シャルルが5分と言えばそれは絶対だった。
一秒の狂いも許されないと私は常に正確さにこだわり務めてきた。
私の中に流れるこのアルディの血がそうさせるのかもしれない。
4分52秒が経ちシャルルの携帯に掛け直した。
「分かった。いくらでも構わない、全て買取しろ。」
シャルルの苛立ちが伝わってくる。私は胸がチクリと痛んだ。
だけど守るためには仕方がない。
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重たい空気に包まれ私たちは動けないでいた。シャルルの居室にミシェルと二人きりなんてシャルルには絶対に知られたくない。私はもうどうしていいかわからないでいた。
「大丈夫だ。シャルルじゃない。アイツなら自室に入るのにノックはしない。
オレはシャルルのふりをするから早く追い返すんだ。声を出さなきゃ見分けはつかない。」
追い返せって言われてもどうしたらいいのよ。私はあたふたするばかりなのに対してミシェルは落ち着いた顔をして本棚から一冊、手に取るとパッと開いて読み始めた。確かにこうして見ていると見分けはつかない。
しばらくして再び扉がノックされた。
「マリナ、早く出て。」
ミシェルに言われて仕方なく扉をそっと開けて相手を確認した私は固まるしか出来なかった。
「お久しぶりです、マリナさん。」
流暢な日本語が耳に流れ込んできた。アルディ家で働く人はみんな日本語を話せるんだけど、どことなくイントネーションが違う事が多いの。でも当然よね。フランス語を話すことも出来ない私からしてみれば話せるだけで尊敬するわ。
シャルルとミシェル以外からこんなに綺麗な日本語を聞くのは久しぶりだった。
長く伸ばした流れるような見事な金髪に青灰色の瞳、天使の微笑みを称えたジルが目の前に立っていた。
「ジル…っ！」
「入ってもよろしいですか？」
にっこりと微笑んで私の返事を待っているんだけど私は焦った。
てっきりメイドだと思っていたからすぐに追い返すつもりでいたのにジルじゃ断る理由が思いつかないわよ。一体どうやってジルに帰って貰えばいいのよ。
「マリナ…さん？」
不審に思われる前に何か言わなきゃ…。
えーと、え…と。
あたふたしている私を余所にジルはじっと私の様子を見ている。まるで全て見透かされているようで私は目を合わせる事ができなくて俯きながら言った。
「ごめん、ジル。今、立て込んでいるのよ。シャルルにジルが来たことは伝えておくからまた後でね。」
私にはこれしか言えなかった。
細かな説明はする事もなく話を終わらせた。あれこれ話しているとボロが出てしまうもの。だからその前に諦めてもらうのが一番よ。
私は扉を閉めようと手を伸ばした瞬間、ジルの視線がスッと私の後ろに向けられた。私は思わず振り返りジルの視線の先にミシェルを見た。なんでミシェルったら見える位置に来るのよ！
「ミシェルっっ！
なぜここに貴方がいるのですか？！」
えっ？
なんでミシェルだって分かるの？
どうみても見分けがつかないわよ。どこかに名前でも書いてあるのかしら？そんな事を考えながら焦っているとミシェルがこっちにやってきた。
「よくオレだと分かったな、ジル。今までオレとシャルルの区別が出来るのはママンだけだったのにさすがだな。」
区別が出来た事よりも今はシャルルの部屋に二人でいるところをジルに見られてしまった方が重要よ。
私は胸の奥がギュッと掴まれたように痛みだした。
「いえ、私には見分けはつきませんが先ほどシャルルは出掛けたのでここに居るはずはない。となればミシェルという事になっただけのこと。
それよりなぜあなたがこの部屋にいるのです！」
ジルは厳しい口調でミシェルに問いかけた。淡々と語られる言葉に棘のような物を感じた。
「あのねジル、誤解しないでほしいの。これには深い訳があるのよ。でもそれは今は言えないの。だからミシェルが居たことはシャルルには言わないで！お願いよ。」
ジルは視線を廊下に向けながら言った。
「ここでは目立ちます。マリナさん少しよろしいですか？」
私はシャルルとの約束を思い出していた。この部屋からしばらく出ないように言われたんだ。
でもここで三人で居るのも変よね。
ジルが一緒なら少しぐらい大丈夫よね。
とにかく今はこの部屋から出た方が良さそうね。そう思った時に自分がナイトガウンを羽織ってるだけって事に気付いた。もちろん部屋にいるんだから別にいいんだろうけどミシェルがいるのに着替えていないのはおかしいってジルに思われたかな。変に誤解されたくない。
「ジル、着替えるから少し待ってて。ミシェルも外に出て。」
二人が廊下に出たのを確認して私は急いでクローゼットに行って着替えた。ミシェルが居たことはなんて説明すればいいの？そればかりが頭の中をグルグルしていた。
つづく
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みなさん、こんばんは(^o^)
もうすぐGWですね。
みなさんご予定はお決まりですか？
そして一週間ぶりに更新することができました
仕事は休みで心も体も解放されて今日は有意義に過ごすことが出来ました。美味しい物を食べて元気になりました
ここからペース上げて更新していきたいと思います
あっ、嘘になってしまっても怒らないで下さいね
ちなみにマリナちゃん、ナイトガウンの下はちゃんと下着つけてます（≧∇≦）
