愛はそこにある…je crois
みなさま、こんばんは! おかげさまで無事に完結までたどり着くことが出来ました ナイスポチで私を励ましてくれる方、コメントを寄せてくれる方、訪問してくれた方々のおかげです。一人じゃここまで頑張れたかどうか…(笑)弱すぎ?w 愛の祈りの世界観をその…
「こうしてあの2人が並んで歩く姿を見られるなんて…あんたのおかげだわ、シャルル。本当にありがとう。」 私は熱く込み上げてくるものを抑えられずに涙が溢れてくる。笑顔で見送る!って決めたのにだめだわ。 小さくなっていく2人の後ろ姿を見送りながらいつ…
私は髪を撫でられているのを感じて目を覚ました。シャルルは肘枕をして私を見下ろしていた。 私と目が合うと愛おしそうに言った。 「マリナ…ごめん。無理をさせた。 君の事になるとダメなんだ。ずっとオレの側において誰にも触れさせたくないぐらいだ。」 シ…
ロビーで鍵を受け取り、無言のシャルルの後についてエレベーターで最上階へと向かった。 車を降りてから一言も話さないシャルルが何を考えているのか分からなくて私は不安になる。 私の事を怒っているのかもしれないって思いはじめていた。 勝手に別れを決め…
ガイはそっと唇を放すと私をじっと見つめている。 そのサファイアブルーの瞳は名残惜しいと言っているようだった。 切なさに揺れ動き、妖しげな色を奥に秘め、理性で抑え込んでいる瞳。 何かをきっかけにガイの激情が外へと解き放たれてしまいそうだった。 …
私が入り口で立ち止まっていると、あとから来たガイが怪訝そうな顔をした。 「マリナどうしたの?いいから中へ入って。そこに座って少し待ってて。」 ソファに座るように言うとガイは奥の部屋へと消えて行った。 私は戸惑いながらも広いリビングに1人残され…
「マリナ……」 裸足で飛び出した私を愛おしそうに見つめるサファイアブルーの瞳がそこにあった。 「ガイ……じゃない!どうしたの? あんた帰ったんじゃないの?」 驚く私にガイはそっと手を伸ばして優しく頬に触れた。心配そうな瞳で私を包み込み、その大きな…
「すぐにクレアシオン=レガリアの行方を追うんだ。」 昨夜オレ達がモンドフォール家を出た後に取引を持ち掛けた人間がいるはずだ。 果たしてそんな短時間でモンドフォール氏が取引を成立した理由は何だ。 破格の値段を提示されたのか。 しかし、クレアシオン…
「シャルル、起きれますか?」 もう朝か…。 つい深く眠ってしまったようだな。 ベットに吸い寄せられ、捕らわれたかのようだ。 体を起こし、カーテン越しに陽を浴びてオレの意識は次第に覚醒していく。 「どうした?ジル…」 「先ほどモンドフォール氏から交…
ロラン・リオンヌ。 分家の中でも上階層に位置し親族会の中でも発言力のある長老だ。 だがこのままオレが黙って婚約するとでも思っているのか。 ヒースロー空港からヘリを飛ばしてグラストンベリーへと向かった。車で移動していたら3時間はかかってしまう。 …
「おいっマリナ!いつまで寝ているつもりだ?寝正月にもほどがある! ほら、着替えて出掛けるぞ。」 薫の怒鳴り声で今年が始まった。 良いことがありそうには思えないわ。 シャルルがパリに帰った日に薫に全てを打ち明けた。 私は枯れてスカスカになった心ま…
モンドフォール家があるのはイングランドのたしか南西部の古都グラストンベリーだ。あの辺りは古いレンガ造りの建物や長閑かな田園風景か広がるいかにもカントリーといった小都市だ。 その伯爵家にアルディがクレアシオン=レガリアを手に入れるためだけに縁…
羽田を発ち、しばらくしてジルからホットラインが入った。 「シャルルとモンドフォール家令嬢との縁談が密かに進んでいます。 先方としてはアルディ家からの申し出を断る事は出来なかったと思われます。 2人の婚約によって交渉は再開され事実上クレアシオン…
「あたしが何も気付かないとでも思ってたのかい?」 私は目をギュッとつぶって小さく首を振った。 「マリナこっちを見ろ!」 大きな声に驚いて私は顔を上げると目の前の薫の目は鋭く光り、真剣さが伝わってくる。 本当に私を心配してくれているんだ。 でも…
ジェットの準備完了を告げる空港職員の声が別れの合図となった。 最後のキスを、その温もりを抱きながら私はシャルルの小さくなって行く後ろ姿をいつまでも見つめていた。 「マリナ行こうか。」 薫の声でハッと我に返った。 心にポッカリと大きな穴があいて…
「アルディのICUを使えるように準備をしておいてくれ。 明日、ヒビキヤをジェットで空輸する事にした。それから彼の市民籍の準備をしてくれ。」 ヒビキヤをここから移動させるのは絶対に安全と言うわけではない。しかし、今回のような事が起こらないとは限ら…
目が覚めるとシャルルの腕の中に包まれて眠っていた。 パリにいた時からこれはずっと変わらない朝だった。私が何処かへ行ってしまうんじゃないかと思うらしいの。 そんな事ないから大丈夫よ!って言ってたのはついこの前の事だった。 隣で眠るシャルルを見…
特に制限はしませんでしたが、少しだけ大人の場面があります。 苦手な方は途中まで読んで、大人シーンになりましたら退出して下さい。 やんわりしか書いてませんが、あくまでも個人の感想です。 *****************************…
「どっちが先にバス使う?」 ジャケットを脱ぐとソファへと投げながら薫はこっちに振り返って聞いてきた。 ど、ど、どっちって…っ!? カウンターへ向かいもう一度聞いてくる。 「お前さんが先に入るかい?」 ミネラルウォーターをグラスに注いで飲み干すと…
コツコツ…と足音が近づいてくる。 「マリナ、あんまり遅いから迷子になったのかと思って探したよ。 泣いてるの? マリナ…どうしたの?」 サファイアブルーの瞳が心配そうに覗き込んできた。 私は袖で目をゴシゴシって拭くと何でもないのって言ってごまかし…
別室で待つようにって言われたものの、どれぐらい待たされるのか全く聞かされないまま私たちはこの部屋から動けずにいた。 いつ何の知らせが来るか、経過説明があるのかも分からない状態が2時間ほど経っていた。 「マリナ、あたしゃこういう思いをこれから…
兄上の入院している大学病院の建物が見えてきた。 小菅でシャルルと別れたあと、和矢のお父さんの伝手でここにお世話になったんだった。 それから何度かお見舞いに来ていたけど、ずいぶん前の事のように感じる。 兄上はここの管理棟の特別室で眠り続けている…
私は廊下に1人立ち尽くしていた。 普段から歩き慣れている廊下が、ほんの数時間前までとは景色が違って見える。 事故のあと、数ヶ月間お世話になったこのお屋敷で過ごすのもあと数分なんて信じられない気持ちだった。 危篤の知らせが届いたのはほんの少し前…
「泣く事以外にもあなたには出来る事があります。」 私に出来ること? 泣いて浮腫んだ顔をあげた。 「なにをすればいいの?私に何が出来るの!?」 私はクレールを縋るような目で見つめた。 「身を引くことです。」 えっ?身を? 「シャルルとの関係を終結さ…
「マリナさん、取引しませんか?」 すれ違う瞬間にこんな風に話しかけられたのよ、何かと思うじゃない! 驚くのよっ! クレールと名乗ったこの人は何者? 親族会議長補佐って事はルパート大佐の部下ってこと? 「あんた、私に何の話? まさか大佐に言われて…
シャルルがどうして日本に行く事を決めたのか…私はやっとシャルルの抱えていた葛藤を知ることができた。 シャルルにしか兄上を救う事が出来ないなんて…。 シャルルは兄上の危篤を知った時に、自分にしか出来ないと分かっていて取引を延期出来ないか、先方に…
私とジルはそれぞれの役割を果たすために部屋をあとにした。 私は居室の扉の前で深呼吸をする。 シャルルが一度決めたことを簡単に変えたりしないのはよく分かっていた。 シャルルを説得するなんて、自分に出来るのか正直とても不安だった。 でも大事な取引…
家宝が取り戻せるかもしれない取引があるのは分かったわ。シャルルが行かなければならないのも分かった。 それでも私は兄上の事だけが心配だった。シャルルが行けないとなったらどうなってしまうんだろう…。 「それから響谷氏の件ですが、私も先ほど耳にしま…
「これはシャルルのためなのです。」 時おり視線を落としていたジルは一つ小さく息をつき、決心したように真っ直ぐに私を見つめるときっぱりと言った。 「マリナさん、シャルルは絶対に口に出して何も言わないと思いますが三ヶ月ほど前から交渉を進めていた…
ジルに続いて入った部屋はさっきまで薫たちといた部屋と全く同じ作りだった。カーテンやソファなどの配色を変えてあるため部屋の雰囲気が少しだけ違っているだけだった。他にも同じような部屋がゲストルームとして使われているみたいだった。 それにしても私…