確かめたい事があった。
もしかして…私が忘れているのは…。
ジルの執務室までメイドさんに案内してもらった。突然の訪問に少し驚いていたけど優しく微笑み温かく迎えていれてくれた。
ジルは私が何を聞いても教えてくれないのはわかっていたから違う方向から攻めてみようと考えたの。
私の記憶と直接関係のない事なら教えてくれるかもしれない。
「シャルルとミシェルはどっちがお兄さんなの?やっぱり当主をやってるミシェル?まったくどこから見てもそっくりよねぇ。ジルは見分けられるの?」
私は同意を求めて視線を向けるとジルは信じられないと言った表情をした。
何を言ってるのかと私を責めているようだった。目には怒りにも似た感情をこれ以上出すまいとして抑え込む様子が伝わってきていた。
「アルディ家当主はシャルルです。
ミシェルは1ヶ月間、当主代理をしているだけです。
マリナさん、なぜミシェルが当主だと思われたのですか?それに…」
言葉を一旦そこで切り、ふっと笑みを浮かべて私を叱るような眼差しで見据えた。
「マリナさん、ダメですよ。誘導尋問のような真似はやめて下さい。シャルルに止められているので困ります。」
そう話すジルの眼差しにはさっきの怒りの感情はすでに消えていた。
2人は双子なんだしどっちが当主だってそんなに問題ないじゃないって私は思ったけど、これ以上は何も話してくれなそうだった。
それにジルの話を聞いてもピンと来るものは特に何もなかった。さっき言いかけた言葉が何なのか気になってしょうがないわ。
「前に病室にミシェルが来た時に自分はアルディ家の当主だって言ってたのよ。でも、シャルルが本当は…」
本当はシャルルが当主って事はどうしてミシェルが代理をしているの?ジルはシャルルの味方なの?あの2人は仲が良くないの?
その時、急に頭の中の血管がドクンドクンと騒ぎ立つような痛みに私は右手で頭を抑えた。今まで味わった事がない頭痛に私はどうしていいか分からずにしゃがみ込んだ。
ジルが慌てて内線をかけると私をそっとソファに座らせてくれた。
痛みは少しずつ治まってきた。
カウンターから持ってきたグラスにミネラルウォーターを注ぐと私に手渡してくれた。ジルは隣に座ると心配そうに覗き込む。
「マリナさん、ごめんなさい。私が余計な話をしてしまったせいです。」
扉が勢いよく開けられてシャルルが私たちの方へ近付いてくる。
普段は冷静なシャルルが慌てた様子でジルに問いかけた。
「何があったっ!?」
その冷凍光線を一身に浴びながらジルは先程までの私とのやりとりを説明している。シャルルは黙って聞いていたが、わかったとだけジルに言って私の前に屈み込んだ。
「マリナまだ痛むか?どの辺が痛む?」
鋭く光る瞳が私を写していた。
シャルルは私に答えを求めて食い入るように見つめる。
「もう痛みは治まったみたい。」
シャルルの緊張のせいで鋭かった瞳には安堵の色が広がり温かい眼差しに変わっていた。
「今日はもう休んだ方がいい。部屋まで送るよ。」
シャルルは私を抱き上げるとジルに向き直り、後で詳しい話を聞かせてくれと言って部屋を出た。
自分で歩けるわよって言える雰囲気でもなくて私は黙って抱っこされたまま運ばれた。シャルルの逞しい胸を近くに感じて緊張する。そして心地いい香り…。
とっても懐かしい気持ちになる。
なんだろう。この感じは…。
つづく
******************
みなさん、こんばんは!
最後まで読んでくださってありがとうございます
久しぶりにシャルルとマリナちゃんの触れ合い(笑)を書けてホッとしてます。
と言っても部屋の移動でしたが(^_^;)
私、正直な所この話はラストを考えずに現在進めております。
毎日更新しながら何が1番いいか?模索しながらお話を書いてます。
創作をしている時間はキャラ達と向き合って(中毒末期患者!?)進めています。
シャルルで収まるのか、ミシェルに行くのか…~(・・?))それとも…。
みなさん、どんなラストが良いですか~?(他力本願?)
内緒コメでもです。ご意見・ご要望ありましたらお寄せ下さいませ。
あっ!内緒コメじゃないとラスト、ネタばれですね(笑)
多数決でラスト決めるのも新たな挑戦かもしれないですねぇ。
あっ!どなたも何もリクエストなければ自分で頑張ります(笑)寂しいけど…。
ちなみにルパート大佐と?とかは私の力量では無理です(≧∇≦)