きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

la douce pluie 27

ジルは写真を全て戻すと黒いファイルをパタンと閉じて自分の傍らに置いた。


「この写真は処分します。
しかしお二人の事はまだ解決していません。こんな事があった以上、ミシェルをこのままアルディ家に置いておくわけにはいきません。」


私は驚いて隣に座っているミシェルを見た。だけどミシェルは腕を組み目を閉じていて私には余裕さえあるように見えた。


「それでオレをどうするんだ?」


ミシェルは目を開けるとジルに問いかけた。その青灰色の瞳は挑戦的な光を放っている。こうしていると目の前にまるでシャルルがいるみたいだった。
ジルはそんなミシェルに惑わされる事なく毅然とした態度で言った。

「孤島へ強制移送し永久追放します。
二度とアルディ家への出入りはさせません。それだけの事をあなたはしたのですから。」

ジルの中で怒りと悲しみがせめぎ合っているようだった。
シャルルとミシェルが過去の事は別としてそれぞれが歩み寄り、再び家族として一緒に暮らし始めていただけにこんな事になってしまったのが悔しいのかもしれない。


「ジル、君はとても優秀な人間だ。だが親族の一人に過ぎない。オレを孤島送りにするほどの決定権が君にあるとは思えない。シャルルの力を行使するにせよ、君はその事由をシャルルには話せない。つまりオレに手は出せないはずだぜ。」

ミシェルはジルを挑発するかのように不敵な笑みさえ浮かべている。
孤島って前にシャルルが連れて行かれそうになった、あの時当主の資格を失ったミシェルが強制移送された場所のことよね。ミシェルの言うようにジルにそんな事を決める力はなさそうだった。
常にシャルルがあらゆる事を判断、決定しているはずだもの。
それなら孤島へは行かずに済むの?

「私には決定権はありませんがアルディ家へ損害を与えたのは事実です。
当主であるシャルルへの反逆罪を適応し
、直ちに移送を行います。この場合、当主への理由や手続きは一切不要なのです。」



ミシェルはシャルルにパリに呼び寄せられて今では上手くやっていたのに今回の私との事でまたその孤島に送られてしまうのはイヤだった。


「待ってよジル!
ミシェルを孤島に送るなんて納得できないわ!どうしてこんな事になったのか聞きもしないでミシェルにだけ責任を取らせるなんておかしいわ!」


私はジルに縋るような気持ちだった。
なんとか思いとどまらせなきゃいけない。だってあのキスはジルが考えるようなものではないもの。


「マリナさんはアルディ家の当主夫人となられる方です。その立場にある事はミシェルも承知しているはずです。
何かあればこうなる事も十分に予測できた。ミシェルには忠告したはずです。それを聞かなかったミシェルを庇う理由はありません。」


きっぱりと言ったジルはこれ以上私が言っても考えを変える気はなさそうだった。
ミシェルは唇を噛みしめ、手で拳を握りしめている。
どうすればいいのだろう。
シャルルには話せない…。だけどこのままだとミシェルはまたアルディ家から追われてしまう。
私がいくら考えたって何も思いつかない。でも何か言わないとこのままミシェルが連れて行かれそうだった。
そして私は思わず口にしていた。


「ミシェルが移送されるなら私も一緒に行くわ。ミシェルだけに責任を負わせるなんて私には出来ないっ!
その何とかって言う島でもどこでも付いて行くわ!」


ジルは目を剥いて驚いている。
信じられないと言った顔をして首を振っている。

「マリナさん何てことをおっしゃるのですか?!そんな事は絶対にさせられません。」


そして私の隣ではミシェルが打ち震えていた…







つづく