きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

la douce pluie 18

「ミシェル、離れろっ!」

ミシェルは私から体を起こすのとシャルルが血相を変えて駆け寄りミシェルの背中を掴むのとが同時だった。
私からミシェルを引き剥がすとソファに横たわる私の姿にシャルルは目を見開いた。青灰色の瞳が見つめる先にはブラウスのボタンが外され着崩れた私がいた。
素早く上着を脱いで私に掛けるとシャルルは心配そうに私を見た。

「マリナ…もう大丈夫だ。」

やるせない表情を見せ、私を気遣うように声を掛けてくれる。でもその時のシャルルの声は少し震えていた。
この状況で私はシャルルに誤解されたと思って焦った。
私は起き上がると急いでボタンを留めた。


「ミシェル、何の真似だ。
この状況で誤解だとは言わせない。
あとでオレに分かるように説明しろ!」


シャルルは語気を荒げて激情をミシェルにぶつけていた。
確かに誤解だと言っても信じてもらえないわよね。だけどシャルルが傷つくような事じゃないわ。


「シャルル、待って、違うのよ!」


シャルルは私に視線を向けると優しく声を掛けた。


「とにかくオレの部屋に行こう。
まずは君の事が先だ。
ミシェルの話を聞くのはあとにする。」

ここで三人でいる時に説明しないとミシェルが誤解されちゃう。怒ったシャルルがあとで二人きりになってミシェルの話を冷静に聞くとは限らないもの。
私は首を振って部屋に行くのを拒んだ。


「シャルル、私は大丈夫なの。あんたが思っているような事ではないの。
さっきのは…」

過呼吸だ。」

私の言葉を遮るようにしてミシェルは一言だけ言った。髪をかき上げ、洋服の乱れを直しながら私に視線を一瞬向けてからシャルルへと向き直った。
ミシェルはさっき自分が話すから私には黙っているように言ってた。
ここで私が下手な説明をするよりいいってことね。


「マルクは知ってるだろ?
そいつに呼ばれた事をマリナから相談された。オレは最初マルクの家に行くのは反対していた。
だがティナの兄弟を心配するマリナの話を聞いてオレはお前に気付かれずに一緒に行くことにした。
用件だけ済ませてさっさと帰ってくれば済むはずだった。
それなのに今日はマルクが屋敷まで来たんだ。
マリナはパニックを起こした。
お前に何も話してない事をとても気にしていたからな。秘密が露見する事を恐れたんだろう。
オレは過呼吸の応急処置をしただけだ。呼吸を楽にする為に服は緩めた。勘違いするなよ。マリナに聞いてみろ。」


シャルルは冷たい視線をミシェルへとむけた。

「それならマリナの両手の拘束も応急処置のつもりか?医療従事者でなくても過呼吸直後の人間にそのような事はしない。マリナ、行こう。オレの部屋からはしばらく出ないように。」


シャルルは怒りに震えながらそれだけ言うと私の手をとった。



「マリナはオレに影を落とした。お前の影をオレに重ねたんだ。それが堪らなかった。」


ミシェルは苦しげにぐっと唇を噛んだ。
私が影を落としたってどういうこと?


「お前の処分は後で知らせる。」








つづく

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みなさん、こんばんは!
いつも読んでくださってありがとうございます
もうお花見はされましたか?
あの優しく淡いピンクの花を見ていると心穏やかになりますよね。

うちのシャルルは穏やかではいられないようですが…