きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

愛の祈り(パラドクス後マリナ編)5

小さなバックを抱えて、私はパリに向かう飛行機の中にいた。
荷物は着替えと地図と薫に借りたお金。それからあの時もらった航空券を握りしめて。

「おまえさんが一流マンガ家になった時に返してくれればいいからさ。持って行きなよ。」

そう言って封筒も渡されてたの。
中を見ると諭吉さんではなくてカラフルなお札が何種類かずつ入っていた。薫ったら気を利かせてわざわざユーロ札を用意してくれたのねと思ったけど、まさかっ! 私が日本でムダ遣いできないようにって意味だったんじゃない!?

私は行動パターンを薫にすっかり読まれてる事に冷や汗をかいた…。




パリが近づくにつれ、不安になってきた。勢いで飛行機に乗ったものの、シャルルに何と言われるか、ましてや会えるのかさえ分からなかった。だけどじっとしていられなかった。

とにかくシャルルがどうしているか見に行こう。当主になれたのか、困った事はないか、幸せにしているのか、そんな事を思いながら私は何の約束もないままパリへと向かっていた。

そして自分の今の気持ちを伝えられたら…そう決意してした。
さすが薫の手配してくれたチケットはファーストクラスで10時間を超える旅も快適だった。

隣に座る同じ年頃の女性が何だか寒そうにしていたので私の毛布も貸してあげた。

私は普段から暖房器具なんてないし、コタツはいつも電源オフで使っているから寒さには強いのよね。貧乏も時として役に立つのね。
彼女は毛布のお礼にとおやつをくれたの。
なんていい人なのかしら?食べ物を分けてくれるなんていい人に決まってるわ。

その子は真理江さんって言ってフランスへ旅行に行くんだって。一人って凄いわよね。
お互いに心細いひとり旅ってこともあって何か困った時の役に立てばと、携帯の番号をもらった。私は携帯なんて持っていなかったので名前だけ教えて、これからアルディ家ってところに行くつもりだからと言って、何かあったら連絡してもらうことにしたの。
もちろん、想いが届かない事も十分にあるからあてにしないでと付け加えておいたけど。
そうは言っても連絡を取り合わなきゃいけないことなんてまずないとは思ったけどその場の勢いってやつね。

長旅の間、すっかりアルコールで気分が良くなっていた私は真理江さんにこれまでの和矢との事や、シャルルへの想いを確かめに行く話などを一方的にしゃべり続けていたけど、彼女はイヤな顔一つしないで静かにきいてくれた。

彼女のおかげで長旅がとても楽しい物になりパリに着く頃には私たちはすっかり仲良しになっていた。

空港でお別れをして日本に帰ったらぜひまた会いましょうって約束も交わし、私はタクシーを拾おうと乗り場を探してキョロキョロしていた。

1人で来たのはこれが2回目。和矢がいてくれた時はお任せだったけど今回も全くの1人。しかも前回はバスに乗った記憶はあるけどそれ以外は全く覚えてないっっ!

それならタクシー捕まえて、あとはアルディって連呼するのみよ。アルディ家って有名だからきっと分かるはずよ。だけどどこが乗り場なんだかさっぱり分からない。
その時ドーンって人がぶつかってきたと思ったらあっという間にバックを盗まれてしまったっっ!


ウソでしょっ?!

「ちょっと待ちなさいよっ!!」


日本語で叫びながらその男の後を追いかけていく。広い通りを抜けて遠くの方まで走っていく。私も必死に走って通りを渡ろうとした時、目の前に車が迫って来ていた。車は私を避けて反対車線へ飛び出し、それを避けようとした車が私に向かってくるっ!



私は全身に衝撃を受けて、意識を失った…







つづく

******************

みなさま、こんばんは☆
だんだんと日が短くなり、外が暗くなるのが早くて驚きますよね。

今回は仲良くさせて頂いてるマリエールちゃんにパリまでのお付き合いしてもらいました。
ご協力ありがとうございました(o^^o)


次回よりパリを舞台に話は進んで参ります。お楽しみ頂けたら幸いです(^o^)