きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

la douce pluie 1


「ちゃんと自分で面倒を見るからお願いっ!ね?ねっ!」

私は前からずっとシャルルにお願いしていた事があったの。

「この世界中でオレが手にできるもの全部を君にあげるって言ってたじゃない。
ね、あんたに迷惑掛けないから。」

シャルルは小さくため息をついた。
私の勝ちね。

「分かった。その変わり最後まで自分で世話をするんだぜ。散歩も自分でやるんだよ。面倒だからってメイド達にさせるのはなしだ。
それから自由にさせるのは君の部屋だけだ。それなら認めるよ。」

シャルルは私のお願いについに落ちたわ。私の喜ぶ姿を見てシャルルもなんだかんだ言って嬉しそうじゃない。

「明日ペットショップへ連れて行ってもらうといい。
そこで必要なものを揃えておいで。」

私は嬉しくてシャルルに抱きついた。
シャルルの首に腕を絡めて何度もありがとうって言ったわ。




「この子に決めたっっ!」
ほわっほわの柔らかそうな茶色の毛の中にクルンとした瞳で私を見つめているポメラニアンがいたの。
もうこの子しかない!それぐらい一目で気に入ったの。
ショップの人を呼んでもらうと店員さんはこの子の方ですか?と抱っこして近付いてくる。
「クーン…」と小さな声を出した。すぐに手続きをすませて家に連れて帰ろうと思った。
だけど店員さんの話をきいて私は悩んでしまった。

私の選んだこの子は双子なんだって。
そんな話を聞くと、店員さんに抱っこされてるこの子が部屋の隅で丸くなっている双子の片方を気にしているようにも見えてしまう。2匹を引き離すのを躊躇ってしまう。
だけどさすがに双子ちゃんは買って帰れないわよね…。

この子が五つ子だとしたら気にならなかったのかもしれない。でもよりによって双子…って。
私はちらっと横にいるミシェルを見た。
双子って言葉に反応した私に気付いた様子だった。

「マリナ、どうするんだ?双子ごと連れ帰るわけにはいかないだろう。あいつの機嫌が悪くなるぞ。」

「そうだよね。でも一匹だけ置き去りにするも可哀想な気もする。
ほら新しい家族が出来ればあの子も寂しくないと思うんだよね。」

私はガラス越しに丸まって寝ているその子を見ていた。

「それならオレがこの子を連れて帰るよ。妹が犬を欲しがって見に来ていたところなんだ。」

20歳ぐらいの青年が話しかけてきたの。
スラリとした体型。髪は短めのブロンド、精悍な顔立ちをしている。
流暢な日本語を話していて少し驚いた。
最近パリでは日本語が通じるようになったのかしら?

「あの子の飼い主が見つかったなら安心してこの子を連れて帰れるわ。」


「この双子達がまた会えるように、君の連絡先を教えてくれないかい?」

私は困ってミシェルを仰ぎ見ると小さく首を振ってやめておけと言っているようだった。
私が黙っていると彼はカバンからメモとペンを取り出してサラサラと何かを書き始めた。
メモ帳からビリっと破くと私の前に差し出した。

「やっぱり女の子に連絡先を聞くのは突然すぎだったかな。これオレの家の住所と携帯のナンバー。気が向いたら連絡してくれ。たまにはコイツらを会わせてあげたいだろ。」

そう言って私の手にメモを渡して店員さんとやり取りを始めた。

「なんだ、アイツ。随分と強引な奴だな。そんなもん捨てろよ。」

ミシェルは知らない人と関わる事をひどく嫌うし、私もこれきり会う気なんてなかった。でも双子をいつか会わせてみたいとも思っていたからこっそりとメモをポケットにしまった。



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みなさん、こんにちは!
さりげなく登場させたミシェルですが、過去の事はスルーして下さい
短編の予定ですが未定です。
もし良かったらお付き合い下さい