「こうしてあの2人が並んで歩く姿を見られるなんて…あんたのおかげだわ、シャルル。本当にありがとう。」
私は熱く込み上げてくるものを抑えられずに涙が溢れてくる。笑顔で見送る!って決めたのにだめだわ。
小さくなっていく2人の後ろ姿を見送りながらいつまでも私は手を振っていた。
「さあマリナ冷えるよ、中に入ろう。」
シャルルは私の肩を抱いて屋敷へと歩き出した。
2月は最も寒くパリの朝は氷点下になることが多い。キーンとした空気がまるで頬を刺すようだった。
「落ち着いたらすぐに連絡する。」
尽きる事のない感謝の言葉を残して2人はアルディ家を旅立って行った。
「オレ達に出来るのはここまでだ。
あとはヒビキヤがカオルを残して行くまでに何をしてやれるかだ。
愛と償いと生きる強さを彼女に伝えていくはずだ。」
残してって…?
私はシャルルの言っている意味が分からなくてきょとんとした。
元気に旅立って行く姿を見送ったばかりじゃないって思ってシャルルを見た。
「彼は長くは生きられない。
悪性腫瘍が脳幹にあった。生命の根源部だから取り除けないんだ。
だから彼は残された時間をカオルと共に生きようと決めたんだろう。
1人残してしまう愛しい人のために…」
「薫は、知らないの?」
シャルルは頷いた。言えるはずがないわ。だってあんなに…。
私は声を上げて泣いた。やっと兄上と一緒に居られることになったのにまた死によって別れなければならないの?
「彼がそばにいる。ずっと…。
想いを告げられないまま突然別れたあの時とは違う。
あの2人ならきっと大丈夫だ。」
シャルルの言う通りだと思った。
兄上の言葉を直接聞くことができた今、薫が救われたのは確かだわ。
この先どんな事があっても乗り越えていかれるかもしれない。
薫は求め続けた愛を手に入れたんだもの。
「そうだよね。きっと大丈夫だよね。」
シャルルは私を抱き寄せて腕の中に包み込んだ。不安に押しつぶされそうな心を温めてくれる。
吹き抜けていく風は鋭いナイフのように冷たい。
シャルルは自分のカシミヤコートの中に私をすっぽりと入れる。風にさえ私を傷つけさせはしないと言ってるようだった。
「温かいスープを用意させるよ。」
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みなさま、こんにちは!
今日のパリの気温は4度なんですって(-。-; 寒いはずです。
私もアルディ家の物ではもちろんないけど、スープで温まりました。もちろんシャルルは居ないので1人で…
ストックがないのでスローペースですがあと少しお付き合い頂けたら嬉しいです。
もうすぐ10000HITに届きそうでワクワクしていますあと169でした。
ん?なんか惜しくないですか?笑
これも訪問して下さるみなさんのおかげですもしリクエストがあれば…シャルマリだけしか書けませんが(笑)
10000HIT前後の方リクがあったらコッソリとコメント下さい
何も起こらなければ流れたのか…とお察し下さい
お待ちしております