la douce pluie 33
「ミシェルとのキスは忘れろ…」
そう言って息も出来ないほど抱きしめられ唇を奪われた。
嫉妬と愛しさと、そして…情熱をシャルルから注がれていく。
甘く切ないキスはミシェルの時に感じた物とは明らかに違っていた。
ミシェルのキスは私を黙らせるためだけにした愛のない悪戯なキスだった。
シャルルは唇をそっと離してもう一度絞り出すように言った。
「忘れるんだ…。忘れさせてやる。」
その瞳は妖しさを纏い私は目を反らすことが出来ない。
唇が触れるか触れないかの距離で囁かれて私はドキドキが止まらない。
「君の記憶の欠片にさえミシェルが残らないように…。」
そう言って再び唇を重ねた。
甘く優しいキス。そして次第に激しく私を求める。
私は立っていられずにシャルルの腕を掴んだ。息苦しさに顔を動かそうとしてもシャルルに抱きしめられていて動けない。
「ん、ん…う…っ」
私から溢れる声にシャルルがようやく腕の力を緩めてくれた。
「シャワーをしておいで。
このままだと明日は本当に君の看病になりそうだ。オレの想いを伝えるのはその後にしよう。」
シャルルの想い…?
告白でもされるのかしら?
それはいくら何でも今さらよね…?
ジャグジーの泡に体を揺らしながらシャルルの言葉を私は思い出していた。
ーオレはもう二度と君を離さないー
その絶対的な言葉に私は胸が打ち震えた。私の隠した秘密さえシャルルは丸ごと引き受けてくれているんだと分かった。もう不安になったり隠し事をするのは絶対にやめようと心に誓った。
私はシャワーを済ませてリビングへ戻るとシャルルも他のバスルームを使っていたみたいで部屋に入ってくるところだった。僅かに濡れた白金色の髪を後ろにかき上げながらこっちに歩いてくる姿は見惚れてしまうほど綺麗だった。
「気分はどう?」
覗き込むようにして見つめられてドギマギしてしまった。至近距離からのシャルルは眩しすぎるぐらい綺麗でいつまで経っても慣れないわ。
私はコクリと頷いて答えるとシャルルは
瞳をキラリと光らせ私の腰を自分の方へと引き寄せた。
「さすがオレの愛しい人は丈夫に出来ているようだ。良かった…過換気症候群も落ち着いているようだな。
向こうで診察させてくれ。」
シャルルはそう言って私の膝の裏に左手を差し入れて軽々と私を抱き上げた。シャルルの逞しい腕に抱えられて寝室のベットまで運ばれた。
私をベットに横たえるとシャルルも隣に横になって肘枕を作り、形の良い頬を手のひらに充て、輝くような白金色の髪が私の頬にかかるほど近くからじっと私を見つめた。
私のこめかみに手を伸ばしそっと髪の中へと潜らせた。
診察するものだとばかり思っていた私はシャルルの艶やかな唇と妖しく光る瞳を近くで感じてしまって頬が熱くなるのを感じた。シャルルは青灰色の瞳を揺らめかせながら私へと語りかけた。
「オレの想いは永遠に変わることはない。自己を知り尽くしたオレが君を愛する事に終わりはない永遠が必要だと考えたからだ。二度と離しはしない。
たとえ君に泣いて頼まれたとしてもだ。生涯でオレが愛するのはマリナだけだ。
オレが君の苦しみも不安も全てから救い出してやる。だから二度とオレに嫌われたらなどと考えて不安にならないで欲しい。苦しいほど君を愛しているんだ。」
「シャルル…」
私はシャルルの言葉に胸の奥が熱くなっていた。こんなにまで愛を注がれているのに私は何を不安になっていたんだろう。秘密を持つ怖さを今回の事で思い知らされた。シャルルが成長し続けていく秘密という不安から私を救い出してくれた。どこまで深い愛なんだろう…。
私は左手を伸ばしシャルルの頬に宛てた。精一杯の愛を注ぎ込むように。
「あんたがシャルル・ドゥ・アルディだって事を忘れていたわ。もう秘密なんて持たない。私があれこれ考えてもシャルルには通用しないものね。
シャルルを愛してる…それだけを素直に言うべきだった。こんなにも愛してくれてありがとう。」
「愛の診察を始めるよ…」
つづく
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みなさん、こんにちは!
愛の診察って…?(≧∇≦)朝から私、どうした?(笑)
久しぶりの更新となりました。1週間ぶりです。次回、限定公開と言ってましたが寸止めで辿り着けませんでした
次回までお待ちください\(//∇//)\