きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

la douce pluie 2

「ただいまっ!」

使用人たちが出迎える中、私はドックケージを抱えて車から降り立った。
ミシェルが振り返って右手を指す出して私が持っていたケージを渡すように催促していた。

「マリナは落としそうだからな、オレが持ってやる。」

こんな風に言ってるけどミシェルはさりげなく優しかったりするんだよね。

私の部屋に着くとさっそくケージの扉を開けた。最初は戸惑っていた様子だったけどすぐにケージから出て部屋のあちこちを探検し始めた。ほわほわの小さなこの子が動き回る姿に私は目を細めた。

「名前は決めたのか?」

ミシェルに聞かれるまで名前の事なんてすっかり忘れていた。

「あっ!全然考えてなかった。
えっと…えーと…。
ティナってどうかな?」

私はとっさに思い付いた名前を口にすると後ろからテノールが聞こえてきた。

ラテン語で地球という意味だ。
コイツは壮大な名前を付けられたな。」

扉にもたれて両手を組み、長い睫毛を伏せて小さく笑っていた。

「シャルルっ!来てくれたのね!
地球…かぁ。じゃ、ティナに決めたっ!
私ね、一目でこの子を気に入ったの。
しかも双子なんだって、珍しいでしょ?私、犬に双子っていうのがいるなんて知らなかったわ。」


「犬は数匹で産まれてくる事がほとんどだが、中には1匹、2匹と言ったケースもある。親が何匹兄弟かにも関係するらしいけどね。」

シャルルは双子って事にさして驚きもしていなかった。
たいして珍しくないみたいね。犬って言ったら5、6匹生まれてくるものだって思っていたのは私だけ?
私が妙に双子ってとこに反応しすぎたみたいだわ。

「ティナは双子の兄弟のお兄さんよ。
シャルルと一緒よ!」

私はティナに親しみが湧くようにと思って話したけどシャルルの反応は薄かった。犬と一緒にしたのは逆効果だったかしら?


「コイツの人生に君は責任を持つことになった、つまりママンの代わりだ。
最後までちゃんと見てあげるんだよ。」


シャルルの言葉は温かく、ただ浮かれてるだけの私を責任という言葉で律してくれた。改めてティナの親代わりになるということを噛み締めた。





二人が仕事に戻って行くと私はティナに離乳食を準備した。まだ固い物は食べられないからドックフードをぬるま湯でふやかした物と缶詰の美味しそうな匂いのするお肉を教えられた通りに混ぜて食べさせた。
ティナはお腹が空いていたようでペロンと食べ切ってアクビをしている。
壮大な名前に負けない大物になるかもしれないわね。

私のベットサイドにティナのベットを準備して寝かせるとスヤスヤと寝始めた。
まだまだ子犬だものね。
お腹がいっぱいになれば寝る…これは私も同じだわ。シャルルはもしかして私をペットみたいって思ってるのかしら。
うぅ…やだわ。
それじゃ愛と言うより愛護だわ。


私はしばらく可愛らしいティナの寝顔を眺めていた。
弟くんの方はどうしているかな?
ふとそんな事を考えてポケットに入れたままのメモの事を思い出した。忘れないうちに引き出しにそっとしまった。


連絡を取る事はないと思うけど捨てる気にはならなかった。でもシャルルが目にしたらきっと良い気はしない。

男の名前、住所に連絡先が書かれた小さなメモ…。








つづく

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みなさん、こんにちは
天国へ行ってしまった愛犬がうちに初めてきた時の事を思い出しながら書いていたら犬物語のようになってしまいましたねあ~懐かしい。子犬独特の仕草とか愛らしい姿が堪らなかったなぁ~