パリに戻って数日がたった。
マリナには特に部屋を用意せず、オレの部屋で過ごさせるようにした。
要はオレが離したくないからだ。
「ちゃんと薬は飲んだか?」
内膜症の治療には低用量ピルを使うことにした。飲み続けている間は症状は進行しない。
「今日は忘れずに飲んだわよ」
ベットに潜り込んでいたマリナが顔を出した。月経の始まった週の日曜から飲ませ始めた。これで月経痛はかなり抑えられるはずだ。睡眠前に飲めば副作用でもある吐き気などがあったとしても寝ている間に済む。
「なら電気を消すよ」
マリナの横たわるベットへ入ると温もりが伝わってくる。
「あれ?全部消さないの?」
薄明かりの中でマリナが言った。
「今夜は消さない」
「なんで?」
マリナを抱き寄せ、覆い被さる。
額を合わせ、マリナを見つめた。
「シャルル……?」
マリナが身を硬くするのが伝わってきた。
いつもとは違うことに気づいたのだろう。
思いが通じてからも、オレ達はまだ体を合わせていない。
パリでの生活に慣れるまではと考えていた。
だが、そろそろオレも限界だ。
「君を愛したい」
「待って、シャルル。あたし……そういうのは苦手で」
性交痛のせいで苦手意識が芽生えているのだろう。
「内膜症のことは心配しないで。痛みがないようにするから」
性交痛は内膜症による骨盤内の癒着により痛みを感じることが多い。
薬を飲み始めたばかりのマリナにはまだその効果は少ないため痛みを感じる可能性は高い。だが、オレならマリナの様子を見ながら進められる。
オレはあいつとは違う。
「でも……」
「痛かったらすぐに止めるよ」
「それじゃ、あんたが辛いんじゃ」
たしかに中途半端はたまらない。
だが、マリナを苦しめるぐらいならオレが我慢すればいいだけだ。
「オレは大丈夫。気にせずに言って」
マリナの髪をそっと撫でる。
それが始まりの合図となった。
fin
***
みなさま、いかがだったでしょうか?
今回のテーマはブルームーン、奇跡。
まさにシャルルの逆転勝利を描いた話です。
マリナと共に生きる未来、夢にみたはずのそれを現実にしたシャルル。
あり得ないはずの未来を手に入れることができましたね。
前半では和矢を選んだ事でマリナは良くない方、良くない方へと進んで行く、生活に埋もれていく様子を。
そしてシャルルとの再会でマリナは自らの選択を振り返り、後悔することになります。
すべてはシャルルの包容力が鍵でした😍
ここまでお付き合い下さり本当にありがとうございました✨
訪問者数や頂いたコメントが何よりの励みでした🩷
そしてこれで一応お話自体は終わりですが、気になりませんか?この後😉
いつもの大人の時間もそうなんですが、病気のマリナちゃんを相手にシャルルはどう進めるのか?
実は私の中で裏のテーマがありまして。
性交痛の悩みを抱えたマリナちゃんとシャルルはどう向き合うのか。
はたしてマリナちゃんの痛みはどうなるのか。
気になる方はこの後の限定記事を覗いてみて下さい。
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それではみなさま、アデュウ👋