きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

愛はそこにある…je crois 18

特に制限はしませんでしたが、少しだけ大人の場面があります。
苦手な方は途中まで読んで、大人シーンになりましたら退出して下さい。
やんわりしか書いてませんが、あくまでも個人の感想です。


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私たちは部屋へと戻った。
シャルルに会いたくて病院に向かおうとしたとは何となく言い出せなかった。

「さあマリナちゃん。
聞かせてもらおうか。泣いていた理由はなんだい?」

うぅ…やっぱり追及してくるのね。
ソファに座って腕を組んで私を見ている。答えに困ってうつむいていると、
今度はガイに向かって質問する。

「ガイは理由、知らないのか?
おい、まさかおまえが泣かせたんじゃないだろうな!」

ガイは悔しそうに唇を噛み締めていた。
自分に疑いがかけられて悔しいよね。
それはそうよ。親切心からロビーで待っていただけなのに逢引呼ばわりされたら腹も立つわよ!

「薫、ガイは関係ないの!
私がシャルルの事を考えていたら泣けてきちゃっただけなのっ!
あとちょっとで…」

そこまで言ってしまってからハッとした。

「あとちょっとで…何だい?
シャルルと何かあったのか?」

手で口を覆った所で後の祭りだった。
さて、なんて乗り切ればいいんだろう。

「ちょっと喧嘩しちゃって。
それで悲しくなって泣いてたらガイが慰めてくれたの。それだけよ。
手術が終わったらシャルルと話がしたいなと思ってね。薫が一緒だと2人きりで話せないじゃない。だから今もこっそり行こうと思ったんだ。ガイとコソコソ会うためなんかじゃないのよ。」


薫は優しく微笑むと私を励ましてくれた。

「そういう事か。さっさとそう言えば良かったじゃん。
それなら明日にでも2人でちゃんと話せるといいな。そうすればきっと仲直りだってできる。
相手あってこその喧嘩だもんな。悪いことばっかりじゃない。喧嘩が出来るのも羨ましいけどな。」

そう言って私にウインクするとガイに向き直った。

「おまえも違うなら否定しろよ。
てっきりガイが泣かせたのかと思うだろう。今日は遅いし、解散しよう。
ガイ、遅刻はするなよ。」

するとガイが、

「オレは何て思われたって構わない。
あの時マリナを放っておけなかったのは事実だ。マリナを泣かせるなんて…。
オレ、許せないよ。」

「ガイ、熱くなるなよ。一緒にいるとさ楽しい事ばっかりじゃないんだよ。
2人にしか分からない事だ。あたしらが口を挟むようなことじゃない。
大人しく部屋へ戻れ。」

薫に言われて言葉を飲み、おやすみと言ってガイは部屋を出て行った。
ガイの背中を見送りながらごめんなさいと心の中で呟いた。
嘘ばっかりでごめんね。でもどうしても言えないのよ。

シャワーをさっと済ませると大きなベットで薫と眠った。
明日はシャルルと最後になるの?

それとも…。




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真夜中の手術なのでここのスタッフは驚いていた。だが予定通り何の問題もなく無事に完了した。
あとは彼がどこまで回復するか…だな。

マリナ達が病院に来るまでにはまだ時間がある。
オレは今後のヒビキヤの治療について考えながらソファへ体をあずけた。
今回の手術がきっかけで覚醒する事も可能性としてはある。







コンコン…

「アルディ博士、響谷と言う方が待合でお待ちです。」

眠っていたようだな。

さすがにヒビキヤの手術には疲労を覚えていたのは確かだった。白衣に袖を通すと待合へと向かった。


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ホテルのロビーで待ち合わせをした私たちは病院へと急ぎ、受付でシャルルを呼んでもらった。
待合室で待つように言われて数分後、シャルルが現れた。

白衣を靡かせて歩いてくるシャルルはいつにも増して綺麗だった。手術の疲れが気怠げで色っぽくさえ見える。
私はすっかり病院にいる事も別れる事も忘れて見惚れていた。

横から薫が駆け出して私は我に返った。
薫はシャルルの元まで走って行き、どうだったんだ?と必死に答えを待っていた。

「もちろん、成功だ。
危険な状態は抜け出した。頭蓋内で脳圧が上昇したために膨張して昏睡を招いたんだが減圧が出来たからもう平気だ。」

薫は片手で目を覆って泣いている。
私は駆け寄ると薫に抱きついた。

「良かったね、薫っ!
やっぱり兄上はちゃんと聞いてくれてたのよ!もう安心ね。」

薫は何度も頷きながら、本当に安心したようだった。

「兄貴を助けてくれて本当に感謝しているよ、シャルル。それで…兄貴はこれからも眠ったままなのか…?」

「いや、何とも言えない。人工脳にメスは入れてみた。以前より血流を改善したが覚醒するかは分からない。脳幹部分の損傷はないから、あとは状態を見ながら経過観察するしかないな。」

それってしばらく日本に居るってこと?
まだもう少し一緒にいられるのね。
私があれこれと想像しているとすかさず薫が聞いた。

「それじゃ経過観察はシャルルが日本でしてくれるのか?しばらく日本に残れるのか?」

シャルルの答えはNonだった…。
小さな希望の光が消えて行くようなきもちだった。

「残りたいとこだが時間があまりない。今日と明日、彼の様子を見て明後日にはパリへ戻る。」

心臓を掴まれた様な痛みが走り、目をギュッと瞑って痛みに耐えていた。明後日が最後。Xmasの翌日にはサヨナラ…。
最初で最後のXmas…。

「マリナ…?どうした?」

シャルルにそう言われて我に返った。
日本に来てからぼーっとする事が増えた。ふとガイの視線を感じた。
シャルルをじっと見ている。
ガイが余計な事を言い出す前にこの場を終わらせてしまいたい。

「ううん、なんでもない。明後日はパリに帰るのね。
それにしても兄上の事、ありがとうシャルル!あんたなら大丈夫って信じていたわ!これからどうするの?ずっと病院にいるの?」


「しばらくは病院にいるよ。
データも取りたいし、薬も調整しなきゃいけないからね。夜にはホテルに帰るつもりだ。
マリナ、あとで迎えにいくから。」

そう言って戻っていくシャルルを見送っていた。明後日には本当にこうして見送る事になるんだわ…。

薫とガイと私は兄上に会いに行った。
頭部に包帯がグルグルと巻かれ、大手術だったことを思わせていた。
たくさんの機械に繋がれているのは変わらないけど、昨日よりはチューブも減ったような気がするし、兄上の顔色が良くなっている。

「兄貴、よく頑張ったな。あのシャルルが2度も手術してくれるなんて兄貴、凄いと思わないか?」

兄上の手を握って薫は一心に話しかけていた。そう、兄上は聞いているはずだからね。私はガイに目で外に出るように合図をすると病室を出た。
2人きりにしてあげたかったの。
すぐにガイも出てきた。

「2人にしてあげようと思ってさ。
少ししたら戻ろうよ。」

ガイも頷いてくれた。私たちは並んで待合の椅子にしばらく座っていた。
どちらから話す訳でもなく時間だけが過ぎて行く。

ガイが不意に質問してきた。

「ねぇマリナ、昨日シャルルと喧嘩したって言ってたよね。いつの間に仲直りしたの?さっきは普通にしていたよね?」

あっ!忘れてた。
喧嘩したって言ったんだった。

「1日寝たらおさまったみたい。
痴話ゲンカってそんなものだよね。」

ガイには悪いけど話せないんだもの。嘘を突き通すしかない。明後日にはガイともサヨナラだと思うと寂しくなった。


その日は暗くなるまで兄上の容体に変化はなく、私たちはホテルへ戻ることにした。シャルルは遅くなってからホテルに来て部屋まで私を迎えにきた。
シャルルに連れられて昨日とは違うタイプのスイートへと向った。

今夜はXmasイヴ…。
聖なる夜に愛する人と過ごせる奇跡。
でもそれは私にとっては哀しい思い出作りとなる…。一生忘れられない。
シャルルとの思い出をシャルルの温もりを私に刻み付けておきたかった。

何度もシャルルを感じて愛されている事を刻まれていく。体中に愛の華を咲かせていく。
逞しい胸に抱かれて自然と涙が流れる。
心配そうに覗き込むシャルル。
私が夢中で抱きつくとシャルルは熱く私を抱き寄せて愛し続けた。

「愛しているよ、マリナ。いつだって、どこにいたって…。ちょっと手を貸してごらん。」

そう言って私の手を取りブレスレットを付けてくれた。ピンクダイヤに優美なゴールドチェーンをあしらってある。煌めいてとても綺麗だった。

「急に日本に来たからとりあえず準備できたのはこれだけど、パリに戻ったら改めてプレゼントするよ。」

「ありがとう、シャルル。これだって十分素敵よ。凄い高そうだもの。」

私の手首にキスをする。

「君には何でも捧げるよ。
マリナと過ごせる事が幸せなんだ。」

私は抱き寄せられシャルルに組み敷かれ愛を注がれる。

今がこんなに幸せ過ぎてどうにかなりそうだよ。
手放すとわかっている人からの愛の言葉
が私の心に突き刺さる。






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みなさま、こんばんは!
今夜はクリスマス・イヴ🎄

シャルルとともに過ごす聖夜🌟
そして最後のXmas…。

シャルルとマリナちゃんとの切ないLoveシーンを書くことになるなんて(泣)
イヴと言うことで甘いシーンも考えたのですが話の流れからだと、こうなりました。シャルルが未来を語る時にマリナちゃんの気持ちを思うと胸がギュッと痛みます(>_<)