きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

愛はそこにある…je crois 32

ロビーで鍵を受け取り、無言のシャルルの後についてエレベーターで最上階へと向かった。
車を降りてから一言も話さないシャルルが何を考えているのか分からなくて私は不安になる。
私の事を怒っているのかもしれないって思いはじめていた。
勝手に別れを決めてしまった事を…。



鍵を差し込み部屋へと入っていくシャルル。ネクタイを緩め、ジャケットの上着をソファの背に掛ける。
カウンターからミネラルウォーターを持ち出すとソファへと座った。
その様子を部屋の隅から私はじっと見つめていた。

「マリナここに座って。」

自分の向かい側を手で指し示して座るように言われた。
私は戸惑いながら言われた通りに腰掛けた。いつもなら隣に来るように言われるけど今日は違った。
久々に正面から見るシャルルの表情は硬くておそらく穏やかな話ではない事は想像できた。


「マリナ、大事な話がある。
これはオレがパリに帰ってから考えて出した答えだ。
どうか君も真剣に考えて欲しい。」


その口調は優しかったけど、思い詰めた表情からは何を言われるのか全く分からなかった。
私がクレールに言われるがままに別れを決めた事が分かってしまったのかもしれない。
そして言い知れぬ不安を覚えた。
あの日、私の中でシャルルとは別れた。それをシャルルの口から改めて言われるのかもしれない。
考えただけで胸が痛い。

シャルルに相談もしないで別れる事を決めたのは私だった。それが許せないと言われたら何も言えない。
だけどシャルルからの別れの言葉は聞きたくない…。
だったらこのまま終わりにしてくれた方がずっと楽だった。
私は唇を噛み締めシャルルの言葉を待った。私に浴びせられるシャルルの別れの言葉をじっと待つ。



「手術の為に日本に来る事になってから君の様子がおかしいとは思っていた。
パリに戻る機内でオレに縁談話があることを知った。
君がそれをクレールから言われて取引をしたことも分かった。
君があの日オレの腕の中で泣いたのも、日本に残ると言い出したのも、何もかも君からの別れのメッセージだったんだ。それを知った時のオレの気持ちが分かるか?

君は何一つオレに相談をしてこなかった…。」


私は全部1人で決めてしまった。
シャルルがどう思うかまで私は考えなかった。
事実を前にシャルルがどんな思いでいたかを考えると胸が苦しくなった。
何の前触れもなく愛する人が目の前から去って行く…何も語らず…
そんな惨い事を私はしてしまった。
真っ直ぐに向けられたシャルルの瞳には私への非難の色が映し出されていた。
同時にそれはシャルルの悲しみなのだと分かった。

私はシャルルを見ていられずに俯いた。
自分だけが辛いと思っていたのが分かった。何も知らずにいたシャルルの方がずっと辛い事に今さら気付いた。


「オレの事がまだ分からないか?
家宝のためにオレが君と別れる事を…それをオレが望んでいると思ったのか?
オレが君以外の人間と結婚すると本気で思ったのか?
オレは何よりも君を大切に思っている。
手放す事など考えられない。
それをアルディの中でどんな企みがあったにせよ、君は何もかも1人で決めてしまった。
オレは真実を知った時、君を失う恐怖に震え、君を苦しめた事に悲傷した。

そして何より悔しかった。
オレがマリナを手放してまで当主でいたいと望んでいると君に思われていた事がだ。
前にも言ったはずだ。
キミと引き換えにしてまで欲しい物などない。どんな言葉で伝えれば分かってくれるんだ。
キミはオレにとってどれだけの価値が自分にあるのか分かっていない。」

別れを選んだ私へのシャルルの悲痛な叫びだった。それは非難と絶望だった。
そして光へと私を連れ出す新しい道標でもあった。


「何があっても2度と離れないと約束して欲しい。オレと一緒にいると言うことはこれからも同じような事が起こるかもしれない。
でもその時は全てオレに打ち明けて欲しい。たとえどんなにオレにとってそれが不利な条件や話だとしてもだ。
オレが必ず君と未来を守ってみせる。」


私の独りよがりな行動を許し、正しい道へと導いてくれる。
勝手だと私を責める事だって出来るのに…。
こんな私を守ると言ってくれた。




「はっきりしておきたい事がある。
オレはアルディ家当主だ。この先も多くの陰謀に君を巻き込んでしまうかも知れない。オレと一緒にいるという事は君にもアルディ家の重圧を少なからず背負わせてしまうかも知れない。

それでも…

オレは…

君と共に生きていきたい。


今すぐでなくていい…


いつか…





マリナ・ドゥ・アルディになってくれないか?」



溢れ出す涙でシャルルが見えない…。
震える肩を抑えられない…。











つづく


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みなさま、こんにちは!

シャルルは何よりもマリナを大切に思い、マリナもシャルルを大切に思ってるからこその行動でした。
そして…


次回はファン限定記事になると思います。お分かりかと思いますが…\(//∇//)\

登録しようかなとお考えの方がいらっしゃっいましたらゲストブックにて一言添えてご一報頂ければと思います。
ハード、ソフト…どうしよう(≧∇≦)

シャルルに聞いてみます(笑)