兄上の入院している大学病院の建物が見えてきた。
小菅でシャルルと別れたあと、和矢のお父さんの伝手でここにお世話になったんだった。
それから何度かお見舞いに来ていたけど、ずいぶん前の事のように感じる。
兄上はここの管理棟の特別室で眠り続けている。今でも同じ病室なのかな。
通用口に車を付けると薫は車のドアを鬱陶しそうに開けると病院の中へと走り出した。
「おいっ!待て、走るなっ!」
シャルルの言葉も聞かずに1人エレベーターへと消えて行ってしまった。
発作まがいの症状で倒れたばかりなのに走り出さずにはいられないんだよね…。
すぐガイが後を追って走っていった。
私とシャルルも急いで入口へと向かった。中へ入るとすぐ横に受付カウンターらしき所があってシャルルはそこにいた男の人に話しかけた。
「急いで院長を呼んで頂きたい。
シャルル・ドゥ・アルディが来たと伝えれば分かるはずだ。」
いきなり院長を呼んでほしいって頼んだって、はい分かりました。なんてならないわよ。ここは日本だしシャルルを知ってるはずがないもの。
まずは兄上の病室を聞いて担当の先生から説明を受けた方がいいわよって言おうとして私は自分の間違いに気付いた。
しばらくすると白衣を着た中年の男性がこちらに向かって歩いて来てシャルルの前で立ち止まると右手を差し出した。
「お会い出来て光栄です。アルディ博士。私は院長の大野と申します。
さっそくですが病室へご案内します。
こちらです。」
大学病院の院長、自ら案内してくれるなんてシャルルってそんなに有名人なの?
あとで聞いたらこの院長はシャルルの論文にとても興味を持ち、以前から学会でシャルルを見かけていたらしかった。
私たちは院長のあとに続いて病室へと向かった。最上階の一番奥、以前と変わらない特別室に兄上はいた。
たくさんの機械に囲まれてチューブで繋がれた姿は何も変わらなかったけど、医師と看護師が薬を準備したり、機械を操作したりと忙しなく動いている。
薫は兄上の足元に立ち、医師たちの動きをじっと見守っている。
自分には見ている事しか出来ないのがもどかしいようだった。唇を噛み締め、両手は拳を握りしめている。
「容体と経過を聞かせて下さい。それから検査の準備をお願いします。」
シャルルがそう言うと治療していた医師が現状を説明し始める。
じっと黙ったまま聞いているシャルルの表情からは何も読み取ることができない。
兄上は大丈夫なの?
どんな状態なの?
シャルルは医師の話を聞きながら院長に渡された何枚もの資料に次々と目を通していく。一通り説明を受け終わると私たちに病室から出るように言った。
「危険な状態ではあるが、大丈夫だ。
検査してみないと断言はできないが手術によってこの状態から抜け出せるかもしれない。君たちは別室で待っていてくれ。オレは準備に入る。」
その言葉を聞いた薫が食いつきそうな勢いでシャルルの肩を掴んだ。
「兄貴は助かるんだなっ?!
あんたなら救えるんだよなっ?!」
「今すぐに君がオレを解放すれば可能性はある。時間が経てば状況は悪くなる一方だ。さあ、別室で待つんだ、いいな。」
薫は大人しく手を離すとガイに促されて部屋を出て行った。
つづく
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みなさま、おはようございます!
今年も残りわずかとなってきましたが、みなさまいかがお過ごしですか?
私は不具合にめちゃくちゃ巻き込まれていて、普段からスマホのみで記事投稿をしているんですが
火曜日の夜だったかな、投稿が出来なくて現在も改善されていないんです。
なのでPCから初投稿にチャレンジしました。
これを書いていてちゃんと投稿出来るのか?って不安ですが・・・
字の大きさだけがいまいち分からず…これでいいのかな?
いつになったら不具合が解消されるんだろう?と待ちわびていますが、出来ればスマホで投稿したい!
実は、これ、全部打ち直したんです(泣) スマホ見ながら・・・
なので更新速度が遅くなってます。
もしも続きを待っているよ~という方がいらっしゃいましたら少しずつでも打ち直してPCから投稿したいと頑張りたいと思います。これじゃ待っているよ~って言って欲しいみたいですね(笑)うふふ・・・言ってもらいたいですけどw
少しだけ時間を下さいませ。