きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

2022-01-01から1年間の記事一覧

時を越える夢 19 最終話

部屋の奥に目をやるとレンが心配そうにこちらを見ていた。オレと目が合った瞬間、レンは目を逸らして俯いた。そういうことか。 「オレがアルディ家へ連れて来られたのはシャルル、君の手術をするためでもあったがおそらくそれだけじゃない。万が一の事を考え…

時を越える夢 18

「モザンビーク基金への資金提供がタイの企業や資産家を中心に今ではフランスを含めた世界中から集まっています」 タブレット画像にはナイフを手に襲いかかってくる男と、少女を庇って怪我を負ったマリナ、そして駆けつけるオレの姿が映っていた。あの場にい…

時を越える夢 17

「今日の親族会議でマリナを正式に婚約者として認めさせる」 「私もマリナさんとの結婚には賛成ですが、次の候補として何人かのご令嬢の名前もすでに上がってきていると聞いてます。長老の方々が何と言うか、それに採決ともなれば分が悪いのでは?」 「オレ…

限定記事のお知らせ

みなさん、こんばんは! 15話の続きとして16話をライブドアblogにて限定公開しています。 大人の表現が含まれていますので、苦手な方はそのまま17話へお進みください。こちらは読み飛ばしても何の問題もないように書いています。 もしも二人のイチャラブな時…

時を越える夢 15

パーティーで予定していた婚約発表は相手の女性の体調が優れないため延期させてもらうことにしたと来客者には伝えた。数人の男性客からは今どきは珍しくないからと肩を叩かれた。元老院のバチスト議員に至っては祖父の話まで持ち出してきた。どれもこの場限…

時を越える夢 14

ジルの話によると今朝になって突然、ウォンヌ家からパーティーへの参加を辞退したいと連絡があったそうだ。アルディ家としては格下のウォンヌ家からの婚約の解消に面目を潰されたというわけだ。しかもオレに扮したミシェルがこれをあっさりと聞き入れたこと…

時を越える夢 13

朝桐医師に感謝と処置を終えたことを伝えてメディカルセンターをあとにした。オレは自分のコートを脱ぎ、マリナにそっと羽織らせた。 「できればどこかの店に寄りたいところだが今は時間がない。これで我慢してくれ」 「でも……」 まただ。マリナがオレに遠慮…

時を越える夢 12

オレの声に野次馬たちは次々と振り返り、慌てて互いを押し合いながら道を開けた。人集りの中、ぽっかりと空いた空間の先に見えたのは少女に覆いかぶさるように倒れている愛しい人の姿だった。 「マリナっっ!オレがわかるか?」 オレは駆け寄り、意識の有無…

時を越える夢 11

機体が大きく揺れ、着陸と同時に下から突き上げるような振動がシート越しに伝わって来た。オレは深く息を吐く。無意識のうちにストレス・マネジメントを自らに施していた。こんな事でもなければ日本に来ることはなかっただろう。そして突然降って湧いたよう…

時を越える夢 10

結局、オレ達は朝まで眠らずに過ごした。隣で身支度を整えているレンは時おり、痛む体を庇っているように見えた。本人は隠しているつもりだろうが、辛いのは見ていればわかる。 「今日はずっとジルと一緒か?」 「いえ、午前のみです。午後は警備システムの…

時を越える夢 9

部屋に戻ったのは東の空がうっすらと白み始めた頃だった。ドアを開けるとレンが駆けてきた。 「帰りが遅いので心配してました。一体何があったのですか?」 レンにはまだ詳しいことは何も話してない。オレがシャルルの部屋に呼ばれた時、レンはこれがオレ達…

時を越える夢 8

封書にはさらに白い封書が入っていた。表には「Charles et Michel」と書いてある。書体に見覚えがあった。幾千枚の封書の中に埋もれても、目立つようにわざとミシェルの名を入れてきたのだろう。そこまでして何を知らせてきた?手紙に目を通していくうちに頭…

時を越える夢 7

オレ達の部屋はいわゆるツインルームによくあるベット配置とは異なる。監視目的とはいえ二人の男が並んで眠ることを憐れに思ったのだろう。オレたちは毎晩、互いに足を向けて眠る。そして今も入眠までのわずかな時間をベットで過ごしてた。レンはクッション…

時を越える夢 6

オレは部屋の中で一人、ジルの言葉を思い出していた。 【そういう気持ちがいつしか彼女への愛おしさへと変化していくといいですね】 今のオレにはこの先、彼女にそんな感情を抱くとは到底思えない。ただ母となった彼女になら……これはあくまでも想像だ。先の…

時を越える夢 5

わざわざオレの誕生日に合わせて婚約発表をすることで、より一層注目を集め、これまで当主不在となっていたアルディ家の安泰を広く世間に知らしめることが長老たちの一番の目的だ。 だがここにも一人、婚約をいいことに好き勝手している娘がいた。 「シェフ…

時を越える夢 4

「レアアースの需要についても、ぜひアルディグループの後ろ盾をお願いしたい」 「いいでしょう。中央アジアの資源ポテンシャルの高さへの関心は今も高まっている。ハイテクに不可欠な高機能材料であるレアアースについても同様でしょう」 マルト氏と握手を…

時を越える夢 3

「シャワー先にいいか?」 「もちろんです、ミシェル様。私のことは気になさらないで下さい」 監視が目的だとしてもレンにとってオレとの生活は相当なストレスだったはずだ。オレ達のプライベートはこのバスルームとトイレ、それに夢の中くらいだ。ポケット…

時を越える夢 2

みなさま、こんにちは。今回のお話はBL要素を含んでいます。苦手な方はご遠慮頂ければと思います。CPはシャルマリですが、シャルルとは関係ない所でモブが登場します。 *** 一体何通あるんだ?差出人全員の情報を記憶し、さらにデータベースを新しく一か…

時を越える夢【シャルルBD2022】

「ここ数日は特に政界や財界、もちろん医学会の方々からもシャルルの誕生日を祝う手紙が多く届きます。くれぐれも仕分けミスなどしないように頼みますよ」 「ミス?このオレに限ってあり得ないね。ジル、君とは違うからな」 利己主義な大人達があいつに媚び…

導かれてパッサカリア14

みなさん、あけましておめでとうございます今年もどうぞよろしくお願いします。 さて、当初は書く予定はなかったのですが、仕事が急遽お休みになり、時間の余裕ができたので、前回のソファでのイチャリンコの続きを書いてみようかと より濃厚になっているの…