きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

届かぬ想い37

愛を注ぎ込むようにシャルルはあたしにキスをした。優しく甘いキスに胸がジンと熱くなる。シャルルはそっと顔を離し、触れるか触れないかの距離でじっとあたしを見つめた。

「マリナ、君の気持ちを聞かせて」

ゆらゆらと揺らめく瞳があたしの想いを求め、甘く香る吐息がねだるようにあたしを包み込む。
あたしはこれまでずっと胸の奥にしまいこんでいた想いを口にした。

「離れてから気づいたの。あたしはシャルルが好きだったんだって。でも今さら遅いって。あんたに恋人ができたって知ってから何度も何度もあんたの夢を見たわ。その度に後悔してた。あたしに向けられていた全てが今は他の誰かに向けら……」

別れてからの六年を振り返り、言葉を詰まらせたあたしをシャルルは手を伸ばし、強く抱き寄せた。
小菅でシャルルを見送り、以前と変わらぬ生活を取り戻したあたしは次第に物足りなさのような物を感じ始めていた。それが何なのか、気づくのに時間はそうかからなかった。
いつしか心の中にシャルルへの想いが芽吹き、あたしははっきりと自覚した。
手を取る相手を誤ったんだって。
それに気づいた時、あたしには和矢と歩む未来が見えなくなってしまった。そしてシャルルの熱愛報道が決定打となった。
人は失って始めて大切なものに気づくと言うけど、あたしはそれを身を以て知ることとなった。
シャルルはゆっくりと腕を解くと青灰色の瞳で真っ直ぐにあたしを見つめた。

「マリナ、君だけだ。
永遠に君だけを愛していると言ったオレの言葉を忘れたのかい?」

何度も夢に見たその言葉が今、現実となってあたしへと向けられている。

「病院で眠りながらオレの名を呼ぶ君を見て歓喜に震えたよ。
君の心にオレがいるんだと確信し、あの日、オレの宿泊先に君を誘った。
これまでの時間を取り戻すためにね。
だがすぐにオレは彼女との婚約を避けられなくなってしまった。辛い思いをさせてすまなかった」

その苦しげな表情から彼女と婚約したのには何か理由があったんだと思った。
そしてあたしはハッとした。
もしかして、婚約を避けられなかった理由って。
よくあるわよね、こういう展開。
やっと二人が結ばれるっていう時に別れようとしていた彼女からの衝撃の一言。

「できたみたい……」

そんな様子が瞬時に思い浮かんであたしは複雑な気持ちになった。
たとえ二人の間に愛がなくてもそういうことは起こり得る可能性だって十分にあるだろうし……。
それなのにシャルルったらそんな状態の彼女を追い込んだりして大丈夫だったのかと急に心配になった。
過度のストレスは良くないわ。それに第一、子供はどうする気?!

「あんた、その子はどうするつもりなのよ?!」



つづく



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みなさん、こんばんは!
夏休みもあとわずかですね。場所によってはすでに新学期が始まっているところもありますね🏫

先日ふと何かで目にした記事に驚きました。なんと読書感想文がメル◯リで売られているらしい(笑)そんなものまで?!と😅💦

さて、大変お待たせしました。今回はずいぶん遅くなりました💧
夏が終わる前に終わらせるつもりが9月に入ってしまう😱次回は早めに更新したいと思います。