きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

la douce pluie 15

今回はシャルルが出てきません(・_・;
ミシェル中心の話になるので興味のない方はスルーして下さい。


【注意】マリナとミシェルが接近中です
シャルルファンの方はご注意下さい。
ミシェルを絡めた話が苦手な方はお戻りになる事をおすすめします。



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「今夜は戻らない。」

そう言って出て行ったしまったシャルルに私の言葉は届かなかった。
戻らないって仕事?
それにシャルルといるのが窮屈だなんて思った事は一度もなかった。何の事を言っていたのかしら?



「マリナ、ちょっといいか?」

今日は陽射しも柔らかな春を思わせる陽気だった。中庭をティナと散歩しているとミシェルに声を掛けられた。
ティナは嬉しくてシッポを千切れそうなほどブンブンと振っている。ミシェルはちょっと前屈みになってティナの頭を撫でてやる。
ティナは嬉しさが止まらず最後には後ろ足だけで立って前足を手繰り寄せるように何度も振り回しておねだりのポーズ。

「あんたも好かれたわね、ミシェル。
ティナが抱っこをせがんでるわよ。」

ミシェルは参ったなという顔をしながらティナに手を伸ばした。




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このオレが犬をこの手で抱く日が来るとはな…。

いや、違う。
オレが変わったのはそれが彼女の望みだからだ。

オレはマリナが嬉しそうにしている顔を見ていたいと思うようになっていた。

あの日…どこで育つかによって運命が変わってしまうなんて不公平だと言った彼女の言葉に一度は閉じ込めた想いが揺れ動いた。
かつてシャルルに贈り物をする為にオレの別邸にメイドとして働きに来ていた頃に抱いていた彼女への想いが再び疼きはじめていた。

東洋のさえない小さな女。
当主争いをしていた頃の彼女の印象はそんなものだった。なぜシャルルがわざわざ連れ歩いているのか理解不能だった。
それはオレが彼女を外側からしか見ていなかったからだ。
オレ自身がイヤというほど味わった事だったのにな。

オレは二歳になって間もない頃にすでに両親の子ではない事を知っていた。
遺伝性のない容姿、そして周りの態度から何かを感じていた。
そして数年後、母の病が酷くなり精神を安定させる為にオレはロワールへと呼ばれた。
その後、母の白血病の発覚により共にアルディへと戻った。生後数日しか過ごす事が出来なかった家だった。
しかしオレに用意されたのは人工の光に制御された地下室だった。オレの存在は隠され陽の下に出る事は決して許されなかった。
同じ容姿の彼の存在に気づくのに時間は掛からない。全てを理解し自らの運命を受け入れたのはその頃だ。
オレが何を思い、何を考えようが出生の順位が全てを決定する。
オレの内面がどうであろうが外的要因が全てだった。そう…先に母から産み落とされた。それはオレの意志であったのか、さすがに覚えてはいないが。
内面で評価されないのであれば外面で奴に勝れば運命を変えられるかもしれない。あの頃は夢中だった。
だが愛を手にしていたシャルルにオレは負けたのかもしれない。オレは愛など信じていなかった。内なる思いなど意味がないと思っていたからだ。

そんなオレが初めて愛おしいと思ったのがマリナだった。すでに彼女にはシャルルがいた。秘めた思いを抱きつつも忘れる事にした。この思いも焼けるような胸の痛みもすでに時は満ちていた。
常に二番手なのだと自嘲することしか出来なかった。
このまま終わらせるつもりだった。


シャルルだと勘違いされ、マリナに容易く近づくマルクのその態度に嫌悪を抱いた。そして嫉妬したんだ。マリナを引きずるようにして部屋を出た。
マリナはオレの行動を非難したがそんな事はどうでも良かった。


シャルルを想うマリナの為に急いでアルディ家に戻らなければならない。本当にマリナのためなのか、いやシャルルのためじゃないのか。オレはたまらず彼女の頬を押さえ唇を奪った。暴れる彼女をより深く愛した。
それは今まで味わった事のない甘美な世界だった。
これまで女になど興味はなかった。




そして気づいた時には心惹かれる女性には兄が隣にいた。同じ遺伝子がそうさせるのか…。
オレを未知の感情が支配し、彼女はその笑顔でオレを惹きつける。





つづく


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みなさん、こんばんは!
最後まで読んでいただいてありがとうございます。
更新速度が遅くてお待たせしております。

ミシェルの心情ですが原作にどこまで寄り添って書けたか不安ですが、あくまでも妄想と私の思い込みで書きましたので細かな事は目を瞑って下さい(≧∇≦)
ミシェルにとってマリナが初恋って事になるんでしょうね…。シャルルと一緒
双子の好みって一緒が多いって言うものね。