きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

la douce pluie 14

こんばんは(^o^)

今回はシャルル視点です。
シャルルの心の闇を目の当たりにする事になるかと思います。
可哀想なシャルルを見たくない方は退出される事をおすすめします。
書いていて私はどんよりした気分になりました(-。-;
晴れやかな気分の時に読まれる事をおすすめします。


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あの動物病院の帰り道、オレは調べさせておいた報告を受けた。
もちろんマリナには気付かれぬようにフランス語でやりとりをした。

「シャルル様、報告致します。
電話の相手はマルク・バルトリ。23歳、日仏のハーフです。マリナ様からの発信記録がありました。」

胸の痛みがオレを襲った。
マリナがあの男と連絡を取っていたとは信じられない。
しかし、昼間のマリナの様子からすると事実だろう。慌てた様子が腹立たしく
もある。

「その男をマークしろ。」

外の世界と関わらせる事をずっと避けてきた。ずっとマリナを屋敷から出さないようにしてきたのもこのためだ。
犬が欲しいと言った彼女の喜ぶ顔が見たくて許可をした。だが外出させたのは失敗だった。
マリナは必要以上に他人に関わり、踏み込む所がある。
今回もきっとその類だろう。
だが落ち着かないんだ。何かあるたびにマリナを閉じ込めておきたくなる衝動を抑えきれなくなる。

かつて彼女に惹かれ、心を奪われた男はオレだけではなかった。彼女のまっすぐな心に触れる内、知らぬ間に彼女の存在が大きくなっている事に気付くんだ。


屋敷でマリナとティナを降ろすとオレは仕事に向かった。本来なら明日でも間に合う内容だがマリナと過ごす事に躊躇いがあった。普段の自分でいられる自信がなかった。嫉妬に狂いそうだ。

自分に言い聞かせる。
たかが電話だ…。


そう思い込もうとしてもマリナに隠しごとをされてる事実は消せやしない。
妄想が止まらないんだ。
嫉妬の炎に身を焦がされる思いに耐えきれずマリナを何処かへ閉じ込めてしまいそうだ。

オレは車中で屋敷の改装計画をシュミレーションしていたんだ。
マリナを閉じ込めておくための工事だ。
一通り構想が完成した時にオレは自分自身を笑った。

何を考えているんだ…シャルル・ドゥ・アルディ。

情けない…電話を掛けたという事実だけでここまでオレを狂わせているのか。いや、そこにはもっと深い不安が潜んでいる。

日仏のハーフ。
その言葉を聞いて思い出さないはずがない。忘れる事など出来ない無二の親友、和矢。彼の影がオレを不安にさせているんだ。
あの男は和矢ではない。
だが、マリナは彼を通して何かを感じ取っているのだろうか。













なんとも効率の悪い仕事となった。
早々に切り上げ屋敷へ戻る事にした。
辺りはすっかり夜の闇に包まれ、さすがにマリナは寝てしまっただろうと考えながら車に乗り込んだ。

「おかえりなさいませ、シャルル様。」

いつものように執事に迎えられ一日の報告を受けながら執務室へと足を運んだ。


「先ほどマリナ様がお戻りになられました。正面玄関ではなく…」


執事の言葉を聞き終わる前にオレは走り出していた。長くこの館に暮らしてきたがこんなにも走った事は一度もない。
どこへ行っていたんだっ!

マリナの部屋の前にたどり着くと静かに中へと入った。
マリナの姿は見当たらない。すでに寝室で休んだのかもしれない。
逸る気持ちを抑えるのに理性を酷使する事がこれほど困難だったのか。
息を飲み、そっと寝室の扉を開くとマリナの声が聞こえてきた。


「マックスも大変な事にならなくて良かったわ。ティナもまた会いたいでしょ?今度シャルルにお願いしてみようね。」


まさかあいつと会っていたのかっ!?
ここでマリナを問い詰めた所で正直に言うとは限らない。それにオレが耐えられない。
オレは感情を押さえ込みあえて冷静に声を掛けた。

「何をだい?」

マリナの慌てぶりを腹立たしく思いながらも気付かぬフリでこの場はやり過ごす事にした。オレ自身が冷静でいられなくなりそうだった。
事実を確認せずに状況のみで判断する事は躊躇われた。
マリナの偽りにその場は話だけは合わせ、予防線を張っておいた。
マリナの澄んだ瞳に曇りはない。
マリナを抱き寄せて、ここにいる事を確認したかった。だけど、彼女の魅力に引き寄せられた人物と出会う事になった。

マリナを抱き寄せた瞬間、ミシェルのコロンの香りが鼻をついた。


ミシェルっっ!!


オレの知らないマリナが目の前にいるかのようだった。そして新たな思いを抱いているのだろうか?そんな不安に震えた。マリナから体を離し、そのぬくもりを感じなくなった時に思った。

あの時のようだと…。
あの日の喪失感が再びオレを待っていると言うのか。
眠れるはずがなかった。
マリナを信じたい気持ちとマリナを疑わせる事実がオレを苦しめる。








つづく