きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

la douce pluie 28

「マリナ……。オレと行く?」

ミシェルは私の顔を覗き込むようにして聞いてきた。
私も一緒に行く…ジルを止めたくて咄嗟に出た言葉だった。


「君にも選ぶ権利があるよ。オレと行くか、ここに残るか。どちらかひとつ選べよ。ただし、オレと行ったら今までの暮らしは出来ないと思ってくれ。外界との接触は一切なくなる、一生だ。」


何処かで聞き覚えのあるような言葉だった。ルパートに追われて和矢かシャルルかを選べって言われた時の事が走馬灯のように思い出された。
あの時と同じじゃない。

選ぶ…?ミシェルかシャルルか…。
そんな事出来ないわ。
そもそも比べる対象が違いすぎるもの。
私は何て答えていいのか分からずに途方に暮れていた。そんな私にジルが優しく声を掛けてくれた。


「マリナさん、孤島に行けばシャルルとは会えなくなるのですよ。本当はそんな事、望んでいな…」


「黙れっ、ジル!!」


ミシェルはジルの言葉を遮るようにして立ち上がり私の手を掴んだ。


「マリナ、オレと来てくれ。」


ミシェル…。
縋るような目で見つめるミシェルの青灰色の瞳があの日のシャルルの瞳と重なって見えた。
私が思うよりも強く私を必要としていたシャルルと似ていた。
私は言葉に詰まりミシェルを仰ぎ見るばかりだった。繋がれた手を強く引かれて私は思わず立ち上がった。それは引っ張られたからと言うよりはミシェルの必死な思いに突き動かされた感じだった。


「行こう、マリナ。」

そう言ってミシェルは歩き出して私もつられて扉へと歩きかけたの。
だけど行こうって言ったってまさかこのまま二人きりで行くわけじゃないわよね。こんな状況だったけど私は歩いたり、それこそ島まで泳いだりするんじゃないかって急に心配になってきて、そうなると私は行けないんじゃないかって気になり始めたの。
それでミシェルに聞いてみようと思って繋がれた手をブンブンって振って呼び止めたの。

「ねぇミシェル、行くってまさか歩いて孤島まで行くの?それに私は泳げないわよ!私、体力には全く自信がないわ。」


私の言葉を聞いて振り返ったミシェルが肩を揺らしてクッと笑いだした。

「今から行くのは自室だよ。荷物ぐらい持っていくだろ?孤島には監視員と言う名の使用人がいる。必要な物があれば手に入れられるけど持って行きたいものとかあるだろ?島は自由に出歩けない以外はここと大差ない。
数日内にヘリで連行されるよ。歩いたり泳ぐ必要はないから安心していいよ。」


ミシェルの笑顔はとても眩しくて、これから生涯、幽閉される人間とは思えないほど綺麗で輝いていた。
私がマルクから貰ったメモを隠し持っていた事から始まったこれまでを私は思い出していた。ミシェルはいつだって私の味方でいてくれたし、庇ってくれていた。シャルルを想う気持ちとは違う種類の好きって気持ちが私の中にはある。
これが愛ではなくても私はミシェルが好きになり始めているのは確かだった。







つづく


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みなさん、こんばんは(^o^)

私はシャルルが大好きなんです。それなのにミシェルばかりをいまだに書いてます(笑)今回の作品、シャルル何回出てきただろう…(-。-;

あのシーン…みなさんピィーーン!ときかましたか?
オレと行くか、和矢と残るか…。
あの時からシャルルが長い間、胸にしまっていたマリナへの想いを解放し彼女を相手に恋愛が出来るんだと喜び溢れていたシャルルでしたね。
そして…重なる唇が震えていた。
直後にマリナに二度としないって約束をさせられちゃうんですよね可哀想…