きらのブログ

まんが家マリナシリーズの二次創作サイトです。

愛の証50000hit感謝創作1


みなさん、こんにちは!
日頃の感謝を込めて夏らしい話題を一つ妄想してみました(最初だけだけど)
舞台はパリ。和矢と別れたマリナちゃんがシャルルの元へ来てから二ヶ月が経っているという設定です。
まだ二話までしか書いていないので長編になるのか分かりませんが最後までお付き合い下さると嬉しいです。




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夕食を済ませた後、オレは明日から数日間マリナと休日を過ごすために残りの仕事を片付けていた。

マリナがパリに来てから二ヶ月になるがこれまで彼女を外出させた事は一度もない。パリの街は景観も美しく、一見華やかだが決して治安が良いとは言えない。これはフランスに限った事ではないが外国人観光客を狙った事件も少なくはない。中でもアジア人は目立つ上に安全大国で暮らす日本人は他国に比べても防犯意識が薄くトラブルに巻き込まれやすい。とても外になど出してやれない。
マリナは何も言わないが屋敷の中だけで過ごすのもそろそろ飽きてきている頃だろう。たまには外に連れ出してやろうと思っていた。


「ねーシャルル、仕事はまだ終わらない?」


番組が終わったらしくリビングでテレビを見ていたマリナが声をかけてきた。彼女がパリに来てから一番初めに欲しがった物はテレビだった。見知らぬ国に一人、友もなく外出もできないとなると時間を持て余すのは無理もない。
もちろんフランス語の分からない彼女のために日本の番組も観る事ができる契約にした。時折、フランスの番組を見ているようだがやはり彼女にとって言葉の壁は厚いらしくすぐに消しているのは知っていた。やはり語学学習をさせるべきか。
一旦PCを閉じてリビングへ向かった。


「もう終わるよ。どうした?」


「うん、明日なんだけどもうどこに行くか決まってる?」


ソファに座る彼女の隣にオレも座った。


「いや、まだ決めていないよ。君の意見を聞いてからにしようと思ってね」


マリナの顔がパッと明るくなり何か希望があるのがすぐわかった。彼女の願いは何でも聞いてやりたいと思ってはいるが内容によりけりだな。


「あのね、今、セーヌ川でイベントをやっているでしょ?」

イヤな予感がする。

パリ・プラージュのこと?」

「うん」


やはりそうか。夏になるとセーヌ川沿いに砂が運ばれヤシの木なども植えられて本格的なビーチが現れ、皆が水着でバカンス気分を楽しむものだがオレは全くもって興味などない。

「ダメだ」

「なんでダメなのよ?さっきあたしの意見も聞くって言ってたじゃない」


「オレは君の意見も聞いた上で決めると言っただけだ。パリ・プラージュは二〇〇二年から始まり、今年で十五年になる夏の風物詩でもあるが仕事などでパリから離れられない人達のために始めたものだ。オレ達には関係ない」

人前でマリナの水着姿を晒してやれるほどオレの心は広くない。


「ビーチならアルディ所有のテトナ島にプライベートビーチがある。わざわざ人混みの中に出かけて行く必要はないだろう」


マリナはオレの方へ体ごと向き直ると何やらプレゼンを始めた。


「ほら、出店もあるって聞いたし、せっかくパリにいるんだもん、セーヌ川に砂浜があるなんて見てみたいじゃない。ね、お願いシャルル」

オレがマリナのお願いに弱いのを知っていてこの上目使いでのおねだり攻撃だ。専らマリナの願いは食べ物に関することが多い。今回の目的も出店なのは察しがつく。


「それならテトナ島に出店の手配をしておくよ」


内ポケットから携帯を取り出そうとするとマリナがオレの手を掴んだ。


「待って。雰囲気が違うもん。たくさんの人がいるのがいいの。
少しでいいから、ね?
その後でその何とかって島で二人っきりでのんびりしようよ」

二人きり……その言葉に心が揺れた。
今回は彼女のために取った休みだ。仕方がない。パリ・プラージュに少し立ち寄ってから島に行ってもいいか。ただし条件付きだ。


「分かった。雰囲気を少し味わうだけだよ。それとビーチで水着になるのもだめだ。それで良ければ付き合うよ」


マリナはよほど嬉しいのかオレに抱きついてきた。


「ありがとうシャルルっっ!明日が楽しみだわ」


こんな風に喜ぶ姿を見せられては行かないわけにもいかないな。






つづく