きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

碧色のバカンス22

海岸で話を聞くうちにシャルルは何か犯人の手がかりを掴んだんだわ。

「一体誰なの?!」

その時シャルルの携帯が鳴りだした。画面に視線を落とし、相手を確認すると、助手席のドアを開けてあたしに先に乗っているようにと促した。
ムワッとした車内を想像していたけど、どうやらシャルルはすでにスターターでエンジンを始動させ、エアコンをつけてくれていた。

十分ほどで電話を終えたシャルルは次の目的地に向けて車を走らせながらさっきの話を続けた。

「君の捜索を依頼する際、オレはアルディの名は伏せるようにとフランス大使館に伝えた。それなのにマクソンはオレのことを知っていたーー」

そうね、それ前にも言ってたわね。それでシャルルは自分のことを知っているマクソンを信用するなって言ったんだもの。自分を知るはずのない人間が知っているのはおかしい。これは当然の流れだったわ。

「それが仮に逆だったとすれば?」

「逆?」

あたしは息を飲んだ。

「今さっき、君の捜索に参加したというダイバー達に話を聞くことができた。彼らの話によれば、アルディの名で大捜索が行われていたことはその場にいた全員が知っていたそうだ」

「え?!じゃ、あんたが嘘を言ってたってこと?」

直後、あたしはここが中米であることを忘れそうなほどの冷凍光線を浴びせられ、二度と口を挟まないと約束させられてしまった。
ぐすん。

「つまりオレの意思に反した人物がどこかの段階で指示を変えた。
君がいないと知らせを受けた時、オレはフランス大使館を通じてベリーズ首相に連絡をとり、海上保安省に捜索を依頼したんだ。それでどこで指示が変更になったのかをさっきそれぞれの機関に確認をとってみたんだ」

それがさっきの電話だったのね。

「電話での問い合わせはさすがに無理かとも思ったが、すぐにその綻びは見つかったよ。フランス大使館から連絡を受けたベリーズ首相はダグラス観光長に島をあげての捜索の指示をしている。この時まではアルディの名は伏せるようにと一言添えてあったそうだ。これは側近の話とも一致した。
ところが海上保安省へと渡る段階でアルディの名が表に出ていることがわかった。
海上保安省、救助チームのシャーディン氏によればフランスが誇るアルディ家からの直々の捜索依頼だとダグラス観光長から念押しされ、現場でも共有させろとの指示があったそうだ」

「じゃあ、そのダグラス観光長が犯人ってこと?」

ベリーズ観光長のダグラス・エバンス。彼がオレの意思に反してアルディの名を表に出した人物に間違いない。その目的が何なのか、それが事件とどう関わっているのかはまだわからないけどね」


つづく