きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

la douce pluie 36

出て行ってしまったミシェルと話すって…?

「シャルル、どういうことなの?」

私の髪を優しく撫でながらシャルルは宥めるように言った。


「さっきの薬に睡眠導入剤も入れたから少し眠るといい。目が覚めたら楽になってるはずだ。その時に全て話すよ。」


私は今すぐにでも聞きたかった。
だけどまるで魔法をかけられたみたいに急に頭がぼんやりとしてきて…。薄れ行く意識の中でシャルルが寝室を出て行くのを微かに感じながら私は眠りについた。





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マリナが雨の中、ミシェルを追いかけて屋敷を出たと連絡を受けた時、オレはこのままマリナを失うかもしれないという不安に襲われた。
ミシェルは本気でマリナを連れて行くつもりだったのか…。
いや、それならもっと確実な計画を練るはずだ。
それにしても…どこかミシェルの行動は稚拙かつ不可解さが目立つ。
オレはミシェルの真意を見極め、アイツの処分を決定しなければならない。





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幾重にも重なるカーテンは朝陽の訪れを拒むかのように頑なに閉ざされたままだった。私は目を覚まして辺りを見渡したけどシャルルはいなかった。
起き上がってみると体の痛みも熱もすっかりなくなっていた。
さすがシャルルの薬は効果抜群だわ。
自動開閉ボタンに手を伸ばしてカーテンを開けると溢れんばかりの光が一気に部屋へと入り込み眩しさに思わず私は目を瞑った。
両手を挙げて『うーん』と伸びを一つすると背中に少しだけ痛みが走った。昨日の熱の余韻だわ。


カチャっと扉が開いて目を向けると出掛けたと思っていたシャルルだった。


「気分はどう?」


私はてっきりシャルルは居ないと思ってたけどリビングにいたみたいね。
カーテンの開く音で私が起きた事に気付いて来たんだわ。


「すっかり良くなったわ。」


シャルルは私の返事を聞くと頷きながらベット脇まで来ると少し屈んで私の両頬を両手で包み込むようにして顔を近づけてきた。突然のシャルルのアップに私がドキッとしていると私のおでこに自分のおでこを合わせた。


「熱は下がったようだね。」


離れていくシャルルを見ながら惚けってしまった…。私はてっきりキスをされると思っていたもんだからドキドキが止まらずにいた。
やだっ…キスじゃなかったのね。
そんな事を考えて赤くなってしまった。


「期待はずれだった?」


シャルルは私の顔を覗き込みクスッと笑った。天使のような輝く笑顔に私は思わず見惚れながらキスされると思ったとは口に出来ずに俯いた。
シャルルは私の考えていた事が分かっていたみたいで私の顎を摘み、上向かせると頬を傾けて唇を重ねた。触れるだけのキスをして私を見つめる。


「これ以上は…
オレが止められなくなる。」


艶っぽい瞳で見つめられて私は昨日の愛の診察を思い出して恥ずかしくなってしまった。


「バ、バカっ…何言ってるのよ…」


シャルルはクスクスと笑っている。
うぅ…からかったわね!
もう~っ!っと私が膨れているとシャルルは私の髪に手を置くとクシャっとかきまわした。


「それだけ元気ならもう平気だね。
朝食の用意をさせるから着替えておいで。」


シャルルは私にウインクしてみせると内線電話に手を伸ばした。










つづく