目が覚めると病室のベットだった。
オレはマリナさんと出掛けてセーヌ河をクルージング中に何者かに撃たれた。
何日か経ち様子を見に来たシャルルにマリナさんの事を聞いてみた。
ここに顔を出さないが、ケガの具合が良くないのでは…。
シャルルの顔が一瞬曇ったのをオレは見逃さなかった。
「マリナさんはどうしたの?
まさか、ケガがそんなにひどいの?」
「いや、マリナは軽傷だ。心配はない。
だが、ここには来ない。パリにはもういないんだ。」
そこまで言うとシャルルは黙ってしまった。オレの肩の縫合部分を確認して、「また来る」とだけ言うと病室を出て行った。
あの2人に何があったんだ…。
あの時、オレはマリナさんを守らなければいけない!と思った。
今までこんなに誰かを守りたいなんて思った事はなかった。
彼女の無邪気な笑顔を失いたくなかった。
日本へ、確かめに。
シャルルとなぜ別れたのか…。
オレの事は気にならないのか…。
シャルルに話したところで反対されるのは分かっていた。
それこそオレをパリから出られないように手配されかねない。
オレとマリナさんが一緒に過しているをよく思ってなかったのは明らかだった。
シャルルが動き出す前に日本へ飛んだ。
マリナさんの顔を一目見て安心したかった。そしてオレ自身の気持ちを確かめたかった。
彼女のアパートはすぐに見つかった。それにしても素晴らしい佇まいに息を飲んだ。ここに人が住めるのか…?
ここに戻って来たと言うことは、彼女はアルディ家には執着していなかったんだな…。何不自由ない生活が保証されていたはずなのに…。
フランスの誇るアルディ公爵家の御曹司と別れる…誰もが羨むであろう立場を手放すとは…。
益々、彼女に興味が湧いてきた。
滞在していたホテルでのディナーへ誘う。彼女は食べ物への執着は凄かったからな…。
いくつか用意させておいたワンピースを
プレゼントした。落ち着いた雰囲気のモスグリーンを身につけた彼女を見て大人の女性を感じた。
パリで彼女と過した僅かな時間、夢中で守った彼女の笑顔…。
命の輝きに満ちた彼女にオレはいつしか引き寄せられていた。
俯き恥じらう彼女を見ていたら急に込み上げてくる熱い想いをオレは抑えきれずに彼女を抱きよせ想いを告げた。
彼女は涙を流してオレに言った。
今度はあんたに心配を掛けるのかって。
その時に彼女の気持ちが分かった気がした。それならオレは君の幸せを見守ろうと決めた。
オレでは叶えてあげられない。だが…してやれることはある。
「退院したらパリへ行こう。シャルルも構わないよね?」
オレがしてやれる事はこれぐらいだ。
「オレから自由になってシリルを選ぶと言うのか…」
聞かせてほしい…君の本当の言葉を…。
つづく
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みなさま、こんにちは☆
最後まで読んで下さって本当にありがとうございます(^o^)
今回は13話・14話と続けてシャルルside、シリルsideを書いてみました。
13話はずいぶん前から書いて保存したままボツの予定でした(^_^;)
でもシャルルの哀しみと愛の深さをボツにしたくなくて。愛してるから自由に…。
自分の気持ちよりも彼女を常に優先させられる愛の深さ、心が広いどころの話ではないっ(>_<) そんな事を思いながらボツ書庫より引っ張り出し手を加えてみました。
14話はシャルルsideを書いたならシリルsideも…と思い書いてみたものです。
ナイトのようなイメージです。
皆様に伝わっているかはとっても不安ですが…(-。-;