きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

2016-01-01から1年間の記事一覧

忘れられないもの22

みなさん、こんにちは! 今回の話は辛いシーンが少しだけあります。みなさんがダメージを受ける可能性があるために最初にお伝えしておこうと思います。 これはかなりショックだと思います。 私が読者だったら痛い。一瞬でもシャルルを失う怖さを見たくない方…

忘れられないもの21

「どうして……?」 日本を発つのは明日の朝だって手紙には書いてあった。それなのにどうしてシャルルは行ってしまったの? 急に仕事が入って帰らなきゃいけなくなったのかもしれない。そうだとすればシャルルのことだからフロントに伝言ぐらい残していくはず…

忘れられないもの20

白い封筒は表面がデコボコとしていてよくよく見てみればバラの花があしらってあった。あたしは息をのみ、綺麗に糊付けされたそれを開けた。中には一枚の手紙と折り鶴が入っていた。 「これっっ…!」 あたしはそれを確かめるように折り鶴を開いてみた。そこに…

忘れられないもの19

黒塗りのハイヤーが車寄せに一台停まっているのが見えて近づいてみるとドアがパッと開き中から運転手さんが声を掛けてきた。 「高瀬様ですか?」 「はい。飯田橋までお願いします」 車はゆっくりとホテルをあとにした。 シャルルの後ろ姿が忘れられない。 ど…

忘れられないもの18

高瀬さんの言葉を聞きながらあたしは自分の心を見つめてみた。 そうして自分と向き合ってみて分かった事があった。あたしはシャルルが女の人と一緒にいた事が辛いわけじゃないかもしれない。 あたしは……あたしとシャルルの間に流れてしまった八年という時の…

忘れられないもの17

「こんな雨の中、何してるんだっ?!」 振り返るとそこには戸惑いと苛立ちの色を纏った黒い瞳があたしを真っ直ぐに見つめていた。 「高瀬さんっ?!」 そうだ……シャルルの事で頭がいっぱいになって高瀬さんに待つように言われていたのも忘れて飛び出して来ち…

50000hit達成ありがとう!

みなさん、こんばんは! おかげさまで50000hitを迎える事ができました!いつも遊びに来てくださる方々、ありがとうございます 私は13:54に50000hitジャストのカウントを見る事が出来ました。もちろん記念のスクショもばっちりしました。 え?見たいですか? …

忘れられないもの16

懐かしさと切なさが溢れ出しあたしはその後ろ姿をただ見つめるだけでまるで時が止まったかのように動けずにいた。 あの頃よりも少し逞しくなった後ろ姿は時の流れを感じさせた。 ルームキーを受け取ったシャルルがこっちを振り返った瞬間、あたしは思わずこ…

忘れられないもの15

「実はマリナちゃんの事が前から気になっていたんだ。もちろん君と和矢が付き合っているのは知っていたし、どうにもならないのは分かっていた。だけど二人はだいぶ前に別れたって知った時からいつ言い出そうかとずっと思っていたんだ。マリナちゃん、良かっ…

忘れられないもの14

高瀬さんは手慣れた様子で車を車庫に入れるとシートベルトをガチャッと外しドアを開けた。あたしも慌てて車の外に出た。 「ここの最上階のレストランはたまに利用するんだけど今月の初めにリニューアルしたって聞いたからマリナちゃんとゆっくり話もしたかっ…

忘れられないもの13

外に出て辺りを見渡したけどまだ高瀬さんはいなかった。 梅雨に入ったせいかジメジメとしていて体に纏わりつくような湿った空気が気持ち悪い。どんよりとした空からは今にも雨が降り出しそうだった。 と思っていたらポツンと鼻先に何かを感じて見上げるとポ…

忘れられないもの12

賑やかな子供達の声が部屋の中から聞こえてくる。この教室を始めた頃は参加する子供も二、三人だったけど最近はずいぶんと来てくれるようになっていた。 小学生ぐらいの子がほとんどでこうしてみんなで集まってワイワイしながらやるのも楽しいみたい。病室じ…

忘れられないもの11

「あんたねぇ毎回、毎回うちに持ち込んでくるのやめてくれない? 才能ないんだからさぁ。いい加減諦めなよ。こっちも暇じゃないんだからさ。ほら、帰って帰って! もう二度と来るな!」 突き返された原稿を抱えてあたしはトボトボと編集社を後にした。長い付…

忘れられないもの10

車のシートに体をあずけ、オレはそっと目を閉じた。 彼女が幸せならそれでいい。何度も自分に言い聞かせてきた言葉だった。だが折り鶴という名のパンドラの箱にオレは手をかけてしまったのかもしれない。 息苦しさをおぼえシャツのボタンを一つ外した。 「ま…

忘れられないもの9

オレはそれを受け取り、震える手でそっと開いた。 一枚の紙を折り曲げることで生み出される芸術。動植物や生活道具などの形を作る日本伝統の遊び、その代表とも言えるのがこの折り鶴だ。 この幾何学的な造形物を展開していくにつれ、見え隠れする日本語の文…

忘れられないもの8

「あんなにも愛した人を忘れられるわけないわ。たぶん、一生ね。」 忘れられないか…。 そう話す彼女がオレには眩しく見えた。 たしかにオレにもそんな風に思える人間がいた。もうずいぶん昔のことだが何もかも失ってもいいと、命をかけてでも守りたいと思え…

忘れられないもの7

手術から十日が経ちオレはアデリーヌと共にオルレアン.総合病院をあとにした。 車は静かに門をくぐり玄関前に止まった。アデリーヌはゆっくりと車から降り立ち、玄関先でふと足を止めると館を見上げて大きく息を吸った。その姿はまるでずっと抱えていた不安…

忘れられないもの6

アデリーヌはどこで手術をするのかを心配していた。やはりパリには行きたくないのだろう。移動時間を考えればオルレアンでするべきだろう。 オレはマリウスから事情を聞いた直後にオルレアン.総合病院に連絡を取ったが院長はオレの申し出に良い返事はしなか…

忘れられないもの5

それにしてもオレが医者だと知りながらなぜ彼女は連絡をして来なかったのか。 「異変を感じた時点でオレに相談してくれたらもっと早く動けたのになぜ連絡して来なかったんだ? アルディの代表ナンバーぐらい知っているだろう?」 オレがそう言うと彼女はわず…

忘れられないもの4

「アデリーヌ、すぐに君の処置に入りたい。この病に限った事ではないがあまり時間は置くべきではない。 まずは君の今の状態を把握したい。自覚症状は咳だけか?倦怠感や発熱は?」 アデリーヌにいくつか質問をする。 「咳とそれから血の混じった痰がたまに……

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みなさん、こんばんは! ご訪問ありがとうございます 友達登録に関してですがプライベート記事が中心という事と長い間、更新をしていないため現在は行っておりません。 申請して頂いた方には大変申し訳ないのですが、限定記事はお気に入り登録をしていただけ…

忘れられないもの3

翌日マリウスを連れてオルレアンへ向かった。この目で直接アデリーヌの状態を確認するためだ。オルレアンはパリの南西、フランスのちょうど中部に位置する。 玄関先で足を止め、ふと館を見上げた。その佇まいは以前と何一つ変わりはなかった。ただオレの隣に…

忘れられないもの2

「母を助けてください。」 少年の言葉にオレは引き戻されたように足を止めた。 母という言葉がオレにそうさせたのかもしれない。すると少年はさらに言葉を続けた。 「母の病気を治して下さいっ!」 オレが医者だと知っていてここまで来たのか? 「それなら病…

忘れられないもの1

疲れた体を引きずるようにして車に乗り込んだ。 「出せ。」 セーヌ川沿いに車は走り出した。 程なくしてラ・ヴィレット公園が左手に見えてくる。 パリ北東部に位置するこの公園はナポレオン3世によって造られ、ベルナール・チュミが設計したものだ。55ヘクタ…

夢から覚めて23 最終話

次の日の朝、あたしはシャルルの腕の中で目覚めた。すぐ隣にシャルルの温もりを感じて幸せな気持ちになる。 まだ寝ているシャルルを起こさないようにそっとベットから出ようとしたらシャルルの腕があたしのウエストに絡みついた。 「Marina, tu vas ou?」 …

夢から覚めて21

バスタブに浸かってだいぶ経ったと思う。上がろう上がろうと思いながらなかなか出られずにいた。 ジャグジーが心地よく体を揺らしていたのも最初だけでもう熱くて限界だわ。 あたしは心を決めて白桃色のお湯から立ち上がった。 脱衣所には真新しいバスローブ…

夢から覚めて20

その日の夜、あたしはシャルルの仕事が終わるのを待って一緒に夕食をとった。 最後のデザートをあたしが食べ終わったタイミングでシャルルも僅かに残るワインを飲み干した。 「一人分で足りたのかい?」 「やめてよ~!もう昔みたいに食べたりしないわよ。」…

中毒日記

みなさん、こんばんは(^。^)私の今日の出来事を書いただけなので興味のない方、ごめんなさい。 仕事帰りにとあるスーパーに立ち寄ったんです。関東を中心にチェーン展開をしているお店で100店舗ほどあるらしいんですが駅の中にあるのでいつも帰りが遅くなる私…

夢から覚めて19

「Je t'aime plus que tout.Tu renvoie pas au Japon.」 シャルルに勉強を教わっていた時に聞いていたフランス語とはどこか違う、とても甘く優しい響きだった。 あたしはその言葉の意味が知りたくてシャルルの胸から顔を上げた。 「ねぇ、今なんて言ったの?…

夢から覚めて18

しばらくすると検査結果を手にシャルルは戻ってきた。 「やはり抗体ベンゾアピンも代謝酵素も検出されなかった。昨夜のうちに検査していたら微量ながらも検出されたかもしれなかったけどね。どちらにせよオレが行った時、君はもう寝ていたから今となっては分…