きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

夢の果てに 7

あけましておめでとうございます。
今年もボチボチ更新していきたいと思うので良かったら遊びに来てください。
今年は連休が短かったけど、みなさんどこかへ行かれましたか?
私はずっと仕事だったので忙しかったです💦やっと平日になって今日からはゆるく働いています😅
では、続きをどうぞ〜


***

 


佟弥と付き合う契約をした辺りからあたしは仕事に追われる日々が続いていた。 
アンケートは常に上位に入り続け、原稿料が驚くほど上がった。
佟弥はお父さんの経営する病院に復帰したらしく、週に2.3回ぐらいしか帰って来なくなった。
正直、人恋しさはあった。
ずっと佟弥がいる生活をしていたから寂しいって思う時もあった。
でもこれは恋じゃない。
そんなある日、佟弥が遅くに帰ってきた。ひどく疲れた様子だった。


「おかえり。夕飯は?」


「食べて来たからいいよ」


「そうよね。じゃコーヒーでも飲む?」


時計を見ればもう23時を過ぎていた。
そりゃ、どっかで食べてくるわよね。
あたしは立ち上がり、キッチンに向かった。するといきなり後ろから佟弥に抱きしめられた。
驚いたあたしは手にしたヤカンを落としてしまった。


「マリナ……俺、どうしよう」


「え?急にどうしたの?」


あたしは振り返ろうとしたけど、がっちりと抱きしめられて動けなかった。


「宗次郎が営業で回ってる先の顧客の金を失くしちまったって電話してきたんだ。明日中に補填できなきゃ訴えられるって。俺もそんな金持ってないし、親父に頼んだけど断られて、俺どうしたらいいかわかんないよ」


「よく探したの?」


「警察にも行ったけど、きっと出て来ないだろうって言われたらしい」


「それっていくらなの?」


「50万。時間があれば俺だって都合つけることもできるけど明日までって時間がなさすぎる」


佟弥はあたしがここの家賃を滞納して困ってた時に助けてくれた。
50万ならきっと原稿料で入ってるはずだわ。家賃の支払いまで、まだ日にちもあるし、少しの間、貸すだけなら大丈夫。
今度はあたしが佟弥を助けてあげなくちゃ。


「大丈夫よ。あたし50万ならあると思う」


ふっとあたしを抱きしめていた手が緩み、佟弥はあたしの前に回り込んだ。


「本当に?」


あたしは頷いた。


「前にあんたに助けてもらったから今度はあたしの番ね」


「助かるよ、マリナ。ありがとう!必ず返すから心配しないで」


「大丈夫。信じてるから……」


その日から佟弥は全然帰って来なくなった。何かあったのかもしれない。
でも連絡しようにも電話も知らないし、佟弥の家がどこにあるのか、何ていう病院なのかさえ知らなかった。
月末になって家賃の締め切りが迫ってきた頃、突然、担当の佐藤さんから電話が来た。


「あんたのマンガ回収だってさ。そんで打ち切りになったから。じゃ」


「どうしてですか?」


「さぁ?どうも上からストップが掛かったらしいけど俺も詳しいことわかんないや」


一体どういうこと?
今月の家賃……どうしよう。

 

 


つづく