きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

届かぬ想い21

チャイムの音でシャルルの意識はあたしから離れ、来客者へと向けられた。

「ふぅ……」

あたしは思わず安堵の息をもらした。シャルルにあんな風に見つめらたら誰だってドキドキするわよ。
シャルルはあたしから離れると壁に掛けられたインターホンに手を伸ばした。

「少し待て。今、開ける」

シャルルは短く言うと受話器を置いてあたしを振り返った。

「明日の朝、迎えに来る。今夜はゆっくり休むように」

え?
てっきり朝までシャルルと一緒だと思っていたんだけど違うの?
あたしは肘で体を支えるようにして半分だけ体を起こした。

「シャルル、どっか行っちゃうの?」

いや、別に二人でいたかったとかじゃなくてこんなに広い部屋に一人きりっていうのも何だか落ち着かないなって思ったのよ。
シャルルはサラサラと髪を揺らして小さく首を振った。

「さすがに君と二人きりというわけにもいかないからね。オレは別に部屋を取ったんだ。オレの代わりにジルが君に付き添うから心配はいらない」

その瞬間ズドンって重たい鉛のようなものがゆっくりとあたしの心の中に落ちて来るような気がした。

「わかったわ」

「さあ横になって。夕食はルームサービスを頼んである。部屋から出る必要もないからそれまで少し眠るんだ」

あたしが横になったのを見届けるとシャルルは部屋をあとにした。
カチャッと扉が閉まり静寂が広がる。
一人きりになったあたしはさっきの鉛のようなものの正体が何なのかはっきりとわかった。
あたしは寂しいんだ……。
シャルルには恋人がいる。たとえ何もないとしてもあたしと二人きりで一夜を共に過ごすことをシャルルは避けたんだ。
それはきっと恋人への気遣いに違いない。それがあたしには寂しかったんだ。
あの頃あたしに向けられていた全てはもうあたしのものじゃないんだ。
目の奥にじんわりと熱いものが込み上げてきてあたしは丸くなり、その大きなふかふかの枕を抱きしめながら一人静かに泣いた。



つづく

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みなさん、こんにちは!
GWですね。お天気も良いですし、みなさんはどこかへ行かれるのでしょうか?
私はずっと仕事です😭

えーと、今回も更新ペースが一週間を越えてしまいましたが次回も遅くなりそうです💦
GWが終わったあとにお休みがあるのでその辺で書けたらいいなと。