きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

愛はそこにある…je crois 31

ガイはそっと唇を放すと私をじっと見つめている。
そのサファイアブルーの瞳は名残惜しいと言っているようだった。
切なさに揺れ動き、妖しげな色を奥に秘め、理性で抑え込んでいる瞳。
何かをきっかけにガイの激情が外へと解き放たれてしまいそうだった。

「マリナ、好きだ…。誰よりも君を大切に思っていたよ。マリナをオレのものにしたかった。オレの隣にずっといて欲しかった。でもこれで本当に最後だ…
幸せになるんだよ。」

私を胸に抱き寄せて、髪にキスを落とした。私の耳元に唇を寄せると、

「さよなら…愛しいマリナ。」

そう言って私を自由にすると扉へと歩き出した。私はガイに向かっていっぱいのありがとうを言った。

「ありがとう、ガイ。
でもさよならじゃないよ。私、あんたに会いに行くわ。絶対に遊びに行くわ!」

ガイが立ち止まり振り返った。
涙が頬を伝わり、その瞳はキラキラと光り、美しさをまとっていた。

「そうだね…。また会おう。
次に会う時は友人として会えるように努力するよ。マリナ…またね。」

手を振りガイは部屋を出て行った。


涙がとめどなく溢れ、私はしばらくの間ガイの出て行った扉の前から離れられなかった。
何度となく好きだと感情をぶつけてきたガイ。彼の想いに応える事は出来なかった。それでも私をずっと想っていてくれた愛の深さに溺れてしまいそうだった。
ガイを好きになれたら…
そんな思いに胸が痛み、悲鳴をあげるようだった。

好きな人が自分を好きになってくれる。それは奇跡なのかもしれない…。




ピンポーン…。
チャイムが鳴り響いた。私はビクッとした。何っ?!誰っ?!
どれぐらい時間が経ったんだろう。
あれからガイが戻ってきたとは到底思えない。
これは家宝を狙った強盗かもしれない。

私はクレアシオン=レガリアのケースを再び閉じて深紫色の布で元に戻した。
しっかりとした重さがあり、私に伝統と格式高い家宝であると自ら主張しているようだった。
私は何があっても離さない覚悟を決め胸に抱えた。

再びチャイムが鳴り響いた。
取られてたまるもんかっ!


その時、内線電話がなった。恐る恐る受話器を取るとフロントからだった。

「アルディ様よりお電話です。」

シャルルなのっ…?
それとも親族の誰か?
だけどどうしてここが分かったの?

「マリナかっ?!今すぐに部屋から出てこい。分かったか!?」


澄んだテノールが耳へと流れ込んだ。
こんなに透明感のある声の持ち主はシャルルしかいない。
でもなぜっ?!
訳が分からないまま、言われた通りに鍵に手を掛けて回した途端に勢いよく扉が開けられシャルルは素早く中へと入り、私の腕を掴んで自分へと引き寄せた。

「大丈夫かっ?!」

懐かしいシャルルの香りに包まれながらも私は何が起きているのかまだ理解出来ていなかった。

「シャルル…?どうして…?」

胸の中から私はシャルルを仰ぎ見ながら問いかけた。
2度と会えないと思っていた。
全てが上手くいくために私は決断したことだった。
それなのに突然シャルルは現れた。

「アイツは奥?」

アイツってガイのこと?
首を横に振って答えた。


「ガイはずいぶん前に出て行ったわよ。
ねぇ教えて、シャルル。どうしてここに居るって分かったの?」

緊張していた表情が少し緩み、私の腕を掴んでいた手も緩くなった。


「クレアシオン=レガリアの行方を探すうちに何故かガイに行き着いた。すぐにピンと来たけどね。日本への渡航記録を確認してすぐにオレはジェットで日本に向かったんだ。
そしてクレールからマリナがガイの宿泊先のホテルの部屋に入って行ったと連絡があった。
クレアシオン=レガリアを武器にマリナを…いや、何もないならいいんだ。」


シャルルの顔に安堵の色が広がっていく。心配して飛んできてくれたのね。
その、ガイが私を…。
だからちゃんとガイの事を話しておこうと思った。
キス以外の全部をシャルルに話した。
最後まで黙って聞いていたシャルルは一言だけ言った。


「誰よりも愛している…そこだけは気に入らないが…。オレも勘ぐり過ぎたようだな。マリナを思っての事だったか…」


ガイの部屋を出て私達はシャルルのリザーブした近くのホテルへと車で移動した。その運転手っていうのはクレールだった。クレールは処分保留のままクレアシオン=レガリアの回収の為にガイの後を追って日本に来ていた。
それと共に私の警護を兼ねていたんだって。シャルルが日本を離れた日からもずっとアルディ家のSPが私の周りにはいたらしかった。
あら、ずっと見られていたのね…。

突然の展開に驚きすぎて私はまだ夢を見ているような気分だった。




シャルルと部屋に入るまでは…。





つづく


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みなさま、おはようございます
ここまで読んでくださりありがとうございました
やっとシャルルが飛んで来ました!
パリに帰っちゃったりイギリス行っちゃったりと遠回りしましたが、ついにマリナの元へ。