愛の祈り…シャルル編11
ジルは笑顔で部屋へと入ってきた。どうやら上手くいったようだな。
ジルはオレとマリナの事で随分と心を痛めていたようだった。パリに戻ってからはオレを心配しているのも分かっていた。そして突然のマリナとの再会…。
「真理江さんとの接触に成功しました。彼女はマリナさんとパリへ向かう飛行機の中で隣同士になった仲でした。それからマリナさんに連れはなく1人だったそうです。」
マリナが親切にした事への礼にお菓子を渡すと気が合い連絡先を交換したようだ。あいにくマリナは携帯が無いためにアルディ家の番号を伝えたらしい。
さすが、マリナらしい。食べ物に釣られるとは、変わらない様子を耳にすると懐かしく感じる。反対に現状への落胆は計り知れなかった。
「それからマリナさんがパリへ来た理由ですが、どうやらシャルルに会うためだそうです。」
オレはジルの言葉の意味を探る。
マリナは気軽にパリまで遊びに来るような子じゃない。
小菅でオレは永遠の別れをしたんだ。
つまり、よっぽどの事がない限り訪ねて来たりはしない。
考えられるのはひどく困った事態に陥り助けが必要になった。
あるいは…オレに…。
流れる僅かな時間さえ、もどかしい。
「理由は?」
ジルは真剣な表情になり真っ直ぐにオレを見つめた。オレと同じ色をした瞳を希望の色に変化させると、最近になって2人が別れた事をオレに告げた。
「マリナは和矢と別れたのかっ?!」
驚きのあまりジルに詰め寄った。
まさか、あの2人が別れてるとは…。
響谷の元へ皆で集まったあの日、和矢を見つめるマリナの瞳には愛しさが溢れ出し、オレはそんなマリナを見ていられなかった。と同時にあのまま側に置いて縛り付けるような真似はしてはいけないと考えた。和矢もまたマリナを包み込むような愛で何も言わずただ黙って見守っていた。
その2人が別れるなど考えられなかった。何の為にオレはこの心が裂けるような思いまでして和矢の元へ返したのか…。
だが、マリナはパリに来た。
それが事実だった。
「マリナさんの想いについては自分の口からは言えないと真理江さんはおっしゃってました。」
マリナの想い…。
今はその想いはマリナの記憶と共に消えてしまっている。彼女はオレに何を伝えにパリまで来たのか…。
本人に説明した所で混乱するだけだろう。こういう場合、本人が思い出さなければ意味がない。感情とは様々な思い出から形成される物であり、心が感じるものだ。人に言われたからとしてもマリナが同調するはずがない。
ならば次に何をすべきか…。
つづく
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皆さまこんばんは(o^^o)
更新が少し遅くなりました。
私、本日ひとみ先生の講演会へ参加して参りました。たくさんの事を考え、学び、新たな刺激を頂いて参りました。
また講演会へ参加させて頂いた体験談などは改めて書かせて頂きます。今日は更新の時間が遅れた為に少しだけ講演会の
せいにしちゃってます。
更新、そんなに待ってなかったとしても改めて言わないで下さいねm(__)m