きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

愛はそこにある…je crois 22

 
「あたしが何も気付かないとでも思ってたのかい?」

私は目をギュッとつぶって小さく首を振った。

「マリナこっちを見ろ!」

大きな声に驚いて私は顔を上げると目の前の薫の目は鋭く光り、真剣さが伝わってくる。
本当に私を心配してくれているんだ。
でも、誰にも言うなって…。
シャルルと別れる事を選んだのは私なの。だから泣いてもどうしようもないって思うのに止めることが出来ない。

涙が溢れて声を出して泣いた…。

薫は私を抱き寄せると長い時間、背中をポンポンとしてくれていた。
泣きながらパリでクレールとした話を打ち明けた。家宝を取り戻し当主でいる為には私が身を引くしかないと言われた事だけ話した。
取引の日が迫っていた事は黙ったままにした。薫に兄上の事で負い目を感じて欲しくなかった。


私を抱き締めながら黙って聞いていた薫だったけど私にハンカチを差し出しながら優しく声を掛ける。

「マリナ、何でおまえさんは1人で抱え込むんだ?
マリナは本当にこれでいいのか?
やっとの思いでパリまで行ったんじゃないか!

それにシャルルは本当にその家宝がないと当主から降ろされたりするのか?
そんな事で失脚するようなヤツじゃないと思うが。」


薫の胸で泣くだけ泣いた私はシャルルとの事を話せた事もあって気持ちが少し軽くなった。
私は、もう終わった事だからって言ってグラスのワインを飲み干した。
本当の自分の想いを、シャルルへの気持ちを薫にだけでも話せて良かった。
1人では抱えきれない程のシャルルへの愛。そして別れ…。

薫と共有することで痛みが優しい物へと姿を変えたのかもしれない。私なりのシャルルへの愛は別れだったけど、これも私の愛の形なの。

シャルルが幸せでいてくれたら…。




そのまま寝てしまったようだった。
泣き腫らした私の翌朝は瞼が重く、悲惨な二日酔いは私をベットに半日縛り付ける事になった。同じに飲んでいた薫がケロっとしているのが恐ろしいわ。

「まったく、強くもないくせに一緒になって飲むからこうなるんだぞ。
いい加減、自分の適量を学べよ。」

そう言ってレモン水と薬を持ってきてくれた薫はやっぱり優しかった。

「あたしは出掛けてくるけど、おまえさんは寝ているんだよ。どうせ夕方にならないと治らないだろ?今夜も泊まっていけばいい。」

それだけ言うと何処かへ出掛けて行った。私は頭痛に悩まされながら薬が効いてきたのか再び眠りについた。














「あたしだ。そっちは無事に着いたようだな。
それでマリナの事で話があるんだ…。」


マリナから聞いた話をざっと説明すると受話器の向こうからは、

「そういう事かっ…」

と呟く声がしてくる。おおかた予想出来ていたようだったが確証がなかったんだろうな。これで上手く動いてくれる事を祈るだけだ。


「そういう事だから何か手はないかと思って電話したんだ。おまえなら、そっちの事情も掴めるんじゃないか?
とにかく、あんなマリナを見てらんないよ。どうにかしてやりたい。」


「分かった。調べてみる。」







つづく