きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

愛の祈り(パラドクス後マリナ編)2

バイクは高速に乗り1時間程で大きな建物の前で停まった。
ピョンとバイクから飛び降りた私は連れて来られた場所の意味が分からずに和矢に聞いてみた。

「見せたい物って何?ここにあるの?」

和矢は強い意思を瞳に宿して私に真っ直ぐに向き直ると驚く事を口にした。

「ここがオレたちの新居だ。マリナが気に入ってくれるといいんだけどね。」

そう言ってマンションを仰ぎ見ながら、なおも続ける。

「ここの部屋を借りたんだ。
さすがに学生だから買うってわけにはいかなかったけどさ。」

えっ?借りたって何?
私はまだ返事もしていなかったわよね。
いつの間にかYesって言っちゃったのかしらっ?
いや、いや、それはないわ。

戸惑う私を気にもせずに和矢は私の手を取るとエントランスへと向かった。

レンガスタイルのスタイリッシュな外観に吹き抜けのシンボリックなエントランス。

エレベーターで目的階まで向かうと突き当たりの部屋の前で和矢が立ち止まる。
ジャケットの内ポケットからキラリと鍵を取り出すと私の前に差し出した。

「開けてごらん。」

そのキラキラとした少年のような笑顔を向けられて私は躊躇いながら鍵を開けて中へと入った。

本来なら私と一緒に見て決めたかったけど待ちきれなかったらしい。家具も荷物もまだなく広い空間がひろがっていた。



いつの間にか話が進んでしまっている事に私は焦りを感じていた。
まだ、覚悟ができていなかった。それに今でも胸の中でざわついた感じが消えてはいなかった。それが一体何なのか…

とにかく和矢とちゃんと話し合おうと思って振り返ろうとした時に和矢が後ろから私を両腕で囲い込み、胸の中に私は収まってしまった。私は背中で和矢の逞しい胸を感じずにはいられない。

「マリナ愛してるよ。ここでオレと一緒に暮らさないか?」

和矢の気持ちはとても嬉しかった。
だけど私の気持ちは追いついていなかった。俯いて長いこと黙っている私を振り向かせると和矢は真っ直ぐに私を見つめて優しく微笑んだ。

「いいよ。すぐに答えを出さなくても。
今日はどうしてもマリナに見せたくなっちゃってさ。よく考えて決まったら連絡してくれよ。」

そう言うと和矢はテラスの方へと歩き出し、外を眺める。その背中は悲壮感をまとい、私はとても悪い事をしてしまったと感じて胸が苦しくなった。どんな思いで和矢はここを訪れ、1人で契約したんだろう。私が喜ぶと信じていただろうと考えると居た堪れない気持ちになった。

だけど先ほどの胸のざわつきは更に広がり私をいっそう落ち着かなくさせていた。

自宅まで送ってもらい、和矢は片手を挙げて別れを告げると帰って行った。
決して近くはない私のアパートと横浜を何度も往復させてしまっているのも解決できるのよね…でも。

部屋へ戻ると普段出歩かないせいか、一気に疲れが押し寄せてベットへと身を投げ出した。
天井を眺めながら自分の気持ちと向き合ってみた。
和矢がすでにマンションを借りていたのも驚いたけれど自分がその事実を手放しで喜んでいない事に驚いていた。

大好きな和矢とずっと一緒にいられるのに…。嬉しいはずなのに胸がザワザワしている。そんな事を考えているうちに私は眠ってしまった。











つづく



******************
みなさま、こんばんは♪

誰もが妄想したはずのパラドクス後のお話に初挑戦です。オリジナルではシャルルが切なくて(>_<)
私はあまりパラドクスは読みたくない( 好きだからこそ読めない…悲しすぎて。あぁ…まさにパラドクスです(笑))

今回、和矢との事を書きましたが、和矢が優しすぎて困りました(^_^;)
自分の気持ちを押し付けたりせずに、待っていてくれそうな。
原作のどのシーンでも人の事ばかり考えて自分はじっと耐えるみたいな。

思わず和矢に肩入れいてしまいそうになりました。(汗)
3話完結になるところでした…(≧∇≦)

余談でしたが、新シリーズも読んで頂けたらいいな♪と思っております。

コメント等、書いて頂けたら励みになります(^o^)
感想や希望、願望(?!)などもございましたら書いて下さいませ。