きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

la douce pluie 41

ミシェルへの嫉妬からオレはマリナを傷つけ、泣かせた。そしてミシェルは…。


「マリナはオレ達の運命をずっと近くで感じながらオレとお前が共に暮らす事を望んでいた。何よりも喜んでいたのはマリナだ。その思いをお前は踏みにじったんだ。」


ミシェルがアンテロスとしてオレ達の前に現れた時からマリナはずっとそばでアルディの闇を感じてきていた。だからこそミシェルを本邸に呼び寄せたと知った時、マリナは運命を乗り越えたオレ達を心から喜んでくれたんだ。



「それでもオレは彼女を手に入れたかった。生まれた時からアルディの運命を背負わされ、お前の双子の弟として世間から隠されて過ごしてきた。
もしも双子としてではなく年の違う兄弟ならばオレはまた違う生き方があったのかもしれない。
オレが気付いた時にはアルディの当主の座もマリナもすでにお前のものだった。そんなオレにマリナは言ったんだ。どこで育つかによって運命が変わってしまうなんて不公平だと…。
オレはその時、悪あがきをしてみたくなったんだ。」

青灰色の瞳はどこか優しく、そこに映し出される自分とまるで向き合っているようだった。
オレの錯乱を装い、当主の座を奪っていった時の物とは明らかに違う。


「お前がマルクとの事で不信感を抱き何らかの形でマリナに聞く。マリナは何も話せず悩む。そしてオレは相談に乗りながらマリナの気持ちをコントロールしお前との溝を徐々に深めさせる。
何気なく隠した小さな事実はそれを隠すために幾重にも嘘を重ねることになる。
そしてマリナは自らの嘘に縛られた。オレは最後にその嘘からマリナを救い出してやればいい。
人は窮地に立たされた時に救われると心を開きその人間を頼りにするものだ。そうして少しずつお前との距離を置かせる。お前は自分の思いを抑えきれず彼女を傷つけると読んでいた。その後はオレが側にいて優しくするだけだ。
あとは知っての通りだ。」



計画は失敗に終わったと言うのにどこかミシェルはやり遂げたような満足気な表情を見せた。


「そこまで計画しておきながら最後にマリナを置いていったのはなぜだ?」

たとえ警備が動いたとしてもミシェルならマリナの手を取り逃げ出す事は難しくないはずだ。なぜ一人で逃げた…?
ミシェルはフッと長いまつ毛を伏せ自嘲的な笑みを浮かべた。


「孤島に一緒に行くとマリナが口にした時オレは震えが止まらなかった。誰かに受け入れられる事も今まで経験がなかった。彼女を手に入れたいと強く思うと同時にマリナの困惑してる顔を見て諦めようと思った。」



「なぜだ。」



「マリナの中にママンを見た気がしたからだ…。」








「マリナはどうしている?」


「オレの部屋で眠っている。」


ミシェルの眉が僅かに動いた。




つづく