きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

聞かせてほしい(シャルル×マリナ

聞かせてほしい19

翌日、退院の手続きを済ませると私はアパートまで送ってもらって…と思っていたのが、そうじゃなかった。 病院を出ると車はそのまま羽田空港まで走り、私はシャルルに手を握られたまま出国の手続きが終わるまで離してもらえなかったのよ! パスポートはジルが…

聞かせてほしい18

それにしてもシャルルはどうしてこの部屋で手術衣なんて着ているのよ?! 怪我は大丈夫なの?! 私は逞しい胸からガバッと抜け出すとシャルルを見上げる格好で捲し立てた。 「あんた、怪我はっ? まさか自分で手術して治しちゃったのっ?」 シャルルは私にソ…

聞かせてほしい17

ジルに続いて集中治療室のドアを開けて中へ入っていく。 あまり広くないその部屋の中を見渡すとベットが一つとたくさんの機械に囲まれて置かれていた。 でもベットは空っぽだった。 そんな……。 まさか…。 身を切られるような衝撃が私に襲いかかる。空っぽの…

聞かせてほしい16

ぼんやりと目を開けるとジルが私に微笑みかける。 目が覚めてハッとした。 ガバっと起き上がるとジルに必死に聞いた。 「ねぇ、シャルルはっ?!」 ジルの表情が固くなり私から一瞬、目を反らせる。ベットの上に置いていた私の左手を両手で握りしめる。 神経…

聞かせてほしい15

…シリルを選ぶと言うのか… 長いまつ毛を伏せ自分の感情を閉じ込めようと固く目を閉じた横顔を見ていられなかった。 私はシャルルにこんな切ない顔をさせてしまっていた。 私を失ってしまう事への恐怖、不安。 アルディ家という高貴な血族の当主という立場で…

聞かせてほしい14

目が覚めると病室のベットだった。 オレはマリナさんと出掛けてセーヌ河をクルージング中に何者かに撃たれた。 何日か経ち様子を見に来たシャルルにマリナさんの事を聞いてみた。 ここに顔を出さないが、ケガの具合が良くないのでは…。 シャルルの顔が一瞬曇…

聞かせてほしい13

日本からの取材依頼にマリナはすっかり浮かれていた。 仕事をする必要があるのか…。 オレの目が届かない場所へ出掛ける事はずっと避けてきた。 今回はシリルと一緒なのもあって許可はした。だが、危険が無いわけではなかった。 マリナの身元については度々、…

聞かせてほしい12

シャルルはシリルの想いを聞いて何を感じたんだろう…。 シリルは何を考えているの。 そんな事を考えながら私はいつの間にか眠っていた。 ここへ運び込まれてから2日が経ち、私の体調は安定し始めていた。平熱になり、倦怠感や悪寒から解放されていた。 通常…

聞かせてほしい11

「カチャッ」 扉が開けられ、シャルルが白衣に着替えて戻ってきた。 ベットで寝ている私の隣へ来ると椅子を引いて座った。 持ってきた治療に使う道具をテーブルに几帳面に並べると私の方をじっと見つめて話を始めた。 「マリナ、あの時の傷を放置していただ…

聞かせてほしい10

シリルはため息をつくと私を抱き上げてアパートを後にした。 「今日こそ病院に連れていくよ。 凄い熱じゃないか。オレにわざと心配させてるみたいだな…。」 再びため息をつく。 シリルの腕の中で温もりを感じて私はシャルルを思い出していた。 前に風邪を拗…

聞かせてほしい9

「オレと一緒にパリに行かないか?」 私は首を小さく振った。 「行かないわ……。パリには行きたくない。日本で平和に静かに生きて行くって決めたの。誰も傷つけたくない……」 シリルは私の目をじっと見つめると、ふっと優しい笑顔を作った。 「オレを傷付けて…

聞かせてほしい8

「好きだ…」 シリルは耳もとでそっと囁いた。 逞しい胸に抱きしめられて私はドキドキしてしまう。 彼を好きになったわけではなかったけど、男の人にこんな風にされて平気でいられないわ。 だからと言ってこの雰囲気に流される つもりはなかった。 「シリル………

聞かせてほしい7

「どうしたの…?! 」 突然現れたのはシリルだった。 勝手に入ってきたら驚くじゃないっ! 文句を言ってやろうと近づいて、シャツの襟元からチラッと真っ白な包帯が見えてハッとした。 私は逃げるようにパリから離れたけどシリルには何のお別れもしないで帰…

聞かせてほしい6

金色に輝く一枚のカードを眺める。 印字されているCharles de Hardieの文字をそっと指でなぞる。 落ち着くまでは使っていて構わないと渡されたシャルル名義のカード。 だけど頼るわけにはいかない。 そっと机にしまうと私は編集社へと向かった。 あの日シリ…

聞かせてほしい5

シャルルは目を合わせない。 やっぱり私が狙われたんだわ。そして何人もの人を巻き込んでしまった…。 「あの人はどうなったの?」 私はもう一度聞いた。シャルルは青灰色の瞳を伏せると小さく言葉にした。 「一命は取り留めたが、すぐに元通りとはいかないと…

聞かせてほしい4

電話をかけていた男の人は私達に走り寄り無事を確認すると安堵の表情を浮かべた。横たわるシリルの怪我をしてる方の肩を厳しい表情で観察している。 「シリル様、失礼いたします。私はシャルル様専属のSPです。傷の具合を確認させてください。」 そう言うと…

聞かせてほしい3

取材当日、お昼過ぎに待ち合わせをしてシリルと私はアルディの車でシャンゼリゼ通りまで行った。 通りは栗の木の並木道になっていてコンコルド広場から凱旋門のあるシャルル・ド・ゴール広場まで続いている。 立ち並ぶカフェを何軒か回ってデザートの写真を…

聞かせてほしい2

私は部屋で観光地取材プランを考えようとメイドに頼んでガイドブックを用意してもらった。 リビングの床にペタっと座ってスケッチブックを広げるとお手製の地図を作り始めた。 アルディ家があるのは16区なの。 パリの街は20区画で出来ていて取材に行くとすれ…

聞かせてほしい

「そんな訳だからさ。フランスの観光地をいくつか取材して日本に送ってよ。 場所は任せるからさ。 パリにいるんだから大体分かるでしょ。それから報酬は出来高性だからね」 一方的に言って電話は切れた。 外線が掛かってきて何かと思えばこの松井さんからの…