きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

la douce pluie 22

「人が来るとまずい。早く開けろ。」

胸がざわざわさして両手を握りしめ胸にあてた。どうしよう…。
シャルルが居ない間に誰かを居室に入れるなんて無理よ。

「だめ、入れられないわ。自分の部屋に帰ってちょうだい。」

ここはシャルルの部屋だもの。
勝手な事は出来ない。

「さっきの写真を預かってて欲しい。それを渡すだけだ。オレがもし拘束されたらシャルルの手に渡る。部屋に隠しても同じ事だ。」

あのキスの写真を持ってきたの?
頭を抱え込みたくなってくる。今誰かに見られたら大変じゃない!さっさと受け取らなきゃ。
そっと扉を開けるとミシェルは扉に手を掛けて強引に開くと中へ滑り込んできた。

「ちょ、ちょっとミシェル、何してるのよ!入ってくるなんて話が違うじゃない。」

「ああでも言わなきゃ開けないだろ?」

でもシャルルの部屋で二人で会ったりしたら凄くまずいわよ!
私は戸惑ってミシェルに抗議した。

「シャルルが戻ってきたらどうするのよ!あんたの処分だってまだ決まっていないのに。」

「シャルルが出掛けたのを確認してから来た。アイツが動き出す前にマルクと取引する。だからマリナは何も話さなくていい。シャルルに余計な心配掛けたくないんだろ?それだけ言いに来た。それにマリナが心配だった。」

小さな期待と大きな不安が入り混じる。
もう何のために嘘をついているのか、何がしたいのか分からなくなっていた。

「シャルルに内緒で取引するの?
そんなのすぐに分かってしまうわ。相手はシャルルなのよ。」

「知っているよ。だが忘れてないか?
オレはミシェルだ。同等、もしくはそれ以上だぜ。」

ニヤッと笑みを浮かべたミシェルは自信に満ちていた。何か作戦があるのかもしれない。ミシェルの言う通り写真を回収できたら誤解される事なく全部話せるかもしれない。
もうこんなのはイヤだった。シャルルに隠し事はしたくない。

「それだけ言いに来たんだが、シャルルと何かあっただろ。目が腫れてる。」

二人の事は何も話したくない。

「何でもないわ。」


私はこの場を早く切り上げたかった。ミシェルと話しているとさっきの事を思い出して泣きそうになる。

「なら、なぜ目を腫らしているんだ。
オレの部屋にいた事を責められたのか?」

シャルルは抑えられないって言ってた。ミシェルに嫉妬していたから?
でもあれは誤解だったじゃない。私の様子からミシェルは大体の予想はついたようだった。

「シャルルも心乱されたってわけか。それで君をひどく傷つけた。そんな自分が許せなくて君と距離をとった…そんなとこか?」


シャルルとの事を見ていたような口振りに驚きつつも私はさっきの事でシャルルも傷ついてると知った。
やっぱり謝るべきだわ。ミシェルに相談した事も写真の事も。

「今さら話した所でアイツの傷は変わらない。それなら隠し通した方がいい。
それより大丈夫か?何か言われたのか?それとも…。」

隠し通す?今さっきシャルルに全部話すと決めた気持ちが揺らいだ。
だめ…私、決められない。
話しても話さなくても傷付けてしまう。
ミシェルは堪らないといった顔をして唇をぐっと噛みしめると腕を伸ばして私を抱き寄せた。

「すまない、マリナ。結果的に君を苦しめてしまった。君の事になると冷静でいられなくなる。人は己の未知を知り戸惑うと言うがオレはそんな事今まで一度もなかった。だが今回ばかりはオレ自身でも持て余してしまう感情だ。」


何を言っているのか分からなかった。
未知の感情ってなによ。

「いきなり来て勝手な事ばかり言わないでよ。手を離して!シャルルに嘘つくのはもうイヤなのよ!」

私はミシェルの腕を振り解こうとして暴れた。その時ふっとミシェルが私を離したの。

「オレは困らせてばかりか…。」

寂しそうにそう言われて私は拍子抜けしてしまった。何だか私の方が悪いような気持ちになった。


「私も言い過ぎたわ。
ミシェルは力になってくれたのに、ごめんね。でも私は…」


私の言葉を遮るように非情にも扉が叩かれた。重たい空気に包まれ私たちは動けないでいた。





つづく

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みなさん、こんばんは(^o^)

いつも読んでくれてありがとうございます
ついにシャルルの部屋で密会までしちゃいました(>_<)
ミシェル大胆不敵です