には来ない。もちろん勝手に入ったりは絶対にない。この部屋に勝手に入ってくる人もいない。
もしかしてシャルルが来たの?
まさか、勉強していたのを見られた?


昨日は花壇を見に行って、それから部屋に戻って少しだけ勉強していたけど遅くまで起きていたはずだった。
という事はそんな遅い時間にシャルルは何をしに来たの?








つづく