夢から覚めて23 最終話
次の日の朝、あたしはシャルルの腕の中で目覚めた。すぐ隣にシャルルの温もりを感じて幸せな気持ちになる。
まだ寝ているシャルルを起こさないようにそっとベットから出ようとしたらシャルルの腕があたしのウエストに絡みついた。
「Marina, tu vas ou?」
シャルルは少し掠れた声でそう言うとあたしを引き寄せた。シャルルが寝ぼけて
あたし相手にうっかりフランス語を口にしたのがなんだか可笑しくてあたしはシャルルを振り返って言った。
「おはようシャルル。
あんた今、フランス語と日本語を間違えてたわよ。たとえ太陽が西から…ってあのセリフもう二度と使えないわね。」
シャルルったらこれまで間違えた事が一度もないって言ってたのにとうとうやっちゃったのね。あたしはクスクスっと笑った。
「疑問副詞…」
「え?」
あたしは何を言われたのか分からないできょとんとなった。
シャルルはあたしをゴロンと転がして仰向けにするとサラサラの白金色の髪をこぼしながら覆い被さるようにしてあたしを覗き込むように見つめた。
「疑問副詞のouは場所などを尋ねる時に使うんだ。vasはaller の二人称単数形、tuに対応している。」
あたしが戸惑っていると
「君がここで暮らすと決めたならフランス語習得は必須だからね。耳を慣らすためにもオレはフランス語で話す事にした。」
「じゃ、さっきのは寝ぼけてたんじゃないの?」
「君が隣にいて寝ていられるほど慣れていなくてね。」
あたしの髪をそっと撫でながらじっと見つめる青灰色の瞳は寝不足で潤んでいるように見えた。
「寝てないのっ?」
「疲れきってる君を起こしたら悪いと思って理性と格闘していた。」
そう言うと頬を傾けて唇を重ねた。
あたしが起きるのを待ってたの?!
「ちょっと待ってよ、シャルル…っ」
「je ne peux plus attendre.」(待てない)
「ねぇ!?今、何て言ったのよ~?
きゃ~どこ触ってんのよ」
fin
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みなさん、こんにちは!
更新が遅くなりお待たせしました。
最後までお付き合い下さってありがとうございました
いろんなパターンでシャルルのセリフをフランス語で調べているうちに時間だけが過ぎてしまい…
結局、簡単なフランス語にしちゃいました。やっぱり長文はあたしが無理でした(笑)
パリで暮らしていく事を決めたマリナちゃんとそんな彼女の心変わりを恐れるシャルル。そんな二人が未来に向かって歩き出す話を書いてみました。
夢から覚めたら…シャルルの隣にはマリナちゃんがいる。そんな幸せをシャルルにあげたかったんです。
次回の予定は未定ですがストックを貯めてからまた更新したいと思います。